【JAM vol.228】JOSHUA REDMAN
text = Kazunori Harada
要注目の気鋭シンガーをフィーチャーしておくる
天才サックス奏者の新境地
2016年10月に行われたブラッド・メルドーとのデュオ公演から、約7年半。グラミー賞11度のノミネートを誇るサックス奏者、ジョシュア・レッドマンが名門ブルーノート・レコーズ移籍第一弾『ホエア・アー・ウィー』を携えて登場する。
キース・ジャレット、パット・メセニー、オーネット・コールマンとの共演でも知られるサックス奏者の故デューイ・レッドマンを父に持ち、1991年には高名なセロニアス・モンク・ジャズ・コンペティションのウィナーに。93年にアルバム『ジョシュア・レッドマン』でメジャー・デビューを果たし、以降、自身のユニットからブラッド・メルドー、クリスチャン・マクブライド、ブライアン・ブレイド、ピーター・バーンスタイン、サム・ヤヘル等の逸材を輩出。アーロン・パークスやエリック・ハーランドらとのユニット"ジェイムス・ファーム"でも話題を集めるとともに、ローリング・ストーンズ、ミシェル・ンデゲオチェロ、クエストラヴ等ともレコーディングを行うなど、オープン・マインドな活動を続けてきた。
最新作『ホエア・アー・ウィー』は「アメリカに対する賛美と批評」をコンセプトとした一枚で、シカゴやニューオーリンズ、アラバマなど特定の場所にちなんだナンバーを中心とした構成。だが内容はいうまでもなく単なるご当地ソング集ではなく、ジョシュアならではのひねりを持つ。たとえば8曲目の「マイ・ハート・イン・サンフランシスコ(ホリデイ)」には、先ごろ亡くなった大歌手トニー・ベネットの世界的ヒット「アイ・レフト・マイ・ハート・イン・サンフランシスコ」の、ヴァース(前唄)に相当する部分から始まり、セロニアス・モンクの知られざる楽曲「サンフランシスコ・ホリデイ」の一節を挟んで、「アイ・レフト~」のコーラス(本唄)へと移行。かと思うとラストでは再び「~ホリデイ」がプレイされるという、一種マッシュアップ的なアレンジが施される。このナンバーに限らず、いろんなところからいろんな曲が"隠れキャラ"のように飛び出すのは誠に刺激的であり、そのスリルがいかにライヴの場に持ち込まれるのかにも興味は尽きない。
しかも今回の公演には、『ホエア・アー・ウィー』でも大活躍していたヴォーカリストのガブリエル・カヴァッサがフィーチャリング・ゲストとして同行する。サマラ・ジョイやジャズメイア・ホーンを輩出した「サラ・ヴォーン国際ジャズ・ヴォーカル・コンクール」の2021年度ウィナーにして、ジョシュアが「類まれなスタイル、誠実さ、魂を持つヴォーカリスト」と称賛する逸材だ。気鋭の歌い手と、円熟の域に達したサックス奏者が繰り広げるパフォーマンスは、全観客を釘付けにすることだろう。
RELEASE INFORMATION
ジョシュア・レッドマン『ホエア・アー・ウィー』
(ユニバーサル ミュージック)
LIVE INFORMATION
JOSHUA REDMAN GROUP
featuring GABRIELLE CAVASSA
2024 5.27 mon., 5.28 tue., 5.29 wed.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/joshua-redman/
<MEMBER>
ジョシュア・レッドマン(サックス)
ガブリエル・カヴァッサ(ヴォーカル)
ポール・コーニッシュ(ピアノ)
フィリップ・ノリス(ベース)
ナジル・エボ(ドラムス)