ニュー・アルバムの発表も間近、カウント・ベイシー・オーケストラ
新作に期待が高まる
名門ビッグ・バンド
ジャズ・ビッグ・バンドの王道、カウント・ベイシー・オーケストラが2月にやってくる。今回は近日発売の新アルバムからの楽曲もいち早く披露されることが決定しており、いっそうバラエティに富んだ公演になりそうだ。コンダクター/トランぺッターのスコッティ・バーンハートに話を聞いた。
interview & text = Kazunori Harada
PR coordinator / Artist = Kei Kato
王者の風格、名門の輝き。1935年の発足以来、 世界中にビッグ・バンド・ジャズの醍醐味を届けているのがカウント・ベイシー・オーケストラだ。御大ベイシーは84年に亡くなったが、オーケストラへのラヴ・コールは止まることがない。スコッティは 2013年からコンダクターを務めている。
「コンダクターを夢みてはいたけれど、思ったよりも早くその機会が訪れたというのが実感だね。でもその約10年前から、フ ランク・フォスター( 2代目コンダクター)は僕を21世紀のベイシー・オーケストラをリードす るひとりに挙げていた。でも当時の僕はトランペット・セクションで自分のパートを吹き、オーケストラとしての成功に必要とされることをこなすのでいっぱいだったんだ。僕ができるベストを、このオーケストラで尽くしたい。ミスター・ベイシーが残した偉大なレガシーを、しっかりステージ上でまとめたいと思う」
『A Very Swingin' Basie Christmas』以来のニュー・アルバムも、発表を控えている。
「オーケストラの発足80周年を祝う作品なんだけど、実際の80周年よりは2年遅れてしまったね。時間をかけたのには理由があって、前作を超える良いものを作りたかったんだ。新作はオーケストラと縁の深いフランク・フォスター、デューク・エリントン、サド・ジョーンズ、フランク・シナトラ、エラ・フィッツジェラルド、ジョー・ウィリアムス、ワイルド・ビル・デイヴィスなど偉大なアーティスト達への捧げものになっている。また、近年、素晴らしい活躍をしてきたアーティストたち、例えばアデル、スティーヴィー・ワンダー、アース・ウィンド&ファイアー、レナード・コーエンなどへの称賛も込められている。それに今回は"カウント・ベイシー・オーケストラのすべて"ともいえる、とてもスペシャルなトラックも入っているよ。この曲についてはリリースの時まで内緒にしておこうかな」
スコッティは1964年、米国ジョージア州生まれ。「尊敬するトランペット奏者は?」と尋ねると、「多すぎてね」といいながらルイ・アームストロング、ディジー・ガレスピー、クーティ・ウィリアムス、クリフォード・ブラウン、マイルス・デイヴィス、ブルー・ミッチェル、フレディ・ハバード、ウィントン・マルサリス、さらにクラーク・テリー、ピート・ミンガー、スヌーキー・ヤング等、、ベイシー楽団の大先輩の名を挙げた。
「初めてのベイシー体験はLPレコードの『オン・ザ・ロード』(79年録音)、その次が『チェアマン・オブ・ザ・ボード』(59年)かな。'93年、フランク・フォスターの誘いでオーケストラに加入し、その後、コンダクターに就任したことで、ミスター・ベイシーの功績と偉業を伝えるために自分が選ばれたという思いをさらに強くしているよ。もちろんこのバンドは今なお御大のものであり、僕は幸運にも指揮をする機会を得られているだけなんだけどね。僕が最も心がけているのは常に素晴らしい音を届けること、そして観客がリズムに乗り、指を鳴らし踊りたくなるよう、一音一音、心を込めてスウィングすること。日本の皆さんに会えることを楽しみにしています。See you in February!!」
- 原田和典(はらだ・かずのり)
- ジャズ雑誌の編集長を経て、2005年に独立。新聞、雑誌、ウェブ、CDライナーノーツ等に寄稿を続ける。著書に「世界最高のジャズ」等。ブルーノート東京のウェブサイトにライヴ・レポート掲載中。