ブルーノート東京26周年、スターがクラブを包み込む
26th ANNIVERSARY BLUENOTE TOKYOUnforgettable moment with NATALIE COLE
ブルーノート東京26周年、スターがクラブを包み込む
食、音楽の秋、そしてクリスマスから年末へと、世の中が活気づくこの季節、ブルーノート東京は11月に26度目のアニヴァーサリーを迎えます。
世界最高峰のシンガー、ナタリー・コールをはじめ、デヴィッド・サンボーン、アル・ジャロウなど、スターも続々登場。トップアーティストが包み込む空間と美味なる食事─つまりブルーノート東京を味わうには絶好のチャンス。
今回は、通い慣れた「通」から話しを聞き「ブルーノート東京の愉しみ方」をご紹介します。
中村史郎(なかむら・しろう)
日産自動車株式会社専務執行役員 チーフクリエイティブオフィサー
「ジャズクラブは最高のエンターテイメントです」
ブルーノート東京の常連でもある中村史郎さんは、日産自動車でチーフクリエイティブオフィサーを務める。肩書きは専務執行役員とやや重たいが、クルマをはじめデザインのすべてを統括する、クリエイティブなお仕事である。
もともと「ジャズミュージシャンになろうか、クルマのデザイナーになろうか迷った」と言うだけあって、中村さんはジャズに関して、演奏でも鑑賞でもプロ級。鑑賞の面では、1970年代は新宿のジャズクラブに通い、自動車会社に勤務してからは、米国をはじめ海外への出張があると、寸暇を惜しんでジャズクラブへ足を運んできた。
「好きなミュージシャンの出演をガイドでさがして観ることが多いですが、クラブの魅力は、意外なミュージシャンと出合えること。数年前にニューヨークではたまたまその日しか自分のスケジュールが空いていなかったおかげで、ビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビー』でドラムスをたたいていたポール・モティアンのトリオを聴くことが出来ました。彼の演奏を間近で観たことがなかったので嬉しかったですねえ。そういう偶然のたまものも、クラブだからこそ手に入るんです」
ブルーノート東京とのつきあいは26年前のオープンからで、好きなミュージシャンのときは言うまでもなく、仕事が早く片付いたときに、「なにかいい音楽を聴こう」と駆けつけることもあるそう。
「たとえばナタリー・コールも、2008年に"なんとなく"観に行ったら、とてもよかったんです。お父さんのナット・キング・コールの曲をカバーした『アンフォゲッタブル』を、ブルーノート東京のステージで、彼の写真を大きく映し出して歌ったときは、CDでは味わえない感動をおぼえました」
ナタリー・コールも、「(客席と)とても親密な関係が築けるブルーノート東京は大好きです。世界中探してもこんないいクラブはありません。また東京に行くのを楽しみにしています」というメッセージを寄せているそうだ。ゲストとミュージシャンとクラブ、3つが一体になったとき、グレート・ミュージックが生まれると知れる。
もうひとつ、中村さんがブルーノート東京でジャズを聴くのを好む理由があるという。「ジャズはシャンパンとも合うんです。でもコンサートホールではそれが出来ないし、そういう雰囲気のジャズクラブはなかなかない。ブルーノート東京では、音楽とともに、いいお酒と、おいしい料理が同時に楽しめる。"いまのアドリブ、よかったよね!"と笑顔で会話できるのは、ほんと最高です。おとなのエンターテイメントの場なのです」
中村さんは、座るならここ、と決めているシートがある。ふだんは友人たちとボックスシート。そしてもうひとつ、大好きな場所を持っている。
「ブルーノート東京のPAはおそらく最高だと思っています。僕がいつも気になるベースの音もクリアに聴けます。なかでも、最も音がいいと感じているのが、後方のカウンタースツールです。ひとりで聴くなら、ここがおすすめです」
このように、中村史郎さんは、ブルーノート東京の魅力を知り尽くしている感がある。表参道交差点から根津美術館を傍らに観ながら、店までつづく道は、東京でもとくに好きなコースだと言う。ブルーノート東京の存在は、生活を豊かにしてくれる点でデザインと似ているかもしれない。
photography = Takuo Sato interview & text = Fumio Ogawa
- NATALIE COLE(ナタリー・コール)
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1950年生まれ。ナット・キング・コールを父に持ち、11歳から活動。
デビューの75年と91年にグラミー賞受賞。代表曲に亡き父と共演した「アンフォゲッタブル」をはじめ、昨年はラテン・アルバム『エスパニョール』をリリース。
- 小川フミオ(おがわ・ふみお)
- ライフスタイル全般を手がけるジャーナリスト。「GQ」「UOMO」「LEON」「FIGARO」などに寄稿。ブルーノート東京「JAM」では、これまでに料理を中心に記事を執筆。今回の中村史郎さんには過去何度もインタビュー経験あり。