ブルーノート東京の30年 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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ブルーノート東京の30年

ブルーノート東京の30年

音楽を通じて、感動や歓びを
ブルーノート東京の30年

 ブルーノート東京の誕生は1988年11月、南青山の現在地からほど近い骨董通り沿いでその歴史は始まりました。

「お酒と食事を楽しみながらアーティストの演奏に思い思いに反応し、気軽に、自然体で、音楽を楽しむことができる空間にしたい」─ そんな願いを込めて、ライヴはアーティストとオーディエンスが一体となって作り上げる濃密な空気感や、インテリアではテーブルやシートなどをニューヨークのブルーノートをモチーフにするなど、本場の醍醐味を東京にいながらにして味わえるジャズクラブを目指しました

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 表参道駅近くの、ラグジュアリーショップや洗練されたレストランやバーが並ぶ華やかなエリアにあるジャズクラブであることは、店にアドバンテージをもたらし、ビギナーにはハードルが高い音楽と思われがちなジャズであるにもかかわらず、年齢や性別を問わず、広くたくさんの音楽ファンが楽しめる空間を目指してスタートをきったのです。

様々なアーティストと
多くのゲストを迎えてきた
ブルーノート東京

 1988年11月28日、最初にブルーノート東京のステージに立ったのはトニー・ベネット。その温かな歌声が会場の隅々に響き渡ったとき、客席の空気の色はすうーっと変わり、それは、できたばかりの店に命が吹き込まれた瞬間でした。その後、サラ・ヴォーン、ディジー・ガレスピー、アート・ブレイキー、オスカー・ピーターソン、ハービー・ハンコック、B.B.キング、ダイアナ・クラール、デヴィッド・サンボーン......など、巨匠やスターミュージシャンが次々と来日します。普段はホールコンサートで遠くから眺めるしかなく、それまでクラブ規模のヴェニューには出演しなかった超大物アーティストのライヴを、手が届きそうな距離で体験できるスタイルは大きな話題を呼びました。

 人気や実力ともにトップクラスのアーティストの他、知る人ぞ知る実力派、伝説のミュージシャン、ミュージシャンからリスペクトされる"ミュージシャンズ・ミュージシャン"、次世代を担う若手の腕利きなど多様なラインナップもブルーノート東京ならでは。連夜ライヴが行われることで、音楽ジャンルのバリエーションや出演者も増え、それに伴って、メインアーティストだけでなく、それを支えるサイ ドメンバーのファンや、ミュージシャンを目指すかた、音楽を勉強する学生の存在も、ブルーノート東京に様々なお客さまが来店する理由の一つと言えます。

グラスをかわす音や
そこに流れる空気も
それらすべてがジャズ

 以前、フランスのアコーディオン奏者、リシャール・ガリアーノに当店のメニューを試食していただいた際のインタビューで、音楽と料理の関係についてこんなことを言っていました。「ルーツを大切にしながら、新しいことへ常に挑戦していたい。それは音楽家と料理人の共通点。コンポジションの重要性や、お客さんの反応を見て日々 アレンジすることなど、とても共通点が多いんだ。 そして、愛情を込めることは何より大切だね」

 音楽を純粋に楽しみたいかた、誕生日や結婚記念日といった特別な時間を過ごしたいかたなど様々なゲストが訪れるブルーノート東京では、フィンガーフードからゴージャスなディナーコースまで、その季節ならではの上質な食材を活かしたお料理と、豊富なワインリストやアーティストとのコラボレーションから生まれるオリジナルカクテルなど、クラブでのひとときを一層豊かなものにするメニューたちが、そっと寄り添います。

 ショウだけでなく、開演前も終演後も楽しめることもブルーノート東京ならではで、ステージ上がエンターテインメントであることはもちろん、客席もまたエンターテインメント。お客さまからの声援や、発せられるエネルギーも、ブルーノート東京の魅力のひとつと言えます。

 1998年には根津美術館に近い現店舗に移転。席数が約280席に増え、フードやドリンクのメニューも充実し、さらに多くのかたに足を運んでいただけるようになりました。

時代とともに変化するシーン
変わらなかったのは
ワン & オンリーであること

 時代が変われば当然、求められる音楽も変わっていきます。ブルーノート東京は、ジャズクラブとして王道のジャズのラインナップは大切にしつつ、ソウル、R&B、ロック、ダンスミュージックなどのトップアーティストたちも登場するようになりました。ディオンヌ・ワーウィックやスライ&ザ・ファミリー・ストーンの来日公演は大変な話題になり、客席にはミュージシャンも多数訪れたほどです。

 同時に国内外で活躍する日本人アーティストの出演も増え、渡辺貞夫、小曽根真、菊地成孔、上原ひろみなど腕利きもコンスタントに出演。さらに、松本孝弘、和田アキ子、MISIA、大貫妙子、矢野顕子などJポップや歌謡曲の代表的なミュージシャンも出演し、その中でも、八代亜紀、井上陽水、JUJUは、ジャズナンバーを歌い、あるいは自分の曲をジャズのアレンジで披露し話題となりました。

 2008年2月には、闘病中であった忌野清志郎さんがステージに上がりました。清志郎さんはアーティ ストとしてブルーノート東京に何度も出演しただ けではなく、オーディエンスとしてもクラブに足を運んでいたのです。「ブルーノート、ベイビー!今日、僕はガイタレの気分です」という清志郎さんのMCに多くのファンが泣き笑いの顔で拍手をした、奇跡的な夜でした。このシーンはDVD『ブルーノート ブルース 忌野清志郎 LIVE at Blue Note Tokyo』 に収められています。

 ほかにも店で実現したいくつものショーが CD化、DVD化 。ロン・カーターの『ジム・ホールの思い出』、チック・コリア&上原ひろみの『デュエット』、小曽根真フィーチャリングNo Name Horsesの『BACK AT THE CLUB』、山中千尋サムシン・ブルー・クインテットの『ライヴ・アット・ブルーノー ト東京』などで、客席の熱狂、かすかに響くグラスの音、そして確かにそこに流れていた空気も含めて音楽としてパッケージされ、お客さま、アーティスト、クラブによって生み出されたその日その場所だけの音楽がそこにあります。

 ブルーノート東京30年の歩みの中で、熱心なジャズファンのかたがたはもちろんのこと、ジャズクラブでの時間も食事も、お酒も、空気も含んだエンターテインメントとして楽しみに来店されるお客さまが増えました。音楽と食事を心おきなく楽しめる空間、そこにいることがかけがえのない思い出になる空間をご提供するために、50周年、100周年を目指して歩んでまいります。

それまでほとんどクラブに出演しなかった
超大物アーティストが次々と登場
オリジナルの料理やカクテルをじっくりと味わいながら
そのステージを手の届く距離で
楽しめるスタイルが、大きな話題に

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1 、7 / 初演のトニー・ベネットが手にするのは出演アーティストが名前を刻むスター・プレート。今もブルーノート東京のテーブルに残されているので、ご来店の際にはぜひご鑑賞ください。ちなみにトニー・ベネットのスター・プレートはエントランス柱左手に飾られている。 2、3/オープンは骨董通りに。ファッションの街・南青山に出現したブルーノート東京に遊び好きの大人たちが集った。 4 /サラ・ヴォーン(1989年)ジャズ・ヴォーカルの歴史を彩った彼女の歌声が至近距離で聴けるとあって、ク ラブは超満員。 5/ディジー・ガレスピー(1990年)"モダン・ジャズの父"ディジー・ガレスピーの年齢を感じさせないトランペットの音色とユーモラスな歌声で、ライヴならではの楽しさを満喫させてくれた。 6/ジム・ホールのショウに遊びに来たジョ ージ・ベンソン(1992年) 8/フラッグはブルーノートを象徴するアイテムの一つ。N.Y.のデザインを受け継ぎ東京にもお目見えした。9/1998年、現在地に移転。フロアは広くなったが親密さは変わらず、その空間は唯一無二の一体感で包まれている。

photography [ live ] = Great The Kabukicho, Kenji Miura, Makoto Ebi, Shigeru Uchiyama, Takuo Sato, Tsuneo Koga, Yasuhisa Yoneda, Yuka Yamaji text = Kazunori Kodate

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