【JAM vol.231】AMARO FREITAS
text = Kenichi Aono
プリミティヴと洗練が同居する傑作『Y'Y』を携え
アマーロ・フレイタスがトリオ編成で登場
4月にリリースされたアルバム『Y'Y(イーエーイーエー)』でネクスト・レベルに到達したブラジル北東部レシフェ出身のピアニスト、アマーロ・フレイタス。2020年にアマゾン川流域の都市マナウスを訪れた際に、彼の地の自然や先住民族からインスピレーションを得て制作された同作は、ポリリズミックかつミニマルでアヴァンギャルドなアルバム前半(プリペアド・ピアノやピアノの内部奏法も聴くことができる)と、シャバカ・ハッチングス、ブランディー・ヤンガー、ジェフ・パーカー、アニエル・ソメイラン、ハミッド・ドレイクが参加したよりジャズ的なムードを携えた後半がシームレスにひとつの世界を作り上げている。
たとえていうなら、ナナ・ヴァスコンセロスの諸作やフェルナンド・ファルカォン『Memória das Águas』(1979)にも通じるような、実験性と芸術性、プリミティヴと洗練が同居した素晴らしい内容のこのアルバムの背景には、植民行為で失われた、あるいは離散した人、もの、ことへのまなざしがあり、彼は今作を通じてそれらを現代に召喚しているかのようである。
『Y'Y / イーエーイーエー』
(Unimusic)
そんな傑作の名を冠したステージがブルーノート東京で開催。メンバーは現時点では未定だが、8月から活動を開始するトリオでの公演だという。アルバムの世界をどのように表現するのか実に楽しみであるし、ブラジル音楽やジャズを好む人だけでなく、現代音楽、アヴァンギャルド、メディテーティヴ・ミュージックのリスナーにも、このライヴが届けばと切に願う。なお、ジャズ評論家の柳樂光隆のnote (https://note.com/elis_ragina/) には『Y'Y』に関するアマーロ・フレイタスのインタビューが掲載されているので、そちらもぜひご一読あれ。
LIVE INFORMATION
AMARO FREITAS Y'Y
2024 10.25 fri., 10.26 sat., 10.27 sun.
10.25 fri.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
10.26 sat., 10.27 sun.
[1st]Open3:30pm Start4:30pm [2nd]Open6:30pm Start7:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/amaro-freitas/
<MEMBER>
アマーロ・フレイタス(ピアノ)
他メンバー未定