話題のシンガー、カロ・エメラルドのジャパン・ツアー
JAPAN TOUR 2015
5.18mon. AKASAKA BLITZ
5.19tue. - 5.20wed. BLUE NOTE TOKYO
オランダ発、レトロでポップでグラマラス!
話題のシンガー、カロ・エメラルドのジャパン・ツアー
ダンス・ミュージック大国のオランダで大ブレイクし、今や世界規模で活躍するカロ・エメラルドが待望の初来日公演を行なう。
グラストンベリーなど大型フェスで人気を博してきた彼女のライブを東京でも体感できるチャンスがやってきた。
〈ある夜、SNSを覗くと、早耳の友人があるアーティストについて書いている。どうやら日本ではまだデビューしておらず、貼られたリンクは、そのアーティストの曲が聴けるYouTubeアドレス。また掘り出し物を見つけたに違いないと聴いてみると、予想以上にいい。ミュージックビデオもお洒落で、なかなか好み。上がっている動画は多くないものの、どうやら本国でもデビューしたばかりらしい彼女の輪郭を知るには充分。さっそくiTunes Storeにアクセスすると、ものの数分で、数十分前までは名前も知らなかった彼女のデビュー・アルバムが僕のPCから流れ始めた─。〉
冒頭からなんだかインターネット・サービスの宣伝文句のようなものを書いてしまったのは、奇しくもYouTubeとiTunes Storeが共に今年で誕生からまる10年と知ったからなのですが(iTunes~は日本でのサービス開始から10年)、かつての輸入レコード店の役割をインターネットが分担するようになり、聴きたい音にすぐにアクセスできるようになったのは、個人的にはうれしい出来事でした。便利さが必ずしも良いことばかりとは言いきれない、という話はまた別の機会に譲るとして、以前よりも新しい音楽に出会いやすくなったのは事実。そしておそらく、初来日が決まったオランダのシンガー、カロ・エメラルドについても、こんなふうに彼女とのファースト・コンタクトを果たしたリスナーも多いのではないでしょうか。なにしろYouTubeの公式チャンネルに上がっている彼女のMVときたら、ソール・バスの映画のタイトルバック風なものもあったりと、なんともお洒落なのです!
早耳リスナーを中心に2年ほど前から日本でもジワジワと注目を集め始めたカロ・エメラルド。その魅力は多面的で、とてもユニークです。まず惹きつけられるのはなんといっても、グラマラスなそのヴィジュアル。左の写真で一目瞭然のように、つばの広いガルボハットにクラシカルなドレスはまるで往年のハリウッド女優の趣きで、CDのブックレットでの出で立ちも、60~70年は過去にタイムスリップしたかのよう。今でこそ女性のファッション・トレンドは着心地重視のカジュアル指向ですが、いつの時代も"装い"は女性の憧れ。タイトなドレスの魅力も永遠。かつ、男目線とは無関係の美学とスタイルを貫いているとくれば、お洒落女子にはこれだけでもう座布団5枚、高得点です。もちろん、カロのこだわりは見た目にとどまりません。ファッション同様、音楽のほうも1940~50年代の黄金期ハリウッドにインスパイアされ、当時のスウィンギーなジャズやシネマライクな音楽を中心に、マンボやルンバ、ラウンジまでをも吸収。さながら彼女自身が主演の映画のサントラのごとき独特の世界を創出しています。かといって難解でもマニアックでもなく、ノスタルジックなムードの中にはヒップホップやエレクトロ・スウィング的なグルーヴ、ポップ感がちりばめられ、一度聴いたらクセになる中毒性もたっぷり。もともと日常的にジャズに親しみ、同時にダンス・ミュージック大国ともいわれるオランダで彼女が大ブレイクしたのも納得です。
さて、略歴にも触れておきましょう。生まれは1981年、オランダのアムステルダム。"Les Elles"というコーラスグループを経てソロとなり、2009年にシングル・デビュー。その1年後に自国のTV番組に出演すると、YouTubeやSNSでの注目度が急上昇。デビュー・アルバム『Deleted Scenes From The Cutting Room Floor』からのリード・シングル「A Night Like This」はオランダのシングル・チャートで1位を獲得、さらにアルバムが2010年1月にリリースされると、これもアルバム・チャート1位となり、プラチナム・セールスを記録。最終的にはマイケル・ジャクソン『スリラー』の記録を抜く30週連続1位のモンスター・ヒットとなります。そして2013年には2ndアルバム『ザ・ショッキング・ミス・エメラルド』を完成させ、日本デビューも実現。本作はオランダではもちろん全英チャートでも初登場1位となり、翌2014年には世界最大規模の音楽フェス、グラストンベリー・フェスティバルに参加。そして今年はいよいよ日本公演を含むツアーを5月からスタート。オフィシャルサイトによると、ドイツやデンマーク、イギリス、ハンガリー、イタリアなどでの公演も決まっているようで、すでにヨーロッパでは高い知名度を誇るカロの快進撃が目に見えるようです。
レトロなサウンドやヴォーカル・スタイルから、海外ではアデルやエイミー・ワインハウスが引き合いに出されたりもしているカロ。グラストンベリーの大舞台も経験した彼女は、初の日本公演ではどんな装いで、どんな世界へと私たちをいざなってくれるのでしょうか。期待がつのります。
text = Ami Kono
- 河野アミ(こうの・あみ)
- 20代半ばよりテレビ誌や情報誌、ファッション誌、ウェブ等にて音楽系の原稿を中心に執筆。現在は人物インタビューから、ファッション誌『DRESS』での音楽連載、書籍編集まで幅広く活動中。
TOUR INFORMATION
カロ・エメラルド ツアーインフォメーション
5.18 mon. 赤坂BLITZ
クリエイティブマン ☎03-3499-6669
(平日 12:00〜18:00)http://www.creativeman.co.jp/artist/2015/05caroemerald/
※赤坂BLITZのチケットはブルーノート東京でもお取り扱い中
(平日16:30〜22:30、土日祝 15:00〜22:30、休演日以外/店頭のみ)
5.19 tue. - 5.20 wed. ブルーノート東京
ブルーノート東京 ☎03-5485-0088
(月〜土 11:00〜23:00/日祝 11:00〜21:00)
www.bluenote.co.jp
『Deleted Scenes from the Cutting Room Floor』
本国オランダで30週連続1位を記録したデビュー・アルバム。ジャズを基本に、スウィングやマンボ、ルンバ、そしてラウンジなどのビートを取り入れたスタイルが反響を生んだ。
『Shocking Miss Emerald』
セカンドは発売初週にBBC全英チャートで首位を獲得。レトロな持ち味や独特のアンニュイさはそのままに全体的な方向性に統一感が生まれ、サウンド的な心地よさはより増した感。
ライヴ盤『ライヴ・イン・グラスゴー』が、4月22日に発売予定。
(全てRambling RECORDS)