【JAM vol.226】YUSSEF DAYES
text = Kazunori Harada
リズムの魔術師、降臨。
"Black Classical Music"の真髄がライヴで花開く
英国の新聞「ザ・ガーディアン」が "ジャズ・スター"と称賛。精緻を極めたドラム・プレイとサウンド・メイキングで注目を集め、去る10月には音楽の殿堂ロイヤル・アルバート・ホールでソールドアウト公演を行なったユセフ・デイズがついにブルーノート東京に登場する!
ロンドン南東部のルイシャム区に4人兄弟の末弟として生まれたユセフは、幼いころから父親が所有するジャズやレゲエのレコードに親しみ、4歳でドラム演奏を開始。なかでも名手ビリー・コブハム(マイルス・デイヴィスのレコーディングやマハヴィシュヌ・オーケストラへの参加で著名。自身のグループにランディとマイケルのブレッカー兄弟を起用したことも)のプレイに心を掴まれた。10歳の時には、イングランドの都市・バースを訪れてコブハムの指導を受けている。
2009年に入ると兄のアーマッド(トロンボーン)とカリーム(ベース)、そして友人のウェイン・フランシス(サックス)と"ユナイテッド・ヴァイブレーションズ"を結成。このグループは翌年、アロー・ブラックが行なったUKツアーに起用され、2011年にデビュー・アルバム『Galaxies Not Ghettos』を出した。2016年から17年にかけては、十年来の知り合いであったキーボード奏者カマール・ウィリアムスとのデュオ"ユセフ・カマール"を中心に活動。ジャイルス・ピーターソンのレーベル"Brownswood Recordings"からリリースされたアルバム『Black Focus』も話題を集めた。キーボード奏者アルファ・ミストとの「Love Is The Message」(2018)を経て、2020年にはトム・ミッシュとのコラボレーション作品『What Kinda Music』を発表している。
2023年9月に国内発売された『Black Classical Music』は、ユセフにとって初の単独名義となるアルバム。トム・ミッシュ、シャバカ・ハッチングス、クロニックス、マセーゴ、"クラシック音楽における変化を推進し、その多様性を称賛する"ことを目標とするザ・チネケ!オーケストラなど、錚々たるゲストを曲によってフィーチャーし、ユセフみずから「心臓の鼓動を模したドラムのリズムを追い、心身のためのメロディーを奏で、核となるベースが響く格調高き音楽」と語る世界を生み出した。来る2月に開催されるブルーノート東京3デイズには、この新作のキー・メンバーがやってくる。サックス奏者にして有力なプロデューサーでもあるヴェンナは、ウィズキッドやバーナ・ボーイ等の音作りに携わるほか、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの再構築(=レゲエとアフロビートの融合)アルバム『Africa Unite』でも快演を繰り広げる売れっ子。米国ロサンゼルス生まれのキーボード奏者であるイライジャ・フォックスは、ジャズ、印象派(クラシック)、サイケデリック・ソウルに触発されて音楽性を形成、Netflixで公開されているキッド・カディのアニメ・シリーズ『Entergalactic』にも携わる異才だ。ベースを担当するロッコ・パラディーノは、エリック・クラプトン、ジョン・メイヤー、ディアンジェロ、ロイ・ハーグローヴ等の名盤やセッションに貢献した重鎮ベース奏者ピノ・パラディ―ノの愛息。ユセフ関連のプロジェクトに欠かせないひとりといっていい。ロッコとユセフの手に汗握る絡みは現行のジャズ界、いや、2020年代の音楽界で飛び切りのものであると断言していいはずだ。
『Black Classical Music』の楽曲がライヴでどのように解凍され、発展・拡大してゆくのか。ジャケット・デザインも含めて"熱く燃えあがる"ユセフ・デイズ・トリオ名義の2020年発表作品『Welcome to the Hills』に通じる興奮が目の前で立ち上がってくるのか。どんなリズムの魔術で心を高ぶらせてくれるのか。ユセフ・デイズの来日公演は、全セットが必聴・必見であると同時に、今のジャズの現場に立ち会う喜びをとことん実感させるに違いない。
RELEASE INFORMATION
『Black Classical Music』
(Brownswood Recordings)
LIVE INFORMATION
YUSSEF DAYES
2024 2.23 fri., 2.24 sat., 2.25 sun., 2.26 mon.
2.23 fri., 2.24 sat., 2.25 sun.
[1st]Open3:30pm Start4:30pm [2nd]Open6:30pm Start7:30pm
2.26 mon.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/yussef-dayes/
<MEMBER>
ユセフ・デイズ(ドラムス)
ロッコ・パラディーノ(ベース)
イライジャ・フォックス(キーボード)
ヴェンナ(サックス)
※本公演に出演を予定しておりましたアレックス・ボート(per)は、アーティスト都合により来日キャンセルとなりました。