3月に新作もリリース、カサンドラ・ウィルソンにインタビュー | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

News & Features

3月に新作もリリース、カサンドラ・ウィルソンにインタビュー

3月に新作もリリース、カサンドラ・ウィルソンにインタビュー

アルバムの音をリアルタイムにショウで再現するという
斬新なチャレンジに挑む

10代から憧れ続けてきたビリー・ホリデイの生誕100周年の節目に、彼女のトリビュート・アルバムを発表するカサンドラ・ウィルソン。ジャズからブルース、フォークを網羅する深遠なる世界観と、ワン&オンリーのディープ・ヴォイスで魅了するカリスマ歌姫に、待望の新作と来日公演について語ってもらいました。

READ MORE

――3月18日に日本先行発売される新作『ビリー・ホリデイ・トリビュート~カミング・フォース・バイ・デイ』について教えてください。

「ここ数年温めてきた、偉大なるヴォーカリストへのオマージュという企画なの。10代の頃から唯一無二のビリーのヴォーカルと、サウンドに心惹かれてきた。それを現代の視点で歌いたいと思ったのよ。私に課したことは、斬新で今までにないユニークな作品にすること。だから、敢えてニック・ケイヴらオルタナティヴ・ロックやパンクのアーティストを手掛けてきたニック・ローネイにプロデュースをお願いしたの。異なるジャンルの人と組むと、予想外の化学反応が起きるもの。それを期待しての起用だったけれど、素晴らしい仕事をしてくれたわ」

――レコーディングには今回の来日公演にも同行するジョン・カウハード(p)、ケヴィン・ブレイット(g)のほかにヤー・ヤー・ヤーズのニック・ジナーやバッド・シーズのトーマス・ワイドラーといったロック系ミュージシャンが参加していますよね。

「最初はどうなるかわからなかったけれど、息も合ったし、誰もが熱心に取り組んでくれた。参加してくれた全員のビリー・ホリデイに対するリスペクトと自由な発想が結果、このプロジェクトの要になったと思うわ」

――さて、今回の来日公演ですが、どんなショウになるでしょうか。見どころは?

「今までとは全く異なるアプローチを試みるつもりよ。具体的にはCDに収録されている音のほとんどをリアルタイムで再現しようと思っている。レコーディングではさまざまなループトラックを用いて、アトモスフェリックなサウンドを作っているわけだけれど、それを観客のみなさんに聴いていただこうというもの。大変な試みではあるんだけれどね...」

――これまでに何度もブルーノート東京のステージに立っていますが、強く残っている印象などはありますか。

「日本の観客は本当に素晴らしい。音楽の歴史をわかったうえで聴いてくれているし、内観的な観客だということもわかる。とにかく音楽を聴くことにおいて卓越している。優れた受容力があって、私と一緒に音楽の旅をしてくれていることがわかるの。私自身が素晴らしい経験が出来るのが日本でのコンサートよ」

――最後に日本で楽しみにしていることは?

「温泉よ。何度も行っているけれど、今度も絶対に行きたい。待ちきれない気持ちよ(笑)」

interview & text = Noriko Hattori



服部のり子(はっとり・のりこ)
音楽ライター。レコード会社勤務を経て、音楽ライターになる。現在毎日新聞やマリソルなどに執筆し、JAL機内放送『ソフト&スムース』などの選曲している。


RECOMMENDATION