来日直前! リー・リトナーにインタビュー
主宰プロジェクト含む2公演
期待高まる来日を前に最新インタビューが到着!
2つの困難からカム・バック!名ギタリスト、リー・リトナーが完全復調しブルーノート東京に戻ってくる!しかも、今回は2つの異なるバンド形態で、4日間8公演を予定。飽くなく追求を続けるリーの情熱に改めて耳を傾けたい。
interview & text = Toshiki Nakada
photography = Bob Barry / Jazzography
2018年11月...それはリー・リトナーの67年の人生において、最も困難を極めた月となった。デイヴ・グルーシン・ビッグ・バンドによるブルーノート東京での公演に同行する予定が健康上の理由によりやむなくキャンセル。そして同じ頃、10日間以上治まることのなかったマリブの山火事の被害に遭い、家とスタジオを失ってしまった。まさに悪夢の日々である。
しかし、リーは、健康と、そして元気な心を取り戻し、さらに強い人間になった。
「デイヴとのツアーに参加出来なかったのはとても残念だったけれど、その時期の手術は避けられなかったからね。でもお陰で完全に回復したよ。それから、マリブの山火事で家とスタジオを失った時も、皆が祈りを捧げてくれて、そのことに対して心から感謝したいです。ファミリー、友人、ファン、皆から多大なるサポートを受けて、そういった経験を強力な教訓にしながら、僕らはより強くなり、再構築することができるんだ」
昨年末から新曲を書き、年が明けてからはカリブ海のジャズ・クルーズに参加。デイヴ・グルーシン、マーカス・ミラー、エリック・マリエンサルらと楽しくプレイし、かなりリラックスした。
3月に行われるブルーノート東京公演ではレギュラー・カルテットでの演奏に加え、シックス・ストリング・セオリー(SST)コンペティションでの公演も行われる。これはリーが2010年から行なっているプロ・アマを問わないギターのコンペで、ジャズ、ロック、ブルース、クラシック他6つのカテゴリーで優れたプレイヤーを発掘。今回は2018年の勝者をフィーチャーしたショウになる。
「僕は16歳からもの凄く幸運なキャリアを積むことができ、その中で、特に1人の生徒として、両親、先生、師匠から多大なるサポートをしてもらった。2010年に発表したSSTのアルバムを皮切りに、財団を作って、ヤマハ、ボストンのバークレイ音楽院を始めとしたたくさんのスポンサーの賛同も得られた。このコンペに参加する生徒たちやミュージシャンに対して僕から恩返しをする絶好の機会であり、自分たちの演奏レベルをどんどんと上げ、プロの世界への足掛かりとなってくれたら、って思っているんだ」
そのSSTは実に190の国から応募が来るほど世界中に浸透。異なる環境のミュージシャンをジャッジするのは決して容易ではないが、ミュー ジシャンを他のミュージシャンと競争させるのではなく、自分たちのプレイをより上達させる手段として使ってもらいたい、それがリーの考えだ。
「僕は10代の時からいろいろな人たちと共演し、地球上で最も素晴らしい人たちともやってきた。SSTの勝者とのパフォーマンスを僕は満喫しているし、そして、それが僕をいつまでも若く、鋭いものにしているんだ! とても楽しく、サウンド的にかなりヴァラエティに富んでいるんだけれど、その中心にギターがある!というもので、音楽の素晴らしい夜のためにぜひとも皆さんにも参加して欲しいです!」
中田利樹(なかだ・としき)- AOR、フュージョンを中心とした執筆、番組やコンピレ ーションCDの選曲およびプロデュース、そしてレーベルCOOL SOUNDのオーナーとして活躍。最近は自身のプロジェクト、Rendezvousで作曲にも力を入れている。