矢野顕子インタビュー、今だから歌える歌を求めて。 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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矢野顕子インタビュー、今だから歌える歌を求めて。

矢野顕子インタビュー、今だから歌える歌を求めて。

AKIKO YANO TRIO
featuring WILL LEE & CHRIS PARKER
2016 8.16tue. - 8.20sat. (8.18 thu. OFF) 今だから歌える歌を求めて

 矢野顕子トリオが戻ってくる。
アニバーサリー・イヤーの今年はスペシャル企画が目白押しだが、
そんな中で「40周年を意識しないのが逆に特別」というブルーノート東京での公演への意気込みを、本拠地ニューヨークでのレコーディングの合間に語ってくれた。

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 「自分のできる範囲をもしかしたら超えているかも」

 のっけから意外な言葉が飛び出してきた。

 40周年企画「ふたりでジャンボリー」では日替わりスペシャルゲストに糸井重里、清水ミチコらを迎え、4月にはライブアルバム「矢野顕子TIN PAN PARTⅡさとがえるコンサート」と、気鋭の若手アーティストらとコラボした映像作品「Two Jupiters」をダブルリリース。さらに40周年のロゴイラストをマンガ家の浦沢直樹が手掛けるなど目の覚めるような活躍が続いているが、その分近年なかったほどのハードスケジュールだと言う。

 「でもやってよかったです。こういうのも40年やってきたからだろうなと。みんなが色々応援してくれるし、何よりスタッフが燃えてくれて企画がどんどん出たので。もうスタッフが支えてくれなければできないです」

 その姿勢はあくまで謙虚。「人より少しピアノが弾けるという事以外は、自分はとても普通ですから」

 そうは言っても40年間第一線で走り続けるのは並大抵のことではない。

 「でも自分が60歳になるというのは想定外でしたね(笑)」いたずらっぽく微笑みながら、「年を重ねるのはいいこと」と言う。

 「20年前には気づかなかった、書けなかったことを歌で出せるようになったのはいい点だし、その点で若い時の自分に戻りたいとは全く思わないですね。肉体的には40代の時はもっときれいだったとかありますけれど(笑)、長く生きていてわかったことを自然に音楽に反映できればいいなと思っています」

 今しか作れない音楽とひたむきに向き合ってきたアーティストだからこその言葉。ではこれから40年後は?

 「生きてはいたいですよね、音楽も作っていたいですし。さすがに100歳になるとみなさんにご迷惑をおかけしているかもしれませんが(笑)」

 そんな矢野さんがキャリアの半分以上を過ごしたニューヨークで、一緒に音楽を作り続けている仲間たち、ベースのウィル・リー、ドラムスのクリス・パーカーによる矢野顕子トリオが今年もやってくる。ところが矢野さんは、こちらはあえて40周年を意識していないという。

 「それが逆に特別だと思うんです。ブルーノートでやる時、これが毎年自動的にできるわけじゃないということを自覚していますから。いつもベストを尽くすのが当たり前なんです」

 「今年もすでにウィルから"この曲やりたい"というリクエストが来ています。毎回毎回全部違うものを皆さんと直接シェアできる本当に特別なショウ、トリオの今年の最新モデルを楽しんでもらえたらと思います」

 実は矢野さんにはもう一つの楽しみがある。矢野さんのリクエストによるこの夜だけの特別メニューとオリジナルカクテルだ。

 「〈また、君のことを考えている〉、〈ずっと好きだったんだ〉なんていうカクテルの名前を考えるのは楽しいですし、お店のスタッフももう何ヶ月も前から"今年はどうしましょう"と腕まくりしている感じでいつも作る意欲に満ちている、そういうジャズクラブは世界中ここしかないと思いますね」

AKIKO YANO TRIO
featuring WILL LEE & CHRIS PARKER
(矢野顕子トリオ featuring ウィル・リー&クリス・パーカー)
2016 8.16 tue., 8.17 wed., 8.19 fri., 8.20 sat.
8.17 wed., 8.19 fri.
[1st]Open5:30pm Start6:30pm [2nd]Open8:20pm Start9:00pm

8.16 tue., 8.20 sat.
[1st]Open4:00pm Start5:00pm [2nd]Open7:00pm Start8:00pm
※詳しくは公演詳細ページまで

photography = Michika Mochizuki
interview & text = Megumi Sato-Shelley

シェリーめぐみ(MEGUmedia)
ジャーナリスト、ディレクター。早稲田大学政経学部卒、1991年からニューヨーク在住、音楽・ポピュラーカルチャーを軸に、多民族社会やミレニアルズ世代などたった今のアメリカを伝える。

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