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バレンタイン・ウィークにエリック・ベネイ!

バレンタイン・ウィークにエリック・ベネイ!

エリック・ベネイに学ぶ素敵な年の重ね方

 2月のバレンタイン・ウィークにエリック・ベネイが再来日をする。実は彼、シンガーとしても人間としても素敵な年輪を重ねているのだ。最新ニュースを紹介しながら、お手本になるポイントを分析してみよう。

photography = Tsuneo Koga
text = Minako Ikeshiro

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「ハウスホールド・ネーム」という英語がある。全国的に知られている、という意味で、20年以上に渡ってR&Bのチャートに入るヒット曲を作り続けていることに加え、私生活の華やかさで、「エリック・ベネイ」はまさにハウスホールド・ネームだ。その知名度をさらに上げるニュースが、ここ2、3年にいくつかあった。

 まずは、ビヨンセの旦那、ジェイ・ Zに名指しでラップされたこと。2017年のアルバム『4:44』の1曲目「キル・ジェイ・Z」で、「エリック・ベネイになるところだった/世界一の美女を逃すとか/もうなんて言っていいのか/エリック・ベネイにはなるな」という痛烈なラインがあり、世間は騒然。念のため書くと、エリックの前妻は、ハリウッド女優のハル・ベリーである。ジェイ・Zは自分とビヨンセの離婚危機を重ねたわけだが、彼の大ファンである筆者でも「キツイ」と感じたほど。このときの、エリックの大人な対応が素晴らしかった。ツイッターで「ヘイ、ジェイ・Z、言っとくけど、世界一の美女なら今の奥さんだよ」と絵文字つきで応戦し、だれも傷つかない形で男を上げたのだ。ちなみに、エリックの奥さんのマニュエラさんは、故プリンスの2番目の奥さんである。ふたりとも、ゴシップメディアに狙われるハイプロファイルな結婚生活と離婚劇を経て、落ち着いた結婚生活を送っているのも、離婚、再婚が日本以上に多いアメリカでは尊敬の的だし、カップルとしても好感度が高い。

 常に新しいことにチャレンジしているのも、素敵な年の重ね方ポイントだ。エリックは大物ラッパーのスヌープの舞台『Redemption of A Dogg』に主要キャストとして出演。実は彼、俳優としてのキャリアもあり、2000年代はテレビ・ドラマにもちょくちょく出ていたが、舞台はこれが初めて。トニ・ブラクストンの妹、タマーも出演し評判は上々だったらしい。メインの音楽活動を大事にしつつ、活動と交友関係の幅を広げている姿勢はぜひ、見習いたい。

 エリック・ベネイは天性の外見と美声に甘えず、人柄の良さで、運や仕事を引き寄せている気がしてならない。オーガニックな雰囲気を大切にする、ネオ・ソウルクラシック出身者らしい肩の力が抜けたファッションをアップデートしているのも、参考になる。

 大人っぽく、親密な雰囲気のブルーノートの空間と、渋みが加わってきた彼の美声は相性がぴったりで、毎年、楽しみにしているファンは多いはず。また年輪を重ねた、エリックのステージが待ち遠しい。

2019年は、名盤のリリースから20周年
アルバム未収録曲も嬉しいベスト盤も話題!

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左:『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』 / 右:『ザ・ベスト・オブ・エリック・ベネイ』
(ともにワーナーミュージック・ジャパン)

 今年は名作『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』から20周年。「一緒に人生を歩みましょう」と歌うタミアとの「スペンド・マイ・ライフ」やフェイス・エヴァンスとの「ジョージー・ポージー」など名曲はもちろん、懐かしいサウンドの曲もいい。昨年リリースされた『ザ・ベスト・オブ・エリック・ベネイ』は、ワーナー時代の代表曲から未発表曲まで16曲を収録。「スペンド・マイ・ライフ」のリミックスから、スティーヴィー・ワンダーのカヴァー「スーパーウーマン」まで聴きどころ満載で、エリック・ベネイの魅力が詰まっている。

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池城美菜子(いけしろ・みなこ)
R&B、レゲエ、ヒップホップを得意とする音楽ライター / 翻訳家。近著は長年住んでいたニューヨークのレストランを紹介した『ニューヨーク・フーディー』。最近、プリンスとチャカ・カーンの対訳を手がけました。

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