【スペシャル・インタビュー】KURT ROSENWINKEL | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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【スペシャル・インタビュー】KURT ROSENWINKEL

【スペシャル・インタビュー】KURT ROSENWINKEL

歴史的名盤『ザ・ネクスト・ステップ』の世界がふたたび
カート・ローゼンウィンケルが挑む新たなステージ

Interview & Text = Kazunori Harada
Interpretation = Kazumi Someya

 なんと風通しのいい感性の持ち主なのだろう。次はどんな音世界で魅了してくれるのか?

 いったん惹かれてしまうと、目と耳を離すことができない。そんな存在がギター奏者のカート・ローゼンウィンケルである。ここ10年ほどのリリースに限っても、カート流モダン・ジャズ・ギターの真髄というべき『アンダーカヴァー』、ブラジル・ミナスの音楽風味を軽やかに取り込んだ『カイピ』、ショパンの楽曲を奔放に解釈した『ショパン・プロジェクト』、ピアニストとしての一面をみせる『プレイズ・ピアノ』など、多面的な活動を繰り広げてきた。コラボレーションを行なってきたミュージシャンも、エリック・クラプトン、Qティップ、ルイス・コール、ドミ&JD・ベックなど多数。幅広い世代に求められてやまない"音楽の達人"だ。

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 定期的に来日しては極彩色の音作りを届けてくれるカートが、来たる7月の公演で繰り広げるプロジェクトは、ずばり"ザ・ネクスト・ステップ・バンド・リユニオン"。もう歴史的名盤といっていい2000年録音・2001年発表作品『ザ・ネクスト・ステップ』、その参加メンバーであったマーク・ターナー(サックス)、ベン・ストリート(ベース)、ジェフ・バラード(ドラムス)との再共演だ。リアルタイムで当時を知るベテラン・ファンはもちろん、近年の作品でカート・ローゼンウィンケルを知ったファンも喜びと感動を享受できる内容になるであろうと私は確信している。

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 ザ・ネクスト・ステップ・バンド再結成の感慨、迫る来日公演についてカートに尋ねた。

「僕の頭には常に再結成のことがあった。今回、それを実現するための時間がようやく見つかったという感じだね。しかも、往年のライヴ・レコーディングが発見されて、発売されることになったんだ(『ザ・ネクスト・ステップ・バンド~ライヴ・アット・スモールズ 1996』)。

 再結成に向けて、かつての仲間にひとりずつ声をかけていく過程は、まるで『エクスペンダブルズ』のようだった。さしずめ僕がシルヴェスター・スタローンといったところだ(笑)。まずZOOMで打ち合わせをして、5月にニューヨークのジャズ・クラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」に出演した。この4人が一緒にプレイするのは2001年以来だったと思うけれど、つい先週まで一緒に演奏していたような、その続きが起こっているような感じで、往年のマジックはまったく失われていなかった。さらに嬉しかったのは、以前よりもサウンドがベターになっていると感じられたことだ。当時、演奏していて"大変だな"と思った記憶のあるパートも、今、改めて取り組んでみると、さほど難しく感じない。大きなパワーを感じる再会だった」

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 カート・ローゼンウィンケル、マーク・ターナー、ベン・ストリート、ジェフ・バラード。この4人が揃って日本のステージに立つのは、考えるほどに大変な快挙だ。『ザ・ネクスト・ステップ』発表当時は「要注目の次世代」だった彼らも、いまでは誰もが「押しも押されもせぬジャズ・マスター」となった。

「長い時間をかけて、各人が豊かな経験を積んできた。ジェフは本当に天才的なドラマーだし、ベンのプレイはユニークで力強く、比類がない。マークに関しては、さらに豊かで美しくなったトーンに間近に接して、"君は新たな次元に到達している"と彼に感激を伝えたほどだ。もちろん僕のトーンも変わってきたし、機材の発展もあるから、バンド自体の演奏が変化を踏まえたものになっていると思う。『ザ・ネクスト・ステップ』に収められていた楽曲については変則チューニングで書いたナンバーが多いけれど、それに関してはそのチューニングを生かしてプレイすることになるだろう。また、僕らが四半世紀前に行なっていたライブでは、たとえばニューヨークの「スモールズ」で2セット演奏するときは、だいたい各セットのエンディングを僕のピアノ演奏で締めていた。日本公演ではどうなるのか、そのあたりも楽しみにしてほしい」

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Photo by Takuo Sato

 今回の「ザ・ネクスト・ステップ・バンド・リユニオン」公演は、ブルーノート東京(7月24日と25日)、コットンクラブ(28日と29日)、高崎芸術劇場 / スタジオシアター(27日)の3会場で開催される。これもカートにとっては大きな喜びであるという。

「ブルーノート東京もコットンクラブも僕の大好きな場所だから、どちらか一方ではなく両方でプレイできることが本当に嬉しい。スタッフの皆さんも素晴らしいので、僕らは何の心配もなくステージにあがって、プレイに集中することができる。音楽に没頭できる状態は、本当にありがたいことなんだ。しかも今回は、シアター(高崎芸術劇場)でも演奏するからね。大きめの会場だと、当然ながら自分の演奏スペースをより広く持つことができるし、ちょっとフォーマルな雰囲気もあって、僕にはそれも刺激的だ。オーディエンスから受ける反応も変わってくるし、クラブで演奏するときとはまた異なる集中力が必要になってくる。僕の場合、クラブに行くのは芝居を見に行くような感じ、シアターに行くのは美術館に足を運ぶような感じかな。どちらも僕にとっては魅力的だ」

 7月23日には、カートと石若駿、マーティ・ホロベック、井上銘、渡辺翔太との共演セッションも開催。石若、井上とは2016年6月にブルーノート東京で行われた「石若駿クリーンアップ・トリオ・ミーツ・カート・ローゼンウィンケル」以来の顔合わせとなる。

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Photo by Tsuneo Koga

「あの時からもう8年も経ったのか、というのが実感だね。本当にいい出会いだった。シュンはエネルギー、熱意、喜びにあふれたドラマーで、僕もとても気持ちよく演奏することができた。あの感覚がまた味わえるのは嬉しいね。メイは僕の知る限り、日本の気鋭ギタリストとして最高に才能のあるひとりだと思う。ツイン・ギターのインタラクション(相互作用)もすごく楽しかったしね。前回、彼らが大事にしてきたオリジナル曲に参加できたのはとてもいい経験だった。現在の彼らが今回、どんな楽曲を用意してくれるのか、それも楽しみなんだ。このセッションが、僕にとって嬉しいサプライズになることは間違いないだろうね」

 いくつものシチュエーションでカートのプレイを満喫できる今回の来日ツアー。以前にも増して充実したプレイを聴くことができそうだ。

「僕らの音楽を日本のオーディエンスに届けることができるのは光栄だ。一緒に音楽を分かち合って、音楽に包まれて、夢を見て、我を忘れるような体験をできたら最高だと思う。皆さんに会えることを楽しみにしています」

LIVE INFORMATION

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KURT ROSENWINKEL's
THE NEXT STEP BAND REUNION


2024 7.24 wed., 7.25 thu.  ブルーノート東京
2024 7.27 sat.  高崎芸術劇場 / スタジオシアター
2024 7.28 sun., 7.29 mon.  コットンクラブ

<MEMBER>
カート・ローゼンウィンケル(ギター)
マーク・ターナー(サックス)
ベン・ストリート(ベース)
ジェフ・バラード(ドラムス)

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石若駿、井上銘、渡辺翔太&MARTY HOLOUBEK
with special guest KURT ROSENWINKEL


2024 7.23 tue.ブルーノート東京

<MEMBER>
石若駿(ドラムス)
井上銘(ギター)
渡辺翔太(ピアノ)
マーティ・ホロベック(ベース)
Special Guest:カート・ローゼンウィンケル(ギター)


原田和典(はらだ・かずのり)
音楽ジャーナリスト。元「ジャズ批評」編集長、米ジャズ誌「ダウンビート」国際批評家投票メンバー。最新刊『モダン・ジャズ』(ミュージック・マガジン)発売中。

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