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グラミー賞を獲得したばかりのブルースマンが登場!

グラミー賞を獲得したばかりのブルースマンが登場!

3月にグラミー賞を獲得したブルースマン
話題の新作を携えて来日!

今年のグラミー賞「現代ブルース部門」を獲得したファンタスティック・ネグリートは受賞ステージでオークランド出身の自らの仲間たちへの感謝を述べた後、「そして、マサ小浜!」とシャウトアウトした。賞獲得作品全編でギターを弾いていたのが日本のエース、マサ小浜だ。

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text = Masaharu Yoshioka

 2016年6月、アメリカ西海岸オークランドのインディ・レーベルから『ザ・ラスト・デイズ・オブ・オークランド』という現代風のブルース・アルバムが出た。アーティスト名はファンタスティック・ネグリートという聞きなれない名前だ。なんとこの彼は、かつて1990年代に日本でもザビエルの名前でちょっとプリンス風のサウンドをしたアルバム『Xファクター』を出した人物だったが、20年近く、いろいろ訳ありで表立った音楽活動を休止していた。本名イグザヴィア・アミン・ディーフレッパレーズ。親しい友人は彼のことをシンプルにX(エックス)と呼ぶ。父はソマリア出身の国連大使。15人兄弟の8番目として1968年にマサチューセッツで生まれた。ザビエルとしては大々的に宣伝はされたが、それほど売れなかった。そしてほんの数年前、自分自身のルーツをサーチンして、自分が本当にやりたいことをやろうとブルースに行きついた。ただ、昔ながらのトラディショナルなブルースではなく、今風のブルース・サウンドを模索した。そして出来上がったのが先のアルバムだ。

 このアルバムが見事、今年のグラミー賞「コンテンポラリー・ブルース」部門を獲得。そして、このアルバム全編でギターを弾いていたのが、日本の音楽シーンでも売れっ子のギタリスト、マサ小浜だった。実はマサとXは、マサがロスに移住した1990年代初期からの友人同士で、1995年のザビエルのデビューから一緒にツアーに出て、プロモーション・ビデオにも顔をだしているほどの仲だったのだ。Xとマサはザビエル消滅後も、2人でチョコレート・バタフライ、ミー&ジャパニーズ・ガイ、ブラッド・シュガーX(このグループをディアンジェロが気に入り、わざわざXに会いに来たという)といったユニットをやって西海岸を中心にライヴ・ハウスを周っていた。そして、Xはギタリストとしてマサに最大の信頼を置いていた。そこで2015年にファンタスティック・ネグリートとしてのミニアルバムを録音するときにもマサにギターを入れてほしいと音源ファイルを送ってきた。彼が唯一希望したことは、「マサの好きなようにやってくれ」。マサは東京の自宅で、こつこつと深夜にレコーディングし、ファイルを送った。さらにフル・アルバムもマサは参加、これがリリースされすぐに好評を得ると、Xはオークランドのミュージシャンたちを集め、ツアーに。

 そして、様々な奇跡が重なり、Xとマサのライヴが4月にブルーノート東京で決まった。現在のXのバンドにCDで聴かれるマサのギターが生で入る。グラミー・アーティストのステージがブルーノートで見られることになる。

 マサ小浜本人も今回のライヴにこうコメントを寄せてくれた。「10年ぶりにファンタスティック・ネグリート(イグザヴィア)と一緒に、しかも大好きなブルーノート東京のステージでみなさんに会えるなんてマサにドリカムです!」

 日本ではAI、エグザイル、加藤ミリヤなどのバックをサポートしてきたマサが、旧友盟友であるXとともに、グラミー賞獲得作品からの楽曲をプレイする。これほど興奮する楽しみはない。

 

『ザ・ラスト・デイズ・オブ・オークランド』
(Pヴァイン)



吉岡正晴(よしおか・まさはる)
音楽評論家・DJ。ブラック・ソウル・R&Bミュージック、ダンス・ミュージックに強い。CDなどにつくライナーノーツ、音楽誌雑誌などに寄稿。ウェッブサイト、イヴェント『ソウル・サーチン』主宰。

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