今回は"ノネット"で登場! ロン・カーターにインタビュー | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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今回は"ノネット"で登場! ロン・カーターにインタビュー

今回は"ノネット"で登場! ロン・カーターにインタビュー

RON CARTER NONET2016 11.11fri.−11.15tue. ジャズ・ベースのマエストロが
"ノネット"で登場!

"ジャズ・ベースの王者"ロン・カーターが、編成としては珍しい"ノネット"で登場する。
しかも今回は通常のベースではなく、'70年代に彼が開発したメロディ楽器"ピッコロ・ベース"を
携えての来日とあって、その魅力が従来以上に味わえる夜になることは間違いない。そんなトピックスが盛りだくさんの彼にインタビューを敢行、公演に対する思いを聞くことができた。

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ジャズ・ベースの巨匠ロン・カーターが今年もやって来る。今回はノネット(9重奏団)を率いて、ベースの日(11月11日)に合わせての来日だ。グループの編成はどういうものだろう? カーターに聞いてみた。

「4人のチェロ奏者にわたしが弾くピッコロ・ベース、そこにピアノのコードとリズム・セクション(ベース、ドラムス、パーカッション)が加わることで、とても温かなサウンドが獲得できる」

このバンドでは、カーターがいつものベースではなくピッコロ・ベースに専念するのがお決まりだ。そちらにも興味が湧く。

「ピッコロ・ベースは通常のベースの半分のサイズで、レギュラー・ベースより4度高いチューニングで演奏される。サウンドは、チェロに比べると少し暗いかな......。だからこの楽器を用いると、ベースより高いサウンドを出すことが可能になる」

カーターは70年代半ばからピッコロ・ベースを使うようになった。

「最初にひと前で弾いたのは75年だね」

ぼくが知っているのは、いまはクローズしてしまったが、ニューヨークにあった人気ジャズ・クラブ「スウィート・ベイジル」でのライヴだ。このときは、通常のピアノ・トリオ(ピアノがケニー・バロン、ベースがバスター・ウィリアムス、ドラムスがベン・ライリ)をバックに、カーターがピッコロ・ベースを弾くカルテット編成だった。そして、そのライヴはタイトルもズバリの『ピッコロ』(マイルストーンズ)というアルバムで発表されている。

「いまでは、ピッコロ・ベースはノネットで演奏するとき以外は弾かない」

彼はこれまでにさまざまな編成のグループを率いてきた。ベーシストとしても素晴らしいソロの数々を聴かせてくれたが、今回の来日ではソロイストとしての魅力に触れることができるはずだ。

「ファンタスティックな音楽を用意しているからね。ワンダフルなサウンドと最高のミュージシャンたちによる演奏を楽しんでもらえたら嬉しい」

 

そんなカーターに、リーダーとしての心構えを聞いてみた。

「これは、答えるのが難しい。利点からいえば、曲目とメンバーを自分で決められること。テンポと演奏時間の長さも自分の好きにできる。難点は、仕事を見つけなきゃならないこと(笑)。ミュージシャンを雇って、エージェントやマネージャーを探して、みんなに給料を払わなくちゃいけないからね」

それでは、共演するミュージシャンを決める際に重視しているのはどんな点だろう?

「まず、きちんと音楽が演奏できること。批評に耐えられること。時間が守れること。それで、自分の演奏を進歩させようと努力していること」

いわれてみれば当然だが、実際はこういう基本中の基本をきちんと遂行するのが難しい。というか、カーターはこれらのことをきちんと守ってきたからこそ巨匠にまで上りつめることができたのだろう。これは、わが身を振り返っての言葉と受け止めたい。

カーターは大変なお洒落でも有名だ。せっかくだから、服装で気を使うことは? という質問もぶつけてみた。

「シャツとタイとポケットチーフにいつも気を配っている。もちろん、仕立てのいいスーツも大切だ」

何度も「ブルーノート東京」に出演しているカーターだが、今年28周年を迎えるこのクラブについてのは感想は?

「新しいファンと出会える場所......そして、常に最高の音を現実のものにしてくれて、みなさんが音楽を楽しんでくれていることがわかる場所かな」

日本についてはどんなふうに感じているのだろう?

「アメリカ人にとって、日本はもっともソフィスティケイトされている外国だ。ジャズのことがよくわかっていて、こよなく愛してくれている。わたしの音楽を最高にサポートしてくれているのが日本だし。それに食事もおいしい。素晴らしいひとばかりだよ!」

日本をこよなく愛するカーターである。その彼が、今回はぼくたちの前でどのような演奏を聴かせてくれるのか? 期待は高まるばかりだ。

RON CARTER NONET
2016 11.11 fri., 11.12 sat., 11.13 sun., 11.14 mon., 11.15 tue.
28thアニバーサリー・ディナー・コース
グラスシャンパンをプレゼント!
1名様 ¥8,316(税サ込)※詳細はウェブサイトまで

photography = Great The Kabukicho[cover], Yuka Yamaji [live]
interview & text = Takao Ogawa
PR coordinator / Artist = Kei Kato

小川 隆夫(おがわ・たかお)
音楽ジャーナリスト。近著に『証言で綴る日本のジャズ 2』『マイルス・デイヴィスが語ったすべてのこと』がある。12月14日には精鋭を結集したSelim Slive Elementsを率いて「モーション・ブルー・ヨコハマ」でデビュー・ライヴも決定。

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亀田誠治
ベーシスト/音楽プロデューサー

僕にとってロン・カーターの存在は、本の中の先生です。ハタチの頃、JAZZのベースラインに夢中だった僕。その時見つけたのがこの教則本なのです。おすすめのアルバムはたくさんあるけれどマイルス・デイヴィスの『The Complete Live At The Plugged Nickel 1965』。マイルス第二期のクインテットのキレッキレの演奏の中を、ロン・カーターのベースが変幻自在に泳ぎます。

 『The Complete Live At The Plugged Nickel 1965』

<亀田誠治が選ぶロン・カーターの1枚!>

マイルス・デイヴィス
『The Complete Live At The Plugged Nickel 1965』

(海外盤)

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TOKIE
ベーシスト

ずいぶん前にロン・カーターのライブを一度だけ拝見した事が。演奏しているときの立ち姿がとにかく美しかったのがとても印象に残っています。すらりと長い腕と指で優雅に弾いていながらの余裕の指さばきに終始見とれてしまいました。その時からですね「尊い」存在に。きっと音源を聴いていただけではこんな感情はおこらなかったと思います。

 『マイルス・イン・ベルリン』

<TOKIEが選ぶロン・カーターの1枚!>

マイルス・デイヴィス
『マイルス・イン・ベルリン』

(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル)

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近藤隆久
ベース・マガジン編集長

リーダー作『アップタウン・カンヴァセイション』(1969年)において、曲間にチェロを挿入している理由を"レコードの溝の、曲間の部分が見えないようにしたかった(笑)"と語るロンにシビれた覚えがあります。素養と革新、そして優しさと少しのシニカルさは、僕にとってのウッド・ベーシストの概念を変えてくれました。

 『アップタウン・カンヴァセイション』

<近藤隆久が選ぶロン・カーターの1枚!>

ロン・カーター
『アップタウン・カンヴァセイション』

(ワーナーミュージック・ジャパン)

日本記念日協会にも登録済み、11月11日はベースの日。

今年も〈ベースの日〉がさらにパワーアップし開催が決定! 本公演も連動イベントとして盛り上げ、他、ベースを主役にした多彩なライブ・イベントが都内で行われます。
※詳しくはウェブサイトまで。

 ベースの日

ベースの日

11月11日、4つの「1」を4本の弦に見立てる。ベースという楽器のすばらしさを通して、音楽の楽しさを分かち合うきっかけを作っていこうという目的のもと発足。2014年に正式に日本記念日協会にも登録された。

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