CÉCILE McLORIN SALVANT
セシル・マクロリン・サルヴァント

NYウェスト・ヴィレッジの一夜を直送
今のシーンを牽引するジャズシンガー

2018 3.24 sat., 3.25 sun., 3.26 mon.
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　大きなプリントやビビッドカラーのドレスにパリのブランド、エマニュエル・カーンの白い大きなフレームのサングラスが印象的なセシル・マクロリン・サルヴァント。そのチャーミングでアーティスティックな外見からは一見正統派ジャズシンガーを感じさせない。しかし、彼女の歌声を聴いた瞬間その完成度の高さと声域の広さに驚くとともに震えるほどの感動を覚えることだろう。スタンダードナンバーからミュージカルまで歌いこなすセシルは、ピアノ、ドラム、ベースといった基本のトリオをバックに正確なピッチと卓越したヴォーカルセンスで究極に心地よいスウィングに酔わせてくれる。独創的で大胆なアレンジはコンテンポラリーでもあり、幼少期に培ったクラシックやオペラの気品も漂う唯一無二のもの。観客を笑わせるユニークな演出もまた彼女の魅力の一つである。昨年9月にリリースされた『ドリームス・アンド・ダガーズ』は伝統と格式高いジャズの殿堂、NYの「ヴィレッジ・ヴァンガード」でのライヴ音源を収録した2枚組のアルバムであり、今回は今作を提げての待望の再来日となる。耳の肥えた本格派ジャズ・ファンを興奮の渦に巻き込んだ大成功ライヴの再現となるか？今最も才能を認められるジャズ・シンガーを間近で体感出来る貴重な機会であるとともに、東京にいながら有数のジャズクラブが立ち並ぶNYのウェスト・ヴィレッジの風情がシンクロする最高の一夜になることだろう。また、セシルの衣装も楽しみである。

　

宮沢香奈（みやざわ・かな）
ファッション、音楽のPRとして活動する傍らライターとして執筆活動を開始。2014年にべルリンへ移住。ヨーロッパを中心とした現地情報をファッション、カルチャー媒体にて多数執筆中。

LALAH HATHAWAY
レイラ・ハサウェイ

4年連続グラミー受賞でキャリア最高潮
天才が見せる新しい可能性

2018 4.9 mon., 4.10 tue., 4.14 sat., 4.15 sun.
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　4年連続でグラミー賞受賞し、伝説シンガーの娘という枠を超え、今まさに実力でキャリアの最高潮を迎えているレイラ・ハサウェイ。受賞内容も、ヴォーカルパフォーマンスの評価で４曲、ライヴアルバム『レイラ・ハサウェイ・ライヴ』で最優秀R&Bアルバム賞を受賞している事実に注目しておくべきだろう。幸運にもLAで彼女のライヴを経験したことがあるが、ロバート・グラスパーも絶賛する天才的な歌声は、とにかく鳥肌必至の素晴らしさだ。
　昨年10月にリリースされた7作目の新作『Honestly』は、レイラが以前から大ファンだったという気鋭の若手シンガーソングライター、ティファニー・グーシェイを制作、客演に迎え、レイラのオーセンティックな魅力を官能的に、今風に引き立てている。ゴスペルラッパーのレクレーを客演に迎えた試みからも、レイラの新しい可能性への挑戦が感じられる。ビデオゲーム的な音作りや琴のような和風シンセ使いの制作も耳に楽しいし、ビデオゲーム好きが高じて自身をゲームキャラとしてジャケットに登場させてしまうナードさも、またおもしろい。
　多彩なラブソングで綴られた新作はまた、以前に比べてより政治情勢との繋がりを含ませているようで、シングル「honestly」のMVでは、恋愛の哀しみに人種差別や国家権力への憤りを絶妙に重ね合わせている。ソウルフルなバラードやアップビートなR&Bを織り交ぜた新作を掲げ、ライヴでもレイラの魅力を存分に味わわせてくれることだろう。

　

塚田桂子（つかだ・けいこ）
音楽の背景に在る人、文化、社会、政治を追う音楽ジャーナリスト。在米20年の間に数多くのアーティストの取材、ヒッホップのリリック対訳、ライナーノーツ執筆等を手掛ける。LA在住。