シルビア・ペレス・クルス、新グランドメニューを試食 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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シルビア・ペレス・クルス、新グランドメニューを試食

シルビア・ペレス・クルス、新グランドメニューを試食

[MONTHLY BEST CHOICE | SPECIAL NOVEMBER MENU]アップデートしたグランドメニューに
来日アーティストが舌鼓。その味は?

 この10月、秋冬の趣きにリニューアルしたブルーノート東京のグランドメニューはよりガストロノミックに、しっかりと食事を楽しめるラインナップ。今回は来日公演を行ったシルビア・ペレス・クルスとマルコ・メスキーダが試食し、語ります。

photography = Tetsuya Miura
interview & text = Tomoko Kawai
interpretation = Shiho Kawai

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 スペイン出身、ジャズからファド、ポップス、クラシックまで幅広いレパートリーをもつ歌手のシルビア・ペレス・クルスと、ジャズからフラメンコまで創造的な演奏を続けるピアニストのマルコ・メスキーダのデュオ。2019年10月の来日公演の際に、新グランドメニューとワインのペアリングを楽しむ時間を過ごしてもらいました。美食の街カタルーニャ出身の2人。音楽も食も「よいものは、ジャンルを問わず好き」と語ります。日本公演では、刺身や天ぷら、そしてラーメンなどの日本食を食べることがライヴのエネルギー源になっているとか。

 シェフ長澤宣久が、そんな2人のために選んだ料理は「国産牛のタルタル いちじくのコンポートとポルチーニのソース」と「焼きリゾットと帆立貝の白湯スープ仕立て」。シルビアは前菜の「国産牛のタルタル」のプレゼンテーションを見ると「芸術的!」と歓声を上げます。国産牛もも肉は、低温調理でしっとりやわらかく火入れした後、細かく刻み、フレッシュなマッシュルームと共にタルタルステーキに。トップにのせられたうずら卵のポシェをからめて口に運びます。

「添えられたレフォールのムースの心地よい刺激、いちじくのコンポートのねっとりした甘み、ポルチーニ茸のソースの力強い香り。味の変化が美しい料理ですね。シェフが、お皿の上の全ての要素を緻密に正確に選んでいるのが、よくわかるわ」とため息をもらします。

 この料理とのペアリングを考えてソムリエ今野明日香が用意したワインは、イタリア・ピエモンテの辛口ロゼ「ランゲ ロザート」。イタリアワインを代表する品種ネッビオーロを使った濃厚な味わいのロゼは、しっかりとした酸と渋みを持ち、牛肉のうまみときのこの香りを引き立てます。「このロゼワインの色、宝石みたい。香りもすごく好き」と目を輝かせるシルビア。

 マルコはメインディッシュの「焼きリゾットと帆立」に舌鼓。温かなスープは、中国料理や日本のラーメンでもおなじみの「白湯」仕立てに、しいたけのオイルで風味をつけています。スープの中には、香ばしいこげ目をつけたリゾット。その上には、さっと火入れしスライスした帆立貝。トップには、柚子こしょうが香るコンディマン。

「スープのとろりとしたテクスチャーと帆立のまろやかさが、やさしく融合している。それぞれの味と食感が個性的なのに、最後はすべてが一つのハーモニーになる。まるで音楽のような料理だ。今夜の公演に向けて、すごくインスパイアされるね」とにこやかに語ります。

「シェフが心から料理を愛していることが、伝わってきました。どちらの料理も、一皿の中にあんな味もこんな味も含まれていて、食べながら味覚の冒険をしているみたい。ブルーノート東京の料理と、私たちがライヴで表現したいことには多くの共通点があると思う」とシルビア。お客様を楽しませたい、非日常を味わってほしいという願いも一緒だと語ります。

「僕たちは"マジック"みたいなライヴがしたいんだ。1曲1曲が魔法のように鮮やかに切り替わる。そして、その1曲の中にもさまざまな香りとタッチ、ハッとするような驚きを込めていきたい。今日の料理を味わって、シェフはマジシャンみたいだと思ったよ」とマルコ。

 味覚と音楽。いずれもすべてをそのままに保存しておくことが難しい、一期一会の芸術。それらを堪能できる場所が、ブルーノート東京です。この秋からの新グランドメニューにはモダンフレンチを中心に、美しく、複雑で、調和のとれた料理が並びます。音楽を愛する方なら、きっと感性を刺激されるラインナップ。充実のワインリストから選んだ至極のワインとともにお過ごしください。


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焼きリゾットと帆立貝の白湯スープ仕立て
鶏を長時間煮こんだ白濁スープの中に、リゾットとミキュイの帆立貝。凝縮したうまみと繊細な香りが印象的。

★ドリンク&ワインメニューのリニューアルは11/1から

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シルビア・ペレス・クルス
1983年、カタルーニャ生まれ。名門カタルーニャ高等音楽院でジャズ・ヴォーカルを学ぶ。主演映画『Cerca de tu casa』でも注目を集めた他、"スペインのアカデミー賞"ことゴヤ賞で2度の栄誉に輝く。
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マルコ・メスキーダ
1987年、スペイン・メノルカ島生まれ。シルビア同様、名門カタルーニャ高等音楽院(ESMUC)で学ぶ。モダン・ジャズからフラメンコまで幅広い分野で活躍、スペインのジャズシーンを牽引するピアニスト。

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