公演直前、ブルーノート東京オールスターズがゲストを迎えディジー・ガレスピー生誕100年を祝う | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

News & Features

公演直前、ブルーノート東京オールスターズがゲストを迎えディジー・ガレスピー生誕100年を祝う

公演直前、ブルーノート東京オールスターズがゲストを迎えディジー・ガレスピー生誕100年を祝う

今回のテーマは生誕100周年を迎えるディジー・ガレスピー
スペシャルゲストと日本のジャズ界を代表するスタープレイヤー軍団がその魅力を伝える

いよいよ来週24日(火)と迫ったブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラの公演テーマは、2017年に生誕100周年を迎えるトランペット奏者ディジー・ガレスピーへのトリビュート。今回は愛弟子であるジョン・ファディスの参加や、本オーケストラの音楽監督を務めるエリック・ミヤシロとそのファディスとの熱いトランペット・バトルにも期待が高まる。

READ MORE

★生誕100年を迎えるディジー・ガレスピー

1月20日、アメリカ大統領就任式が行なわれる。

今から半世紀以上も前、出馬を考え、スローガンまで用意していたジャズ・ミュージシャンがいたことをご存じだろうか。その人物こそ、今年生誕100周年を迎えるディジー・ガレスピーである。

本名はJohn Birks Gillespie。1917年、米国サウスカロライナ州に生まれた。"ディジー"というニックネームは、そのトランペット・プレイが目のくらむほど輝かしかったから、というのが定説だ。いわゆるモダン・ジャズの原点"ビ・バップ"をチャーリー・パーカーらと共に創造、卓越したテクニックと輝かしい音色は少年時代のマイルス・デイヴィスを始め、多くの後進を魅了した。'47年、パーカーやエラ・フィッツジェラルド(彼女も今年、生誕100年を迎える)をゲストに迎えて「カーネギー・ホール」でリサイタルを開催。'56年には米国国務省の依頼を受け、文化交流使節として中東ツアーを敢行している。いわゆるキプロス問題で緊張が走っていた頃だが、コンサ―トは大好評、しかも彼が率いたオーケストラは黒人白人男性女性が入り混じる、当時としてはかなり斬新なものだった。ガレスピーは「これがアメリカの姿です」と、多彩な顔ぶれを観客に紹介したという。'63年には大統領選に向けて、「ディジー・フォー・プレジデント」なるキャンペーンを開始。「私が当選した暁にはホワイト・ハウスをブルース・ハウスと改めよう。公民権運動を徹底しよう。健康保険料や学費を免除して、黒人の宇宙飛行士を送り出そうじゃないか」と意気込んだ。

'71年にはセロニアス・モンク(彼も今年で生誕100年)やアート・ブレイキーとの期間限定ユニット"ジャイアンツ・オブ・ジャズ"を結成。'88年からはジョン・ファディス、アルトゥーロ・サンドヴァル、パキート・デリヴェラら数多くの気鋭を含む"ユナイテッド・ネーション・オーケストラ"を率い、93年に亡くなるまで現役を貫いた。タレント・スカウトの才能にも定評があり、前述3人のほかにもジョン・コルトレーン、クインシー・ジョーンズ、ラロ・シフリン(「燃えよドラゴン」等の映画音楽で大成功を収める)、フィル・ウッズ、ベニー・ゴルソン、ケニー・バロンなど数々の逸材がガレスピーの許から巣立っている。


★ガレスピーの愛弟子、ジョン・ファディス

「ディジーは私の親友であり、師匠でもある。これまで出会った中でザ・ベストの人物だよ」。ジョン・ファディスはガレスピーについてこう語る。1953年生まれの彼は8歳のとき、人気TV番組「エド・サリヴァン・ショウ」でルイ・アームストロングのパフォーマンスを見てジャズ・トランペットに開眼した。間もなくガレスピーのファンにもなり、15歳のときに初対面。楽屋を訪ねたときの"神対応"ぶりに感激し、いつか一緒にステージに立つぞと決意、'77年にスイスのモントルー・ジャズ祭で行なわれた共演はアルバム化されて好評を博した(『Dizzy Gillespie Jam: Montreux '77』)。御大なき後は、ディジー・ガレスピー・アラムナイ(卒業生)・オールスター・バンドの演奏者/指揮者としても活動。彼のレガシーを現代に伝えている。

ガレスピー関連以外では、サド・ジョーンズ=メル・ルイス・オーケストラ(現ヴァンガード・ジャズ・オーケストラの母体)、ジャコ・パストリアス・ビッグ・バンドなど数々のアンサンブルへの在籍経験も誇り、ビリー・ジョエル『イノセント・マン』、山下達郎『ポケット・ミュージック』などポップス系アルバムへの参加も多数。今回のステージも、強力無比のハイノート(超高音)を駆使したプレイで楽しませることだろう。エリック宮城との熱いトランペット・バトルにも期待大だ。


★岡部洋一、大儀見元のパーカッションが、ディジーの魅力をさらに引き出す

ガレスピーは1939年から'41年にかけてキャブ・キャロウェイ(映画「ブルース・ブラザース」にも登場したエンターテイナー)のオーケストラで演奏した。その同僚であるキューバ出身のマリオ・バウサを通じて、彼はラテン音楽の深みを知る。'40年代半ばには「チュニジアの夜」を作曲、'47年には自身のオーケストラにキューバ人の打楽器奏者チャノ・ポソを迎え入れて「マンテカ」をはじめとするラテン・ジャズの古典を次々と生み出した。いち早くボサ・ノヴァに注目し、'61年の時点で「デサフィナード」をレパートリーに加えていたのもガレスピーだ。結成以来、さまざまなタイプのジャズに取り組んできたブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラだが、今回はパーカッション奏者の岡部洋一、大儀見元を新たに加え、ガレスピーのラテン・サイドにも目を向ける。華やかで躍動的なガレスピー・ミュージックが2017年の東京に、装いも新たに響き渡る・・・・これは嬉しすぎる事件だ!

 comment photo

Message from エリック・ミヤシロ

もう恒例行事となりましたBlue Note Tokyo All Starsの新春公演! 今年は生誕100周年のアーティストが多い年ですがその中でもジャズの歴史を大きく変えたBebopの生みの親とも言えるDizzy Gillespieの音楽をお届けします。今回お迎えするゲストはDizzyの音楽を知り尽くしている素晴らしい音楽家、Jon Faddisさんです! 譜面はJonさんが所有しているDizzyのオリジナルの譜面、名曲が多い為、各セットの選曲は変わりますのでどうか、両セットをご覧になってください! もちろん我々All Starsも新曲を持参して行きますので是非、2017年を熱いジャズで幕開けしましょう!!! 
Come on down to the Blue Note Tokyo, and join us for a night of red hot Jazz and Bebop!!!!

原田和典(はらだ・かずのり)
ジャズ雑誌の編集長を経て、2005年に独立。新聞、雑誌、ウェブ、CDライナーノーツ等に寄稿を続ける。著書に「世界最高のジャズ」等。ブルーノート東京のウェブサイトにライヴ・レポート掲載中。

RECOMMENDATION