近年は、"ひとり和音"の歌声でリスナーを圧倒したスナーキー・パピーとの「Something」、ロバート・グラスパー・エクスペリメントとの「Jesus Children」で2年連続グラミー賞の栄冠に輝いたレイラ・ハサウェイ。女声ながら亡き父ダニー・ハサウェイを思わせる深々としたアルト・ヴォイスは若手人気ラッパー＝ケンドリック・ラマーの最新作で引用され、ニーナ・シモンのトリビュート盤ではコモンと共演するなど、ここにきて時の人となっている。

　そんなレイラが、アルバム・デビューから25年を迎える今年、ライヴ実況盤『Lalah Hathaway Live』をリリース。オペラ歌手を母に持ち、バークリー音楽大学で学んだ経験もあってか、故ジョー・サンプルとの共演盤を含めジャズ・ミュージシャンとの交流が多い彼女は即興にも自在に対応できる歌唱力の持ち主で、それはライヴにおいても大きな魅力となっている。

　今回のアルバムには、父ダニーが72年に発表したライヴ盤の録音地であるハリウッドの名門クラブ［トルバドール］でのパフォーマンス音源を収録。自身のソロ・ナンバーを中心に、ダニーの「Little Ghetto Boy」やアニタ・ベイカーの「Angel」といった名曲カヴァーを歌った内容となっており、そんな作品を携えてのブルーノート東京公演は好機というしかない。

　しかも、本公演はクリスマス真っ只中ということで、ダニーの定番曲「This Christmas」も披露されることだろう。彼女のスピリチュアルな声は、このシーズンこそがふさわしい。

Christmas Evening with
LALAH HATHAWAY2015 12.23 wed. - 12.25 fri.

ソウルフルでスピリチュアルな歌声
トップ・ソウル/R&Bシンガーが贈るクリスマス・ライヴ

※詳しくは公演詳細ページまで

　

『レイラ・ハサウェイ・ライヴ』（AGATE / Inpartmaint）

text = Tsuyoshi Hayashi
photo = Takuo Sato

林 剛（はやし・つよし）

R&B／ソウルをメインとする音楽ジャーナリスト。雑誌やウェブへの寄稿、CDライナーノーツなどを手掛ける。今年7月、共著で『新R&B入門~ディアンジェロでつながるソウル・ディスク・ガイド 1995-2015』を刊行。