来日目前!驚異のハープ奏者、エドマール・カスタネーダの魅力に迫る | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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来日目前!驚異のハープ奏者、エドマール・カスタネーダの魅力に迫る

来日目前!驚異のハープ奏者、エドマール・カスタネーダの魅力に迫る

ハープ+トロンボーン+ドラムス
鬼才エドマール率いる超絶トリオが届ける、魔法のような音楽世界

 去る5月、エドマール・カスタネーダ・ワールド・アンサンブル名義の意欲作『ビエント・スル』(南風)をリリースしたばかり。きわめて視野の広い音作りでジャズ・ハープの世界を刷新するひとり、エドマール・カスタネーダの来日が近づいてきた。

text = Kazunori Harada

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 "Pavelid The Latin Harp"の異名をとるハープ奏者Pavelid Castañedaを父にもち、1978年、コロンビアの首都ボゴタに生まれた。13歳でハープ演奏を始め、16歳の頃、移住先のニューヨークでジャズの魅力にとりつかれた。特に熱中したミュージシャンはチャーリー・パーカーとチック・コリア。高校や大学のジャズ・バンドではトランペットを吹いたが、この時期、すでに「ハープでジャズを演奏したい」という意思は固まっていたようで、家に帰るとトランペットで試みたフレーズをハープに移し替えて練習を重ねたそうだ。

 ファースト・アルバム『クアルト・デ・コローレス』(2006年)、ジョン・スコフィールドがゲスト参加した『エントレ・クエルダス』(09年)、ゴンサロ・ルバルカバやミゲル・セノーンも快演する『ダブル・ポーション』(12年)と着実なリリースを続け、ブルーノート東京には14年、ゴンサロとのデュオで初登場。17年には上原ひろみとの『ライヴ・イン・モントリオール』が発表され、このデュオ・アルバムとライヴ・ツアーによって、いっそうエドマールの名前とプレイは日本のファンに身近なものとなった。着飾った演奏家が椅子に座って優雅にメロディを奏でるイメージが強いであろうハープという楽器を、立って、全身でリズムをとりながら、パワフルにつまびくエドマールの演奏ぶりは、数えきれないほどのリスナーの先入観を改めたに違いない。

 そして今回、2018年以来となる自身のリーダー・ユニットでの公演が実現する。5年前のステージではサックス奏者のシュロミ・コーエン、ドラマーのロドリゴ・ヴィジャロンと共に白熱のトリオ・ミュージックを聴かせてくれたが、今回はシュロミに替わり、エドマールと同い年のトロンボーン奏者、マーシャル・ギルクスが参加。前述の『クアルト・デ・コローレス』や『エントレ・クエルダス』でも演奏しているどころか、それらが制作される以前の時期からエドマールと音楽活動を続けてきた旧友だ。彼はまた、マリア・シュナイダーの『スカイ・ブルー』や『データ・ローズ』、ダニー・マッキャスリンの『デクラレーション』、リチャード・ボナの『テン・シェイズ・オブ・ブルース』、小曽根真featuring No Name Horsesの『アンティル・ウィ・ヴァニッシュ 15x15』、ライアン・トゥルースデルが主導するギル・エヴァンス生誕100年プロジェクト等に参加し、自身のリーダー・アルバムに名門のWDRビッグ・バンド・ケルンを迎えるなど、疑いなく現代ラージ・アンサンブル~オーケストラル・ジャズに不可欠なトロンボーン・プレイヤーであり、しかも、即興演奏の達人でもある。

 エドマールとマーシャルの名前を入れて動画サイトを検索すると、2007年にアップされたものから、2016年の「ノースシー・ジャズ・フェスティヴァル」出演時のものまで様々なトリオ映像があらわれる。メロディもリズムも強力そのもの、テクニックとエンタテインメント性が快いバランスを描き、通常なら思いつきもしないであろうハープ+トロンボーン+ドラムスという不思議な編成が、こんなにも音楽の普遍的なエキサイトメントを届けてくれるものなのかと、映像を見ているうちにあなたの音楽的好奇心・探求心はさらなる高まりをみせることだろう。マーシャルはサンバ・ホイッスルや打楽器のような響きも出したり、スライドをほぼ動かさずに驚異的なリップ・コントロールで超低音と超高音を行き来して"ひとりコール&レスポンス"的なプレイまで行なう。エドマールは34本の弦(彼のコロンビアン・ハープは通常より2弦多い)を駆使して、ハープでありつつ、キーボード、ギター、ベース的なパートも兼ねて全身で音楽を表現する。ここに、サポートと煽りを絶妙に使い分けてドラムを鳴らしきるロドリゴが絡み、真夏の日本で炸裂するのだ!

『ビエント・スル』からの楽曲はもちろん聴いてみたいし、マーシャルのコンポジションがとりあげられることも期待している。ハープの低音が冴えわたる十八番「フォー・ジャコ」を楽しみにしているファンも多いはずだ。なにがどう転がっても、エキサイティングな3デイズ6セットになることは決まったようなもの。ワン&オンリーの楽器編成と音楽性を持つトリオの真髄を、味わいつくそうではないか。

LIVE INFORMATION

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EDMAR CASTANEDA
2023.8.4 fri. 8.5 sat. 8.6 sun. ブルーノート東京
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/edmar-castaneda/

<MEMBER>
エドマール・カスタネーダ(ハープ)
マーシャル・ギルクス(トロンボーン)
ロドリゴ・ヴィジャロン(ドラムス)

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詳細はこちら→https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/edmar-castaneda/#member




原田和典(はらだ・かずのり)
音楽ジャーナリスト。元「ジャズ批評」編集長、米ジャズ誌「ダウンビート」国際批評家投票メンバー。最新刊『モダン・ジャズ』(ミュージック・マガジン)発売中。

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