ジョン・スコフィールド、唯一無二のトーンが再び
唯一無二のトーンでジャンルを飛び越える
ギター・マスターが降臨!
60代後半を迎えてもジョン・スコフィールドにはペースダウンの気配すらない。様々な形態での活発なライヴ活動と毎年リリースされるアルバム群の充実ぶりで、ジャズの範疇を超えて様々なシーンにますます巨大な影響を与えつつある。
text = Yoichi Aoyama
photogaphy = Takuo Sato
ジョン・スコフィールドのここ数年の動きを追うと、13年に再始動させたウーバージャム・バンド、14年のメデスキ・スコフィールド・マーティン&ウッドとそれぞれ独自の方向性を持つファンキー・ミュージックを展開。かと思えばホーン入りのオーセンティックなスタイルを聞かせた15年の『パスト・プレゼント』、新旧のカントリー・ソングを独自に解釈した16年の『カントリー・フォー・オールド・メン』、ジャック・ディジョネットをリーダーとしたグループ名義でウッドストック界隈に住む音楽家達の伝統と自由な精神性を思わせる『ハドソン』など毎回新たなテーマに取り組んでいる。60代となっても攻め続ける姿は感服の一言だが、ギター自体はエフェクトを極力抑えたナチュラルなトーンが際立つようになり、その分彼の繊細なタッチがより生々しくリスナーの心に響くようになった気がしてならないのだ。
2018年の最新作『コンボ66』では旧知のビル・スチュワート(ds)の他、ロバート・グラスパーとの共演でも知られるヴィセンテ・アーチャー(b)、 70年代から幾多のセッションで活躍してきたベーシスト、ジョン・クレイトンを父に持つジェラルド・クレイトン(p,org)が加わり、それぞれ60年代、 70年代、80年代生まれという幅広い世代に渡る面々が揃った。音楽的にはジャズ度数高めのオリジナル曲を揃え、主役のジョンスコは愛器アイバニーズAS200を手に、様々な表情のフレーズを自在なタイム感で歌わせている。また日本のシンガー・ソングライターさかいゆうが今年発売したアルバム『Yu Are Something』での2曲の客演も注目したいところ。独特のポップ・サウンドの中で一瞬でそれとわかるギターが聴けるのも楽しい。
今回のブルーノート公演は昨年出演した東京JAZZと同じく『コンボ66』のメンバーが勢揃いし、筆者のように足を運べなかった向きにはこの上ない朗報だ。新作とそこから広がるこのカルテットの世界がたっぷり聴けるだろうし、直後には一夜限りだが日野皓正とのセッションも予定されている。ジョンスコが初来日を果たしたのは77年に日野皓正クインテットの一員としてのことだったので、ステージでの共演はその時以来実に42年ぶりとなる。こちらも大いに期待しよう。
『コンボ 66』
(ユニバーサルミュージック)
42年ぶりに同じステージに!奇跡のセッションも実現
ジョン・スコフィールド "コンボ 66" |
日野皓正 with special guest |
青山陽一 (あおやま・よういち)- 1963年長野市生まれのギタリスト/シンガー/ソングライター。80年代後半からグランドファーザ ーズで活動後、92年より開始したソロ活動も27年目。近年は音楽誌での執筆も数多い。