1985年、ロンドン郊外のイーリングでアンドリュー・レヴィ、サイモン・バーソロミュー、ヤン・キンケイドによって結成されたブラザー・インターナショナルが母体。ジェームス・ブラウンのオープニング・アクト等を務めた後、ブラウンのキャッチフレーズのひとつ"ミニスター・オブ・スーパー・ヘヴィー・ファンク"にヒントを得てザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズと改名し、88年にレコード・デビューを果たした。『ブラザー・シスター』は、「BNH」や「ドリーム・カム・トゥルー」を含む『ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズ』（1990）、ギャングスター、メイン・ソース、ファーサイド、ブラック・シープらとコラボレートした『ヘヴィー・ライム・エクスペリエンス・ヴォリューム・ワン』（1992）に続くアルバムとして1994年に発表され、全英チャートで最高4位に到達。エンディア・ダヴェンポートがリード・ヴォーカルを担当し、サポート・ミュージシャンにはジェラルド・プレセンサー（チャーリー・ワッツの一連のジャズ・プロジェクト等で活動）、デニス・ロリンズ（ギャリー・クロスビー率いる"ジャズ・ジャマイカ"にも関与）、スティーヴ・ウィリアムソン（シャバカ・ハッチングスが敬愛するひとり）など当時のUKジャズ・シーンの最先端に位置していた凄腕が揃った。ジョージ・クリントンからの信頼も厚いキーボード奏者アンプ・フィドラーが参加した「ドリーム・オン・ドリーマー」、マリア・マルダーのヒット曲をキャッチーかつ斬新なアレンジで蘇らせた「真夜中のオアシス」は今もザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズのライヴに欠かすことのできない大定番だ。

　今回のツアーでは、オリジナル・メンバーのアンドリュー・レヴィとサイモン・バーソロミュー、2018年からザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズのリード・ヴォーカルを務めるアンジェラ・リッチを大きくフィーチャー。『ブラザー・シスター』収録曲をフルで繰り広げるほか、グループの歴史を彩ってきた不朽のヒット・チューンも披露される予定だ。24年9月には、未発表デモや別ヴァージョンなどボーナス・トラックも含む2枚組『ブラザー・シスター 30周年記念盤』がリリースされたばかり。それを聴いてからライヴに足を運ぶか、ライヴを浴びてからアルバムに耳を傾けるか、どの順番にしてもライヴとアルバムを共に味わえば、1＋1＝2を遥かにしのぐ興奮が押し寄せるに違いない。

　私はかつてブライアン・ウィルソン（ビーチ・ボーイズ）の「ペット・サウンズ・ツアー」やロジャー・ウォーターズ（ピンク・フロイド）の「狂気ツアー」などに足を運び、歳月を超えて輝く名盤のパワーと、その収録曲が目の前で、より円熟味を増したパフォーマンスを伴って立ちあがってゆく場にいる喜びに包まれた。この春、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズが、どのように『ブラザー・シスター』の音楽世界を再創造し、日本のファンに届けてくれるのか。文字通りのプレミア級ライヴの開催が心から待ち遠しい。

RELEASE INFORMATION

『Brother Sister (30th Anniversary Edition)』
(London Records / ritmo calentito)

LIVE INFORMATION

THE BRAND NEW HEAVIES
"Brother Sister" 30th Anniversary Tour in Japan
2025 2.23 sun., 2.24 mon., 2.25 tue., 2.27 thu., 2.28 fri.
2.23 sun., 2.24 mon.
[1st]Open3:30pm Start4:30pm　[2nd]Open6:30pm Start7:30pm
2.25 tue., 2.27 thu., 2.28 fri.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm　[2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/the-brand-new-heavies/

＜MEMBER＞
サイモン・バーソロミュー（ギター、ヴォーカル）
アンドリュー・レヴィ（ベース、パーカッション）
アンジェラ・リッチ（ヴォーカル）
ケリ・アーリンデル（バックヴォーカル）
ブライアン・コルベット（トランペット）
リチャード・ビーズリー（サックス）
マット・スティール（キーボード）
ミム・グレイ（バックヴォーカル、パーカッション）
ルーク・ハリス（ドラムス）

後援：ブリティッシュ・カウンシル