特集・女性ヴォーカル、そしてブルーノート東京の楽しみ方
CLEAR SKIES, CRYSTAL VOICES
清々しいヴォーカルとグルーヴが
ブルーノート東京に春の訪れを告げる
ナッシュビル生まれの温かな声のキャンディス・スプリングスと、オーストラリア育ちの清らかな声のサラ・マッケンジー。ともにジャズを愛し、実力が高く評価されているフレッシュなニューカマーだ。2人は、それぞれに始まったばかりの音楽のキャリアを心から楽しんでいる。そんな瑞々しい才能が春の到来とともに来日する。これからどんどん花開かせていくだろう彼女達の20代をぜひ目撃してほしい。
text = Noriko Hattori
心躍る春の訪れと共に、2組の素敵な女性アーティストが来日する。まずは、キャンディス・スプリングス。数多くの才能ある女性を発掘、支援してきたプリンスが、「雪をも溶かすほど温かな声」と称賛したシンガーだ。"温かな"という表現には単なる声質のことだけではなく、明るくほがらかな人柄も含まれているだろう。ふんわりとしたアフロヘアーと、心からの笑顔がとてもキュートで魅了される女性でもある。デビュー当初にヒップホップに傾倒したことで、音楽に迷いが生じていた彼女に原点であるジャズに戻るべきだとアドバイスをしたのもプリンスだった。そこからソウルと融合したキャンディスのジャズが生まれた。好評だった昨年9月の初来日公演に続き、今回も音楽大学を卒業したばかりの若いドラマー、ベーシストと共演する。
もうひとりのサラ・マッケンジーは、今回が初来日になる。オーストラリア生まれのサラは、地元大学でジャズを専攻した後、優れた演奏力で奨学金を得て、ボストンのバークリー音楽院に留学。卒業後にヨーロッパを旅して、現在は美しい街と文化に惚れこんだパリを拠点に活動している。日本デビュー盤の『Paris in the Rain』は、その人生の旅路を綴った作品で、自作曲と共に名曲『2人でお茶を』やボサノバの『トリステ』などのカヴァーを溌剌と、しかも英語とフランス語を絶妙に交ぜながら歌うことで、その語感の違いが歌に豊かな表情をもたらしている。楽曲のアレンジも自らが手懸けて、しなやかにピアノも演奏する。28歳の初来日公演、フレッシュなエネルギーで魅せてくれるはずだ。
キャンディスとサラ、ともに20代の若いアーティストが始まったばかりの音楽のキャリアを心から楽しんでいる、その才能と可能性が心を春色に染めてくれるだろう。
KANDACE SPRINGS
『ソウル・アイズ』
(ユニバーサル ミュージック)
SARAH McKENZIE
『雨のパリで』
(ユニバーサル ミュージック)
※2017 4.5発売予定
【INFORMATION】
KANDACE SPRINGS
キャンディス・スプリングス
2017 3.13mon. - 3.15wed.
>>公演詳細ページへ
SARAH McKENZIE
- in collaboration with Melbourne International Jazz Festival -
サラ・マッケンジー
- in collaboration with Melbourne International Jazz Festival -
2017 4.27 thu., 4.28 fri.
>>公演詳細ページへ
- 服部のり子(はっとり・のりこ)
- レコード会社勤務を経て音楽ライターに。女性誌や新聞を中心に執筆し、現在『マリソル』(集英社)や毎日新聞でアーティストや新作などを紹介。また、JALの機内オーディオ放送の企画、制作等もしている。
HOW TO ENJOY B LUE NOTE TOKYO
音楽、食、ファッション...それぞれのスタイルに合わせて過ごす
ブルーノート東京の一夜
気分や雰囲気に合わせて飲食も選べる
小石原 はるか(フードライター)
ライヴが始まると当然ながらアーティストの素晴らしい歌声や演奏に集中してしまうので、名物「スウィンギン・ポテト」など、メニュー内の「FUN♪PLATES」のカテゴリの軽いお料理をつまむことが多いのですが、趣向が凝らされたアペタイザーや、本格的なメインもじっくり味わいたいな、と常々思っています。あ、出演アーティストとのコラボメニューやカクテルはとても楽しいので必ずオーダー! あとは開演前に「BACKYARD」でハヤシライス!もいいですね。
★ディナーをゆったりと楽しむなら
キャンディス・スプリングス公演ではスペシャル・カクテルのついたコースをご用意。
>>コース詳細へ
大人の幸せを感じられる特別なとき
高橋 靖子(スタイリスト)
子供の頃は、田舎の一軒家で、ラジオにぴったり耳をつけて、音楽を吸い込んでいました。音楽も人生もまだまだ遠い彼方でした。若い大人になって、仲間といっしょに身体を揺らして、音楽をはじけさせてきました。その青春には、キラキラ光るものがありました。そして今、特別な場所で受け止める特別な音楽。そこに通って音楽を浴び、音楽に包まれる特別な大人の幸せ。この幸せをいつも私につくってくれる場所、ブルーノート東京。
★ブルーノート東京を味わう、もうひとつの場所
例えば、ショウ後はB1ロビーにあるBarBACKYARDで、お酒とともにゆったりと余韻を楽しんで。
>>Bar BACKYARD
趣味の合う人と楽しみを共有できる
平野 啓一郎(小説家)
音楽は家で聴くのもいいけど、やっぱりライヴは特別で、食べつつ飲みつつ、ブルーノートのあの濃密な空間で体感する音は、毎回、忘れがたい記憶となっている。ブラッド・メルドーとジョシュア・レッドマンのデュオのような現代ジャズのハイエンドから、ベニー・ゴルソンのようなレジェンドまで、去年も存分に堪能した。趣味の合う人と聴きにいって、わかる人にだけわかるようなところで一言二言、こっそり言葉を交わすのが楽しい。撮影/瀧本幹也
★ライヴの臨場感を心ゆくまで堪能するなら
ステージから適度な距離にある正面エリアのペアシートは、見晴らしも音質もバランスが良い。
>>ブルーノート東京 フロアレイアウト
この春は女友達とドレスアップして
吉田 けえな(ファッションコーディネーター)
誕生日など特別な日を大切な人と過ごしたり、好きなアーティストのLIVEを楽しんだり、一方で気分が落ち込んだ時にも1人でふと訪れたくなる。真剣に、楽しそうに、目を輝かせながら演奏に興じる人々の音楽とお酒に身を任せると、気持ちがいつのまにか癒されていることも。キャンディスやサラのライブは、フューシャ・ピンクのスプリングコートなどちょっと目をひくアイテムや口元を大胆なリップで彩るなど女度をあげて、同性の友達と心ゆくまで楽しみたい。
★撮影スポットといえばここ!
アーティストのサイン入り写真が飾られたエントランスでは、ライヴへの期待感が高まる。