プリンス率いるNPG、リヴ・ウォーフィールドの魅力 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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プリンス率いるNPG、リヴ・ウォーフィールドの魅力

プリンス率いるNPG、リヴ・ウォーフィールドの魅力

音楽評論家、吉岡正晴氏が語る
プリンスファミリーのソウル・ディーヴァ、
リヴ・ウォーフィールド

NPG (The New Power Generation)でも活躍中のソウル・ディーヴァ、リヴ・ウォーフィールドがいよいよ登場。公演に向けて、その魅力をライターの吉岡正晴氏が解説する。

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★アスリートから歌へキャリア転換した異才

ロックンソウル。

このところプリンスに抜擢されたことで一躍注目されることになったシンガー、リヴ・ウォーフィールドは1979年7月10日、イリノイ州ピオリアに教会の助祭の娘として生まれた。元々運動が得意でオリンピックも狙えるほどの陸上および体操の選手だった。1999年頃、体操で奨学金を得たのでオレゴン州ポートランドの大学に通うため同地に移住。そこで友人にカラオケを教わり、カラオケで歌い始めたところこれがおもしろくなり、体操よりも歌のことが重要になり始めた。地元のカラオケバーで週5日働くようになり、まもなく「ポートランドでもっともソウルフルなシンガー」として名を馳せるようになった。2006年、自主制作のような形でアルバム『エンブレース・ミー』をリリース。

2008年10月、ユーチューブに自作の映像をアップ、それを見たプリンスから呼び出されオーディションを受け、合格。プリンスのバックバンドであるニュー・パワー・ジェネレーションの新メンバーに抜擢された。2009年1月から約5年、同メンバーとしてプリンスのツアーに帯同。現在もメンバーだ。

メンバーとしてエネルギッシュなパフォーマンスを見せ、2014年2月、プリンスの力添えでアルバム『アンエクスペクテッド』をリリース。プリンス色の強いソウルフルなブラック・ロック・サウンドで注目されるようになった。

今回の来日はもちろん初。ティナ・ターナーに影響を受けたというリヴのロックンソウルなパフォーマンスが楽しみだ。

★プリンスとの出会いで一挙に広がりを見せたキャリアの発展

プリンス。

プリンスがリヴがアップしていたユーチューブ映像を見て気に入り、オーディションに誘ったのは2008年のこと。マネージメントから電話があったとき、初めは嘘か冗談だと思い、とても信じられなかったという。同年10月、ミネアポリス郊外のシャンハッセンにあるペイズリー・パーク・スタジオで初めて会ったときも、プリンスはやさしく、いろいろ音楽的なアドヴァイスをくれたという。

2009年にはプリンスのアルバム『ロータスフラワー』、さらに2010年の『20TEN』にも参加。レコーディングではアンディ・アローの作品にも参加、また、ニュー・パワー・ジェネレーションのメンバーからも実に多くのことを学んだ。

彼女がツアー・メンバーとして参加したのは2010年の「20TENツアー」以降、2015年の「USヒット・アンド・ラン・ツアー」にも参加が予定されている。ニュー・パワー・ジェネレーションのメンバーも、2作目『アンエクスペクテッド』では、力を貸している。また、プリンスは2曲(「アンエクスペクテッド」「ユア・ショー」)で曲作りにも参加、エグゼクティヴ・プロデューサーとなってくれた。

この2作目のハイライト曲の1曲「ホワイ・ドゥ・ユー・ライ」について、リヴは「私はとてもティナ・ターナーに影響を受けているの。私にはもともとロックの要素があって、それをアルバムの中でも出したかった。この曲はまさにそんな感じなのよ」と言う。

また、彼女は1970年代に人気となったブラック映画で「黒人版007」などと言われる『クレオパトラ・ジョーンズ』シリーズの大ファンで、その映画のカーチェースのシーンで流れそうな曲として、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(捕まえられるものなら、捕まえてみな)のアイデアを思いついたと語っている。


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★パワフルなライヴが最大の魅力

ライヴ。

リヴは、ニュー・パワー・ジェネレーションの約15名のバンド・メンバーの一員として約5年プリンスとともにツアーをしている。プリンスはライヴにひじょうに厳しいアーティストだ。ミュージシャンたちを厳しく育てることで知られる。それはかつてのレヴォリューション、彼がてがけたタイム時代から変わらない。

ライヴできっちり演奏ができること、振付けなどもできること、エンタテイナーとしてちゃんと見せられるものをすること、それらがすべて要求される。

そんな中で5年もツアーに帯同していたら、否が応でもライヴの厳しさ、難しさを会得する。おそらくライヴ叩き上げのミュージシャンとしての姿が、来日ステージでも繰り広げられるだろう。

今回の来日メンバーにはシャーデーのライアン・ウォーターズ、ロック・グループ、元ホワイトスネイクのユーライア・ダフィーなどが参加、ティナ・ターナーを彷彿とさせるロックンソウルなパフォーマンスは、会場を熱狂の渦に巻き込むこと間違いなしだ。


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吉岡正晴(よしおか・まさはる)
音楽評論家・DJ。ブラック・ソウル・R&Bミュージック、ダンス・ミュージックに強い。CDなどにつくライナーノーツ、音楽誌雑誌などに寄稿。ソウル・ミュージックの魅力を広めるためのウェッブサイト、イヴェント『ソウル・サーチン』主宰。


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