【JAM vol.224】THE LEGENDARY COUNT BASIE ORCHESTRA
text= Kenichi Aono
1935年から続く名門ビッグ・バンドが
息のあったアンサンブルで
ブルーノート東京をスウィングさせる
1929年の世界恐慌をきっかけに不況が続いたアメリカが、その状況を脱しはじめるのは1930年代半ばのこと。こうした変化は当然ながら人々の生活や文化にも影響を及ぼし、音楽においては暗い不況時代に安らぎを与えるようなスウィートなものに代わって、よりフレッシュで刺激的なサウンドが求められるようになった。そうした時代の空気のなか、盛り上がりをみせていたのがビッグ・バンド形式のスウィング・ジャズである。
スウィング・ジャズ黄金期にはベニー・グッドマンやアーティ・ショウ、グレン・ミラーといったリーダーが率いる白人中心の楽団が人気を博したが、黒人を主体としたビッグ・バンドでは「オール・アメリカン・リズム・セクション」と称された強烈なリズム・セクションと、レスター・ヤング(テナー・サックス)、ハリー・エディソン(トランペット)といった卓越したアドリブ・パートを奏でるミュージシャンを擁したカウント・ベイシー楽団が圧倒的に高い支持を獲得。その人気ぶりから後年まで名を残した。
楽団を率いたカウント・ベイシーはカンザスシティでピアニストとしていくつかのバンドに携わったのち、1935年に拠点をニューヨークに移してカウント・ベイシー・オーケストラを組織。当時のニューヨークのジャズ・シーンを席巻した。楽団は第二次世界大戦後、しばらくの休止を挟んで1951年に再結成され、1984年に創設者のベイシーが亡くなったあとも精力的に活動を続けている。
ブルーノート東京では、2019年までコンスタントにこの楽団の公演を行ってきたが、今回のステージはコロナ禍を経て実に4年ぶり。2019年の来日公演と同様、オーケストラの指揮をとるのはトランペット奏者でもあるスコッティ・バーンハート、フィーチャリング・ヴォーカルにはカーメン・ブラッドフォード、そしてオーケストラのメンバーも2019年とほぼ同じということで、息のあった演奏でご機嫌にスウィングしてくれるはずだ。
構成人数が多く、また成り立ちとしても古いため「別もの」と捉えられることもあるスウィング・ジャズの楽団だが、優れたソロ演奏家を輩出してきたという意味で、モダン・ジャズ、コンテンポラリー・ジャズとは地続きの存在。懐かしさもあり、同時に現代の耳にも新鮮なアンサンブルとソロの取り合わせを楽しもう。
LIVE INFORMATION
THE LEGENDARY COUNT BASIE ORCHESTRA
2023 11.24 fri., 11.30 thu., 12.1 fri.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:30pm Start8:30pm
2023 11.25 sat., 11.26 sun.
[1st]Open3:30pm Start4:30pm [2nd]Open6:30pm Start7:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/count-basie/
<MEMBER>
スコッティ・バーンハート(コンダクター、トランペット)
デイヴ・グラッサー(アルトサックス)
スタンタウン・ケンドリック(アルトサックス)
タグ・ミラー(テナーサックス)
ダグ・ローレンス(テナーサックス)
ジョシュア・リー(バリトンサックス)
フランク・グリーン(トランペット)
ショーン・エドモンズ(トランペット)
ブランドン・リー(トランペット)
エンドレ・ライス(トランペット)
クラレンス・バンクス(トロンボーン)
イスレア・バトラー(トロンボーン)
ロン・ウィルキンス(トロンボーン)
マーク・ウィリアムズ(トロンボーン)
レジー・トーマス(ピアノ)
ウィル・マシューズ(ギター)
トレヴァー・ウェア(ベース)
ロバート・ブーン(ドラムス)
カーメン・ブラッドフォード(ヴォーカル)