Monthly Best Choice Special Seasonal Menu
素材を最大限に生かしながら
サプライズを盛り込んだひと皿を
吹く風のからりとした涼しさに、季節の深まりを感じる頃。高い空を見上げ、秋の美味へと思いを馳せる方も多いのではないでしょうか。ブルーノート東京のグランドメニューにも、10月から秋を堪能できる一品が登場します。
photography = Jun Hasegawa
text = Tomoko Kawai
新たにブルーノート東京シェフに就任した霜鳥が創り上げた渾身のひと皿は「くぬぎ鱒といちじくのコンポジション ハイビスカスのスパイス」。静岡産のくぬぎ鱒をマッシュルーム、セロリ、カシューナッツと共にタルタル仕立てにし、その上に熟したいちじくとスライスしたくぬぎ鱒を重ねた目にも麗しい前莱です。シェフが実際に静岡の養殖場を訪れ、無添加でクリアな味に魅了されたと語る「くぬぎ鱒」を主役に、フルーツやきのこなど秋に旬を迎える食材をふんだんに用いました。
「素材本来の持ち味を大切にしながら、ひと皿のなかに楽しい驚きを散りばめていきたい」と語るシェフ霜鳥。この料理にも国境を越えた複数のスパイスづかいが光ります。トップのくぬぎ鱒の表面には、ハイビスカスと3種のこしょう、エスペレット唐辛子、パプリカパウダーのミックススパイスがまぶされ、ほのかな酸味と魅惑的な香りをプラス。手作りの海老チップスでサクサク食感を、花椒のオイルでピリッとしたアクセントを加えています。
ひとくち食べると、広がるのはくぬぎ鱒のコクとみずみずしさ。そしてマッシュルームの鼻に抜ける濃厚な香り。噛みしめるうちにいちじくの甘みとカシューナッツの香ばしさが追いかけ、スイーツのようなフレーバーも生まれます。くぬぎ鱒に合う素材を探して試作を重ねた結果、いちじくを選んだというシェフ霜鳥。いちじくのやさしい甘さとやわらかな食感、特有の香りが、様々な要素を持つ素材とスパイスを繋げ、調和させています。
国内外で研鑽を積みながら、食材の産地を積極的に訪れ、生産者と交流を重ねてきたシェフ霜鳥が料理をする上で最も重視しているのが「素材を生かすこと」。この料理も複雑でありながら、ひとつひとつの素材の味と香りが鮮やかに浮かび上がってきます。セルクル仕立ての美しい盛り付けと相まって、スイーツのテイストと料理の滋味が重なり合うような一品。至福の食体験を、ぜひ。
くぬぎ鱒といちじくのコンポジション ハイビスカスのスパイス¥2,600 ※[提供期間] 10/12 (水)~ 10/27 (木)
旬素材と新たなワインとの
出会いを愉しんで
「ほんのり甘く、心地よい風味と深みを感じるロゼワイン。複雑な味の中にいちじくのニュアンスが感じられるので、いちじくを使った料理に合わせたい」と、ソムリエ資格を持つシェフ霜鳥がセレクトした自然派ワイン。フランス・ロワールのナント地区のぶどう6種類をブレンド。ノンフィルター、亜硫酸塩無添加でびん詰めし、ぶどう本来の味と香りが詰まっている。口に含むとほのかな発泡を感じ、複数のぶどうが織り成すうま味と凝縮感が広がる。自然派のやさしさを持ちながらしっかりとした飲み口で、秋の食材と好相性。
ヴィニ・リーブル ピンク デイフェラン
2021 /フランス、ロワール/メルロー、カベルネ・フラン、ガメイ、コロンバール、グロロ、ムロン・ド・ブルゴーニュ
Glass ¥1,600 / Bottle ¥7,800
ステージも厨房も、毎日がライヴ
驚きと新鮮さを届けたい
2022年9月より「ブルーノート東京」シェフに就任。 調理師学校時代にフレンチに目覚め、横浜のフランス料理店を経て渡仏。パリの名店「ラ・レガラード」、コルシ カ島とブルゴーニュのレストランで腕を磨く。フランス料理の奥深さとフランス人の熱さを全身に浴び続ける3年間を過ごし帰国。 ブルーノート・ジャパンが手がける南青山の伝説的なレストラン「アディング・ブルー」に入店し、現在ブルーノート・ジャパン グループのエグゼクティブシェフ を務める長澤宜久と出会う。丸の内「レゾナンス」、大手町「レディ・ブルー」シェフを経て再び南青山へ。多様性のあるアーティストとゲストから刺激を受ける日々。
※価格は消費税を含みます。