プリンスも認めた歌声の持ち主、モーガン・ジェームス
[01] Maps - Vintage 1970 s Soul Maroon 5 Cover ft. Morgan James [02]Morgan James - Call My Name [03] Morgan James - Ransom | OurVinyl Sessions [04] Sledgehammer - Peter Gabriel (Morgan James cover) [05] Jolene - Dolly Parton (Morgan James Cover) [06] BLUE by Joni Mitchell (Full Album Cover by Morgan James) [07] Blue Christmas (Morgan James Cover) [08] This Christmas by Donny Hathaway (Morgan James Cover) [09] Ellie Goulding - Burn (Morgan James cover)
※モーガン・ジェームスYouTubeチャンネル https://www.youtube.com/user/morganjamesonline
歌手、女優としても活躍。才色兼備のシンガー
ミュージカル女優、そしてシンガー・ソングライターとして抜群の歌唱力を誇るモーガン・ジェームス。ヴォーカル担当のPostmodern Jukeboxではマルーン5の曲を70'sソウル風にカヴァーして1450万回以上視聴されるなど、各方面から注目されている歌姫が初来日する。
text = Natsumi Itoh
モーガン・ジェームスを最初に有名にしたのはプリンスだ。存命中に、彼女がカヴァーした「Call My Name」を気に入ったプリンスは、彼女のアルバム『Hunter』(2014年)に収録することを許可。彼が認めたのは珍しいと、ヒットするきっかけになった。ダグ・ワンブル(カサンドラ・ウィルソン他の作品に参加)がプロデュースしたそのアルバムも、ロバート・グラスパーやフリークエンシーと共演するなどして注目された。
彼女の歌の才能にいち早く気づいたのは、モータウン・レコードの創設者であるベリー・ゴーディだった。ジェームスはミュージカル女優として幅広く活躍し、今は歌手としてもハリウッドボウルをはじめ、多くの会場で披露しているが、ジュリアード音楽院を卒業した後はしばらく芽が出なかった。しかし『The Addams Family』(2010年)をきっかけにブロードウェイの舞台に続けて立つようになり、その歌唱力に魅了されたゴーディが当時エピック・レコードのCEOだったL.A.リードに紹介。そしてニーナ・シモンのトリビュートライヴを録音したアルバムで、2012年にソロ・デビューを果たした。翌年にはミュージカル『Motown : The Musical』で故ティーナ・マリー役に大抜擢。しかもゴーディから、「さらに素晴らしい歌手になるために、自分自身を歌の中に曝け出しなさい」と曲作りを勧められ、『Hunter』から曲を手掛けるようになった。
そしてPostmodern Jukeboxのヴォーカリストとして活躍していることも、大きな糧となっている。
彼女は幼少時から両親が好きなジョニ・ミッチェル、ザ・ビートルズ、アレサ・フランクリン、キャロル・キング、ボブ・ディランを愛聴し、自らはニーナ・シモンやダニー・ハサウェイ、ハワード・タテに夢中になった。ソングライターとして尊敬するのは、ジョニ・ミッチェルにプリンス、ディアンジェロ、ポール・サイモン、デヴィッド・グレイ。彼女自身もリスナーの心にしっかり触れることのできる曲を書き、自分の歌でリスナーを心の旅に連れて行きたいと話している。
ジョニ・ミッチェルのカヴァー・アルバム( 2016年)を発表後、昨年は2枚目のオリジナル・アルバム『Reckless Abandon』をリリース。引き出しの多い伸びやかなヴォーカルはもちろんのこと、良き時代のポップスとファンク、R&Bが上質に融合されたグルーヴィーな内容に、思わずお酒が進んでしまう音楽ファンは多いはずだ。彼女のバンドには2016年春に結婚したダグ・ワンブルが参加している。実はコメディが大好きというモーガン・ジェームスの、"Reckless Abandon tour"らしい自由奔放なライヴを楽しみたい。
モーガン・ジェームス
『Reckless Abandon』
(Hedonist Records)
- 伊藤なつみ(いとう・なつみ)
- 東京生まれ。音楽ジャーナリスト・編集者。年間数多の国内外のミュージシャンにインタビューを行う。web「FIGARO jp.」での連載コラム「MUSIC SKETCH」をはじめ、『FIGAROjapon』や『SPUR』等の女性誌などに記事を掲載。