【JAM vol.232】André 3000
text = Kenichi Aono
豊かな表情のアンビエント作品を生んだアンドレ3000
カルロス・ニーニョら参加ミュージシャンにも注目
アンドレ3000として知られるアンドレ・ベンジャミンは、音楽、映画、アート、ファッションなどの分野で世界的な影響を与え続けるアーティスト。ビッグ・ボーイ(アントワン・パットン)とともにヒップホップを象徴するデュオ、アウトキャストの片割れとしてこれまでになかったラップの表現を確立し、昨年11月にリリースした初のソロ・アルバム『ニュー・ブルー・サン』は、クリエイティヴな進化におけるネクスト・ステップを示した。
このアルバムはそれまでの彼のキャリアを考えれば唐突とも思えるアンビエント作品。ラップのラの字もない同作は、アウトキャストの活動の後期から手にするようになった楽器----ベースやギター、キーボード、さまざまな管楽器----のうちのひとつであるフルート(カスタム・メイドのエレクトリック・フルート)を全面的に用いたものだ。共同プロデュースは現在のアメリカ西海岸のジャズやヒップホップ、ビート・ミュージックといった音楽シーンに多大な影響を与えているカルロス・ニーニョ。このふたりの感性が結びついた『ニュー・ブルー・サン』は、アリス・コルトレーンやジョン・ハッセルを思わせるメディテーティヴなジャズの要素やスザンヌ・チアーニのようなシンセ・アンビエントが渾然一体となり、プリミティヴと洗練のあわいを漂う素晴らしい作品に仕上がった。
そんな予想外な、それでいてクオリティの高い初ソロ作を発表し、また今年はカマシ・ワシントンのアルバム『フィアーレス・ムーヴメント』にも参加したアンドレ3000がブルーノート東京に登場。カルロス・ニーニョ(パーカッション)のほか、アルバムに参加したスーリヤ・ボトファシーナ(キーボード)、ディーントニ・パークス(パーカッション)がステージに上がるという。先に述べたような、プリミティヴ一辺倒でも電子音ばかりでもない、表情豊かでオーガニックなサウンドを披露してくれるはずである。
無心で身を委ねれば心地よく、音に集中すれば想像力を刺激してくれるのがアンビエントの面白いところ。そこには聴く側の心持ちやコンディションも大いに反映されるだろう。ぜひ各々のアプローチでこのライヴに向き合ってもらえればと思う。
LIVE INFORMATION
André 3000:New Blue Sun LIVE
2024 11.25 mon., 11.26 tue., 11.27 wed.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/andre-3000/
<MEMBER>
アンドレ3000(フルート)
スーリヤ・ボトファシーナ(キーボード)
カルロス・ニーニョ(パーカッション)
ディーントニ・パークス(パーカッション)