新コスチュームも発表! ザ・レジデンツに公演直前インタビュー
「トランプは"The Ghost of Nope"」
活動45年を経た今もザ・レジデンツにぶれは無い
公演を目前にインタビューを敢行!
夢か幻か影か闇か、またはその全部か? ザ・レジデンツが、あのアメリカのザ・レジデンツがやってくる。日本に。2017年3月21日(火)〜23日(木)の、32年ぶりの日本公演に先駆けて、ザ・レジデンツがインタビューに応えてくれた。全世界初となるそのプログラム"In Between Dreams"とは? 活動45年に至ろうとするザ・レジデンツの現状とは?
interview & text = Manabu Yuasa
――今回の日本公演『In Between Dreams』はワールドプレミアということですが、この演目のテーマ/コンセプトはなんですか?
タイトルにもあるように、コンセプトは"夢"。ザ・レジデンツは、膨大なレパートリーからこのコンセプトに合った曲を今回のショーのために選曲しました。また、ショー用に、キャラクターたちが"夢"について語るビデオも制作してあります。 今回の衣装は、ペスト医師がモデルです。医師たちは、病は世界中に舞い降りたものだと信じ、ザ・レジデンツによって造られた夢あるいは、創造した世界へ逃げることだけで病を治癒することができると信じています。
――何故ワールドプレミアの地に日本を選んだのでしょうか?
ザ・レジデンツは1985年に初めて日本で公演して以来、いつも日本に戻って来たいと思っていました。2011年に小規模な日本ツアーが企画されたものの、震災でキャンセルされてしまいました。そのため今回エージェントからブルーノート東京でショーを行える可能性を聞いた時から、本当に楽しみにしていましたよ。
――この作品に至った動機、あるいは制作の発端はなんですか?
初めの動機は、今回の日本公演です。ザ・レジデンツは2017年のツアーを特に計画していませんでした。ですが予想外のオファーから新しい作品に対する彼らのモチベーションがインスパイアされました。
――過去のザ・レジデンツ作品とどのように関連しているのですか?
基本的に既存の作品の新しいアレンジです。ですが、新曲も披露しますし、新たなプロジェクト、"The Fixie Man"からもいくつか演奏します。
――"The Fixie Man"についてもう少し聞かせてもらえますか?
非常に演劇的なピースで、1960年代のアルビノのブルースシンガーをベースにしたピースです。
――新しいザ・レジデンツのアルバム『the ghost of hope』と"In Between Dreams"との関係性はありますか? もしあるならば、どのようなものですか?
『the ghost of hope』からは今回のステージでもいくつか演奏します。『the ghost of hope』は列車事故をテーマにしており、西洋文明社会の闇へのメタファーでもあります。世界が再び夢の見方を学ぶまで闇は消えることがない。ザ・レジデンツはその手助けをしに現れたのです。
――日本にザ・レジデンツが公演でやってくるのは37年ぶりですが、この37年間でザ・レジデンツにはどのような変化がありましたか? その内実を教えていただけませんか?
歳を重ね、賢くなり、子供たち、そして孫たちもいます。白髪になり、以前ほどあまり食べなくなりました。ですが、決して悲観的ではなく、未だに日々楽しみを見つけることにワクワクしていますよ。
――活動45周年に至り、なにか感想をひとこと。特別な感慨はありますか?
ザ・レジデンツを始めてから、とても長い時間が経過したように感じます。ですが、45年前と同じようにいつも未来は開かれていて、新たなコンセプトに未だ満ち溢れています。
――ザ・レジデンツのこの45年間をあえて一言でいうとしたら? それは何故なぜですか?
忍耐
――現在進行中のプロジェクトを教えてください。
1988年のアルバム『God in Three Persons』をベースにしたステージを製作中です。また、70年代に未完成で終わっている実験映画「Vileness Fats」の再製作にも取り掛かっています。
――ザ・レジデンツにタブー(禁止事項)はあるのでしょうか? あるとすると、どのようなものですか?
ザ・レジデンツはルール(何かを決めること)を好みません。
――ザ・レジデンツの好きな食べ物は?
そもそもザ・レジデンツは4人組なので、好きなものはそれぞれです。
――たいへん心苦しい質問なのですが、もしもザ・レジデンツを強制的に既存の音楽ジャンルに押し込むとしたらどこに押し込みますか?(複数ジャンル可)
ザ・レジデンツは彼ら独自のジャンルにのみカテゴライズされます。
――ザ・レジデンツはドナルド・トランプ合衆国大統領をどのようにお考えですか?
彼のことをできるだけ考えないようにしていますが、それは難しいですね。彼は、まさに"The Ghost of Nope"です。(※アルバムタイトルとかけている)
"In Between Dreams"用の新しいコスチュームは衝撃だった。そのサウンドはいかなるものか。夢で見られたら幸いだ。 目玉を長くして、待ちましょう。
- 湯浅学(ゆあさ・まなぶ)
- 音楽評論家/湯浅湾。the residents歴39年程。目玉大好き、猫好きな還暦。ザ・レジデンツ本『踊る目玉に見る目玉』監修。著書に『音楽が降りてくる』、『ボブ・ディラン ロックの精霊』など。