ピーボ・ブライソン、話題の新作をライヴで!
ラヴ・ソングの帝王が新作を携えて登場!
ジャム&ルイスとの初タッグで約11年ぶりの新作を発表したピーボ・ブライソン。50年近くのキャリアを誇り、R&Bの世界でも屈指の実力派として知られるバラディアーが馴染みのブルーノート東京で繰り広げるロマンティックな夜。変わらぬ声で歌われる新旧の名曲を味わいたい。
(ライヴ写真上段)PEABO BRYSON with special guest DENIECE WILLIAMS 2014 2.1 - 4 Photo by Takuo Sato
(ライヴ写真上段)PEABO BRYSON 2017 7.18 - 21 Photo by Yuka Yamaji
よく知られているのはディズニー映画の曲となるセリーヌ・ディオンとの「美女と野獣」(91年)やレジーナ・ベルとの「ホール・ニュー・ワールド」(92年)、あるいはロバータ・フラックとの「愛のセレブレイション」(83年)といったラヴ・バラードだろうか。初期にはナタリー・コールともデュエットしていたピーボ・ブライソンは、この10年近くブルーノート東京でも女性シンガーを帯同したライヴを行ってきた。先日他界したアレサ・フランクリンの友人でもあったピーボは彼女の誕生パーティーでデュエットを披露したこともある。つまりソウルの女王にも認められた実力派。ダニー・ハサウェイに通じる深みのある伸びやかで情熱的なヴォーカルはR&Bの世界でもトップクラスのものだ。
1951年生まれのピーボは、10代後半に同郷サウス・キャロライナの名匠モーゼス・ディラード率いるザ・テックス・タウン・ディスプレイに参加。70年代半ばにソロ・デビューしてからはキャピトルやエレクトラなどからヒットを飛ばし、91年にはコロンビアから放った「雨がやんだら」も大ヒット(R&Bチャート1位)している。
そうして50年近く歌い続けてきたピーボが、この度、約11年ぶりとなる新作『スタンド・フォー・ラヴ』を発表。プロデュースを手掛けたジャム&ルイスとは4年ほど前に宇多田ヒカルのトリビュート・アルバムに収録の「Sanctuary」でコラボした仲であり、今回の新作は彼らが再始動させたパースペクティヴの復活第一弾作品となる。その記念すべき一枚でピーボは、ディスコ〜ブギー調の「オール・シー・ウォンツ・トゥ・ドゥ・イズ・ミー」やスロウ・ジャムの「ラヴ・ライク・ユアーズ・アンド・マイン」などを往時のイメージのまま披露。本人も「新境地だ」と語るアルバム表題曲のようなアグレッシヴなR&Bも歌ってみせる。また、ライヴでシャーデー「キング・オブ・ソロー」をカヴァーしているピーボらしくシャーデーに捧げた曲を歌い、以前小柳ゆきとデュエットしていた曲をセルフ・カヴァーするなど、ロマンティックなバラディアーぶりも変わっていない。
ブルーノート公演では開演と同時に観客ほぼ全員と握手を交わし、愛嬌ある日本語MCを交え、女性客に薔薇も配るピーボ。今回の新作には、過去の来日公演でも共演したシャンテ・ムーアとのデュエットを含むライヴ音源も収録されており、そこで歌われていたキャピトル時代の名曲「フィール・ザ・ファイア」(77年)などの披露も期待される。いずれにしても、過去と現在を繋ぐ"ベスト・オブ・ベスト"なショウになることは間違いなさそうだ。
ピーボ・ブライソン
『スタンド・フォー・ラヴ』
(Flyte Tyme Productions / Hostess)
- 林剛(はやし・つよし)
- R&B/ソウルをメインとする音楽ジャーナリスト。CDのライナーノーツや音楽書籍を含めて様々な媒体に寄稿。近年は、ディアンジェロ、マイケル・ジャクソン、2010年代のR&Bをテーマにした"新R&B"シリーズを発刊。