【JAM vol.230】KURT ELLING & CHARLIE HUNTER "SuperBlue"
text = Kenichi Aono
ファンキーでブルージーな"SuperBlue"の世界
カート・エリング&チャーリー・ハンター
「第63回グラミー賞」のベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバムを受賞した『Secrets Are The Best Stories』(2020)は、歌唱、演奏はもちろんのこと、その社会的、政治的メッセージ性を込めた内容から、オーセンティックなジャズ・ヴォーカリストの新たな側面を見事に打ち出した作品として話題となったが、それに続いて発表されたアルバム『SuperBlue』(2021)には、多弦ギターによる「ギターを超越するギター・サウンド」で知られるチャーリー・ハンター、そしてヒップホップの影響を多分に受けたバンド、ブッチャー・ブラウンからその中心人物である鍵盤/マルチ楽器奏者のDJハリソンことデヴォン・ハリスとドラマーのコーリー・フォンヴィルが参加。ブルージーでファンキーなアルバムの世界観と現代性は、カートの現状に甘んじない革新性を際立たせて多くの支持を集め、同作は「第64回グラミー賞」ベスト・ジャズ・ヴォーカル・アルバムにノミネートされることとなった。
今回の来日公演は、カートとこのアルバムの共同プロデューサー、チャーリー・ハンターとのユニットというかたちで、同作のプロデューサーのコーリー・フォンヴィル、そしてこれまでカートのほか、シオ・クローカー、ジャズメイア・ホーンといった名だたるアーティストとの共演で知られるアトランタのピアニスト、ケニー・バンクス・ジュニアを加えた編成で行われる。ベースレスなのは、ギターのチャーリーが多弦ギターによってその役割をも担ってしまうから。タイトで歯切れのよいコーリーのドラムスはこのユニットのカラーを特徴づけるグルーヴといえよう。またゴスペル、ブルース、ジャズを融合させたようなケニーのピアノは楽曲に豊かな表情を与えてくれるにちがいない。そしてそうした演奏にのるカートのバリトン・ヴォイス----想像しただけで最高ではないだろうか。最新作『SuperBlue: The Iridescent Spree』(2023)からの曲も含め、演目に期待はふくらむばかりである。
RELEASE INFORMATION
Kurt Elling, Charlie Hunter
『SuperBlue: The Iridescent Spree』
(Edition Records / King International)
LIVE INFORMATION
KURT ELLING & CHARLIE HUNTER "SuperBlue"
2024 8.4 sun., 8.5 mon., 8.6 tue.
8.4 sun.
[1st]Open3:30pm Start4:30pm [2nd]Open6:30pm Start7:30pm
8.5 mon., 8.6 tue.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/kurt-elling/
<MEMBER>
カート・エリング(ヴォーカル)
チャーリー・ハンター(ギター)
ケニー・バンクス・ジュニア(キーボード)
コーリー・フォンヴィル(ドラムス))