【JAM vol.228】MICHEL CAMILO TRIO
text= Kazunori Harada
数々の栄誉に輝くカリスマ・ピアニストが
ダフニス・プリエトを含むトリオで
5日間公演を開催
ソロ、デュオ、トリオからビッグバンドまでさまざまなフォーマットで「ブルーノート東京」の
オーディエンスを沸かせてきたカリスマ・ピアニスト、ミシェル・カミロが2年ぶりに戻ってくる。
前回の公演は、コロナ禍により海外アーティストの来日がいまだ困難であった2022年5月にソロ・フォーマットで行われたが、今回はベーシストのリッキー・ロドリゲス、ドラマーのダフニス・プリエトという、選りすぐりのベスト・メンバーとのトリオ編成によるステージ。プエルトリコ出身のリッキー、キューバ出身のダフニス、そしてドミニカ共和国出身のカミロが三者一体となって紡ぎ出す、心を捉えて離さないメロディとリズムが渦巻く5日間・10ステージになることは間違いない。
別項でジャマイカ出身のモンティ・アレキサンダーが80thアニバーサリーを迎えることについて触れたが、カミロも4月4日に70歳の誕生日を迎える。幼い時期からアコーディオンに親しんだ後、9歳からピアノ演奏を開始。クラシック音楽を学ぶいっぽうで、14歳の時に"史上最高のジャズ・ピアニストのひとり"と称賛される伝説の巨星アート・テイタムの演奏をラジオで聴いてジャズに開眼した。その後もチック・コリア、スコット・ジョプリン(ジャズの原型のひとつといえる"ラグタイム"の代名詞的存在)、ジャズ・サンバの名門"ジンボ・トリオ"のアミルトン・ゴドイ(イリアーヌの師)など幅広いミュージシャンにインスピレーションを受け、79年には米国ニューヨークに移住。ティト・プエンテやパキート・デリヴェラとの共演を経て、83年には自作曲「ホワイ・ノット」が人気グループ、マンハッタン・トランスファーのレパートリーに(アルバム『アメリカン・ポップ』収録)。88年には『ミシェル・カミロ』でメジャー・デビューを果たし、以降、フラメンコ・ギタリストであるトマティートとのコラボレーション、交響楽団との「ラプソディー・イン・ブルー」(ジョージ・ガーシュウィン作曲)、映画音楽などで多才ぶりを発揮、グラミー賞、ラテン・グラミー賞、エミー賞すべてのウィナーとして現在に至っている。
リッキー・ロドリゲスが、カミロとブルーノート東京に登場するのは2019年以来。ラリー・グレナディアやスコット・コリーに師事しただけあって、音色、イマジネーションに富んだベース・ライン、ともに"美しい"の一言に尽きる。ドラマーのダフニス・プリエトは2000年代半ばにカミロ・トリオのメンバーだったので、今回は待望の再会セッションということになるが、カミロとの丁々発止が往時よりも一層パワーアップした形で行われることは想像に難くない。どんなに期待してもその遥か上をゆく公演となりそうだ。
LIVE INFORMATION
MICHEL CAMILO TRIO
featuring DAFNIS PRIETO & RICKY RODRIGUEZ
2024 5.3 fri., 5.4 sat., 5.5 sun., 5.6 mon., 5.7 tue.
5.3 fri., 5.4 sat., 5.5 sun., 5.6 mon.
[1st]Open3:30pm Start4:30pm [2nd]Open6:30pm Start7:30pm
5.7 tue.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/michel-camilo/
<MEMBER>
ミシェル・カミロ(ピアノ)
リッキー・ロドリゲス(ベース)
ダフニス・プリエト(ドラムス)