【JAM vol.226】MADISON McFERRIN
text = Kenichi Aono
柔らかく澄んだ歌声に身を委ねたい
マディソン・マクファーリン初のブルーノート東京公演
2016年のデビューEP『Finding Foundation: Vol. 1』のなかの「No Time to Lose」がジャイルス・ピーターソン監修のコンピレーション『Brownswood Bubblers Twelve Pt. 1』に収録され、注目を集めたマディソン・マクファーリン。自身の声を余すところなく用いたこの柔らかで澄み切ったアカペラ曲は他に類を見ない個性を放っていたのをよく覚えている。
マディソン・マクファーリンはブルックリンを拠点とするシンガー・ソングライター。グラミー賞を10度受賞しているヴォーカリストのボビー・マクファーリンを父に、ソロ・アーティストとしてはもちろんのこと、ロバート・グラスパーとの「R+R=NOW」でも知られるテイラー・マクファーリンを兄に持つ彼女は、先に記したEP『Finding Foundation』シリーズ2作でアカペラの可能性をじっくり追求し、芳しい成果を得ることに成功。2020年には兄・テイラーとコラボレーションしEP『You + I』を発表した。このEPは初めて声以外の楽器を導入した作品だが、彼女の歌を見事に引き立たせるサウンド・プロダクションも素晴らしかった。そして2023年、待望のデビュー・アルバム『I Hope You Can Forgive Me』をリリース。父・ボビーとの共演曲を含むこの作品は、美しいアカペラやコーラス・ワークをさまざまなリズムで彩った極上の一枚となった。
これまでリンカーン・センターやセントラル・パーク・サマー・ステージなどでもパフォーマンスを披露し、2022年にはヨーロッパ・ツアーを実施、ロンドンとパリ公演はソールドアウトとなった。そんな彼女がいよいよブルーノート東京に登場する。実は彼女は2015年のボビー・マクファーリン公演にメンバーとして参加しているが、自身の名を冠したブルーノート東京のステージはこれが初。本公演の編成はドラムス、ベース、キーボードとなる模様である。最近の彼女のステージを映像で確認すると、前述の楽器陣と彼女の作品の特徴である優れたコーラス・パートを含むトラックを共存させており、しっかり作り込まれた録音物の世界観と生楽器の躍動感をパーフェクトに融合したクオリティの高いパフォーマンスを展開しているので、おそらくは本公演もその路線を踏襲するのではないだろうか。いずれにしても、彼女のクールに澄みわたる歌声を間近で堪能できるまたとない機会であることは間違いない。
RELEASE INFORMATION
『I Hope You Can Forgive Me』
(ビッグ・ナッシング / ウルトラ・ヴァイヴ)
LIVE INFORMATION
MADISON McFERRIN
2024 2.18 sun., 2.19 mon.
2.18 sun.
[1st]Open3:30pm Start4:30pm [2nd]Open6:30pm Start7:30pm
2.19 mon.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/madison-mcferrin/
<MEMBER>
マディソン・マクファーリン(ヴォーカル)
キャメロン・ロー(キーボード)
ブルックリン・スカイ(ベース)
ドニス(ドラムス)