進化を止めないアメリカーナ、パンチ・ブラザース | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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進化を止めないアメリカーナ、パンチ・ブラザース

進化を止めないアメリカーナ、パンチ・ブラザース

アメリカーナ、ブルーグラスを超越
進化した現代アメリカ音楽を、是非ライヴで

 ロックもジャズもクラシックも飲み込む進化系ブルーグラス・バンドが、グラミー受賞の最新作『All Ashore』を携えて、3年ぶりに待望の再来日。5本の弦楽器による完璧なるアンサンブルに酔え!!

photography = Tsuneo Koga
text = Mika Akao

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「やっぱりマイクは1本なのか!!」予想はできたけれど、それを生で目の前にするとグッとくるものがある。その1本を5人が囲んで演奏する。見た目だけでもインパクトは十分なのに、クリス・シーリー(マンドリン)、ノーム・ピケルニー(バンジョー)、クリス・エルドリッジ(ギター)、ゲイブ・ウィッチャー(フィドル)、ポール・コート(ベース)の5人は、各々が擁する高度な技術をこともなげな様子で繰り出し、マイクに近づいたり、あるいは離れたりする動作もスムーズにこなしながら、テンションの緩急も自在、完璧に音の統制が取れたアンサンブルを完成させた。才能とセンスと長年の鍛錬の結実が、そこにはあった。しかもそのアンサンブルには、5人の身体から発される生々しいリズムが加わり、実にプリミティヴで躍動的な演奏となって、私たちに歓喜と興奮をもたらしたのだ。それが、3年前の夏。あの夏の忘れがたい記憶を更新するチャンスが、やって来るとは!!

 ニューヨークはブルックリンを本拠地にするパンチ・ブラザーズは、2006年にクリス・シーリーを中心に結成された。クリスは、1993年にデビューした若きブルーグラス・トリオ=ニッケル・クリークの一員として、すでに名前を知られる存在だった(デビュー時のクリスは12歳)。バンドは、08年にノンサッチ・レコードよりアルバム『Punch』でデビュー。スタイルはブルーグラス。しかしながら、フォーク、ジャズ、インディ・ロック/ポップ、カントリーにクラシックといったジャンルはもとより、現在、過去、未来の時間軸も縦横無尽に行き来するサウンドは、どんな既成枠にもおとなしく収まらない。進化系ブルーグラス、モダン・アメリカーナ......そのどれでもあるが、それだけではない彼らの音楽は好奇心旺盛なリスナーを楽しませ続け、現時点での最新作、通算5作目にして初のセルフ・プロデュースとなった『All Ashore』(2018)は、第61回グラミー賞最優秀フォーク・アルバムを受賞した。

 そんな彼らの本領発揮は、冒頭にも記したライヴであると断言しよう。楽器を慈しむ奏者と、奏者のためにいい音を出す楽器による二人三脚ほど見ていて気持ちのいいものはない。完璧なアンサンブルにのるクリスの歌はファルセットの響きもナチュラルでエモーショナル、曲によってはふくよかなハーモニーも加わり、なつかしくて新しい景色の中に私たちを導いてくれるのだ。

PUNCH BROTHERS
2019 7.9 tue., 7.10 wed., 7.11 thu., 7.12 fri.


[1st]Open5:30pm Start6:30pm [2nd]Open8:20pm Start9:00pm
公演詳細はこちら → https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/punch-brothers/

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赤尾 美香(あかお・みか)
『ミュージック・ライフ』編集部を経て1997年よりフリ ーの音楽ライター/編集者に。ルーツ系ロックやシンガー・ソングライターを好む。著書に『ロックンロール・フォトグラフィティ~長谷部宏の仕事』など。

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