ボブ・ジェームス、公演直前インタビュー | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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ボブ・ジェームス、公演直前インタビュー

ボブ・ジェームス、公演直前インタビュー

トリオが起こすサプライズ!

ジェームスの新作『エスプレッソ』は、久々となるピアノ・トリオ作だ。新鋭ベーシストのマイケル・パラッツォーロを擁する同作で、彼は新しいピアノ・トリオの提案をしている。もちろん、今度の公演はその3人によるもの。ジェームス当人に、その抱負を尋ねた。

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 フォープレイ、ボブ・ジェームス・カルテット、デイヴィッド・サンボーンとの双頭リーダーとなるクァルテット・ヒューマンなど様々な形態でブルーノート東京公演を行っているボブ・ジェームスの今度の出演は、トリオによるものとなる。聞けば、彼一番のお気入りの編成はトリオ表現であるという。

「ピアノ・トリオは好き。ピアニストの力量を聞き手に問うには、最良の形だと僕は思っている。でも、これまで僕がピアノ・トリオ表現に十分な時間をかけてきたかと思えば、そうではないよね。幸いにもフォープレイをはじめ、他の事が成功していたから」

 そんな彼は、本当に久しぶりにトリオ編成によるアルバムをリリースする。そこではピアノ・トリオという枠を超えた多彩なアレンジやリズム設定が施されており、これこそがしなやかな今のピアノ・トリオ表現なんだと言っているような所がある。ちなみに、その『エスプレッソ』という表題は「ミルク抜き、砂糖抜きのピュアなエスプレッソという意味」とのこと。そして、同作には新曲とともに、ジェームスがアレンジしたグローヴァー・ワシントンJr.の人気曲「ミスター・マジック」の清新改変ヴァージョンも収められている。

「今度のトリオ作は、もともと様々な音楽が好きな僕のスクラップ・ブックのようなものと思っている。アルバムのベーシックにあるのはトリオだけど、コンセプトはトリオに収束させることなく、曲の背後にある"声"を聞き取り、自由に広げる事を心がけた。曲によってはオーケストレーションを必要としているなと思えばそうする。曲を書くのは僕だけど、その後のトリオによる発展にはとにもかくにもオープンであることを心がけた」

 『エスプレッソ』のリズム・セクションは、ドラムのビリー・キルソンとベースのマイケル・パラッツォーロ。クリス・ボッティ・バンドのレギュラーでもあるキルソンは過去ジェームスのアルバムで何作も叩いており馴染み深いが、現在28歳のパラッツォーロはまさに新進気鋭の奏者である。

「マイケルは、僕が今作で好きな部分の重要部分を担っている。もともとカナダ人でトロントに住んでいる彼を何度か使う機会を持ち、その才気と成長には目を見張らされているんだ。昨年ブルーノートNYでやった時もマイケルを起用したんだけど、彼の若々しさやピュアさが観客の心を動かしている事が分かり、このトリオで新作を録る事を決意した」

 もちろん、今回のブルーノート東京公演は、この3人で持たれる。

「『エスプレッソ』の曲が中心になるのは間違いがないが、僕の長年のファンが愛好してくれている曲ももちろんやる。新作を発展させたライヴ・ヴァージョンを聞けると説明してもいいかな。僕とビリーとマイケルの3人が起こすサプライズにぜひとも期待してほしい。ショウごとにいろんなアドヴェンチャーを見せられるはずだよ」

 

ボブ・ジェームス・トリオ
『エスプレッソ』
(エヴォリューション・ミュージック)

photography = Atsuko Tanaka interview & text = Eisuke Sato interpretation = Kyoko Maruyama

佐藤英輔(さとう・えいすけ)
ジェームスさんは取材媒体ごとにきっちり服を着替えていた。おお、見事にプロ。そして、それは彼のライヴに対するスタンスも顕しているとも痛感。30年強の音楽家取材歴の中でも、それは上位と思えました。ライヴ・ブログは、http://43142.diarynote.jp

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