デイヴィッド・フォスター、奇跡の4日間 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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デイヴィッド・フォスター、奇跡の4日間

デイヴィッド・フォスター、奇跡の4日間

時代を象徴する名曲の数々が目の前で披露される至高の4日間!

 プロデューサー、コンポーザー、アレンジャー、プレイヤーとして、数え切れないヒットに関わった唯一無二の存在、デイヴィッド・フォスター。その彼が生み出した名曲の数々が遂にブルーノート東京で再現される!

text = Toshiki Nakada

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 1949年11月1日、カナダ:ブリティッシュ・コロンビア州のヴィクトリアで生まれたフォスターは4歳の時に絶対音感を持っていることが解り、ピアノの神童として周囲が注目。もちろんスタートはクラシックだったが、10代前半のビートルズとの出会いが彼を変えた。そして地元ヴァンクーヴァーで結成したグループ、スカイラークで彼のサクセス・ストーリーが幕を開ける。1973年に「Wildflower」が全米9位まで上がるヒットを記録し、その成功を糧にL.A.に進出。そこでも完璧なピアノ・プレイが認められ、直ぐにリンゴ・スター、および、ジョージ・ハリスンのレコーディングに参加。その後も数多くのスタジオ・ワークをこなし、プロデュース業もスタート。ホール&オーツで「Wait For Me」(79年、18位)他複数のヒットを生み、作曲家としてもシェリル・リン「Got To Be Real」(78年、全米12位)、アース・ウィンド&ファイアーの「After The Love Has Gone」(79年、全米2位)といった不滅のクラシックスを世に送り出す。そしてアースのその曲でグラミー賞の"Best R&B Song"を獲得した。

数々の名曲を生み出した、スーパー・プロデューサー

 80年代に入ると時代は完全に彼のものとなった。ボズ・スキャッグスとの仕事でヒットを連発し、82年にプロデュースしたシカゴ『16』からは「素直になれなくて:Hard To Say I'm Sorry」が全米No.1に輝きフォスターもそれまで以上の脚光を浴びることに。それ以前に低迷していたシカゴはフォスターとの仕事で完全に息を吹き返し、その後もヒットを連発。また、グループを抜けソロになったピーター・セテラとも引き続きコラボレートし、1986年の「Glory Love」は全米No.1に輝いている。

 デイヴィッド・フォスターがアーティストとしてのステータスを築き上げたのもこの1980年代中盤だった。まずは、85年、自らが音楽を手掛けた『St.Elmo's Fire』のサントラから、ジョン・パーが歌ったテーマ曲「St. Elmo's Fire(Man In Motion)」が全米No. 1を獲得し、さらにフォスター自身の名義によるバラード「Love Theme From St. Elmo'sFire」がインストというハンデを物ともせず全米15位まで上昇。翌86年にはメジャーAtlanticからアルバム『David Foster』をリリースし、オリヴィア・ニュートン・ジョンとデュエットしたバラードの「TheBest Of Me」がスマッシュ・ヒット。この曲は、以後、数え切れないほどのカヴァーを生み、フォスターの数あるバラードの中でも最も人気の1曲になっている。また、1987年にはオーケストラと共演した『The Symphony Sessions』を発表し、その中の「Winter Games」が翌88年にカルガリーで行われた冬季五輪のイメージ・ソングとしてABCテレビで使われシングル・ヒットした。

 1990年代以降は、楽曲そのものの魅力をそれまで以上に重要し、さらなる成功を収めるようになる。その良い例がナタリー・コールの『Unforgettable With Love』(1991年)であり、ホィットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」(92年)だ。どちらも記録的なヒットとなり、フォスターは複数のグラミー賞を受賞するが、以後もポップスという言葉の中で、ジャズに行ったりクラシックに行ったり振り幅を広げ、プロデューサーとして大成功。そして、セリーヌ・ディオンからマイケル・ブーブレ、シャリース、ダーティー・ループスといったと若い才能を発掘、紹介する手腕も健在で、最近は『Asia'sGot Talent』の審査員も務めている。

5つのDecadeを制覇したワン&オンリーな存在

 デイヴィッド・フォスターを説明する時によく使われるフレーズは、グラミー賞受賞16回、そして、1970年代から2010年代まで5つのDecadeで活躍、その2つであろう。どちらも、とてつもなく偉大な功績だ。音楽に限らず全ての芸術にはその時代時代のトレンドがあり、アーティストは常にその見えない壁と戦い続けなければならない。例えば、全米No.1を獲得することは極めて高いハードルだが、一発屋という言葉があるようにたまたま何かの運で成功する例は少なくない。しかし、それを続けるということは運だけでは成し得ない、本物の実力がなければ不可能だ。浮き沈みの激しいポップ・ミュージック・シーンにおいて実に45年以上にわたって第一線で活躍するアーティスト、プロデューサー、そして時にはレコード会社のエグゼクティヴも務めるデイヴィッド・フォスターはまさに現在のシーンにおける、ワン&オンリーな存在だ。

 そんなデイヴィッド・フォスターのクラブ公演が、この11月に遂に実現する! これはブルーノート東京のアニヴァーサリーを飾るに相応しい夢のイヴェントだ。これまではホール・コンサートしか行っていない彼がクラブ・ギグを行うとはまさに奇跡であり、その場に立ち会えるファンは幸運以外の何物でもないだろう。まだ同行するメンバーは発表になっていないが、フォスターがこれまでに生み出した数々の名曲でファンを魅了することは間違いない。通常のクラブ公演は大体70分から75分の長さがひとつの目安になっているが、これだけヒットが多いとどの曲がそこに入るのか、そのセレクションにかなり頭を悩ますのではないだろうか? そんな珠玉のひと時までもう少し。その訪れを指折り数えて待つことにしよう。

デイヴィッド・フォスターが手がけた名曲選

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[a]シェリル・リン『シェリル・リン』/「ガット・トゥ・ビー・リアル」収録 [b]アース・ウインド&ファイアー『黙示録』/「アフター・ザ・ラヴ・ハズ・ゴーン」収録 [c]ダリル・ホール&ジョン・オーツ『モダン・ポップ』/「ウェイト・フォー・ミー」収録 [d]シカゴ『ラヴ・ミー・トゥモロウ(シカゴ16)』/「素直になれなくて」収録 [e]ピーター・セテラ『ソリテュード~ソリティア』/「グローリー・オブ・ラブ」収録 [f]デイヴィッド・フォスター『シンフォニー・セッションズ』/「ウィンター・ゲームス」収録 [g]セリーヌ・ディオン『トゥ・ラヴ・ユー・モア』※シングル [h]『セント・エルモス・ファイアー』オリジナル・サウンドトラック [i]『ボディガード』オリジナル・サウンドトラック(a~c、g、i ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル、d~ f、h ワーナーミュージック・ジャパン)

プレイリストは公演詳細ページへ!

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『デイヴィッド・フォスター・ワークス』
(ワーナーミュージック・ジャパン)

Blue Note Tokyo 30th Anniversary presents
AN INTIMATE EVENING DAVID with デイヴィッド・フォスター
2018 11.30 fri.,12.1 sat., 12.2 sun., 12.3 mon.

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中田利樹(なかだ・としき)
AOR系を中心とした執筆、番組やコンピレーションCDの選曲およびプロデュース、そしてレーベルCOOL SOUNDのオーナーとして活躍。最近は自身のプロジェクト、Rendezvousで作曲にも力を入れている。

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