滋味豊富な秋の味覚を、サンドしていただく至福
[MONTHLY BEST CHOICE | SPECIAL OCTOBER MENU]THIS MONTH'S SPECIAL MENUサンマカツのパニーニ
ブルーノート東京の長澤シェフが、日本各地で出会った食材をテーマに提案する今月のひと皿。
10月は脂がのった旬真っ盛りの代表的な鮮魚、サンマをフィーチャー。
香ばしくフライした一品と爽やかでドライなオリジナルビールとのマリアージュも叶えます。
脂がのった新鮮なサンマの旨味をとじ込める
宮城県の北東部に位置した気仙沼。目の前には太平洋、振り返れば緑豊かな山々が広がる、リアス式海岸の港。美しい自然に囲まれた、全国屈指の水産都市、日本有数の水揚げを誇る気仙沼産のサンマを大胆にアレンジ。「脂が乗った、気仙沼の旬をとじ込める」と長澤宜久シェフは気仙沼漁港で水揚げされたサンマを口にしたときの印象だったとか。
今月の一皿は「サンマカツのパニーニ」だ。新鮮なサンマをおろして骨を抜く。そして、塩とポン酢でさっと洗った後、アーモンド、ニンニク、バジルペースト、タイム、ケッパー、バージンオイル、レモン汁をブレンドしたパン粉に包んでフライにする。え?なぜ、新鮮なサンマをフライに?と訊ねたところ「火が通ることにより旨味が引き立ち鮮度を感じることができるんです。鮮度の低いサンマだとできないことだと思います」と長澤シェフ。特製のウスターソースをかけたサンマカツを口にすると小気味よいパン粉の食感、ナッツの香ばしさとポン酢やレモンの酸味が優しく広がる。そこにハーブとトマトのスライスを載せてサワークリームと、コマペーストをパンに敷いてサンド。カットしてお出ししますので一口でどうぞ。ライブ中に食べやすい、滋味豊富な一皿に仕上がった。
photography = Jun Hasegawa
CHEF
長澤宜久(ながさわ・たかひさ)
ブルーノート東京グループシニアシェフ。'91年に渡仏し三ツ星「ラ・コートドール」他、名店で経験を積む。'01年に帰国後、南青山「アディング・ブルー」、丸の内「レゾナンス」シェフ、2013年全店舗のシニアシェフに就任した。
《REPORT》 美しい自然豊かな気仙沼湾で獲れる鮮魚の数々
気仙沼市魚市場は、カツオ、マグロ、サンマ、カジキ、サメなど多く水揚げされている。生鮮カツオは全国一で、9月から終漁まで脂がのって美味しい「戻りカツオ」として全国から引合いが多い。さらにはフカヒレの原料のサメの水揚げは全国の7割占めており、この他にも多くの魚介類が通年水揚げされる豊かな港として知られている。東日本大震災で多大なる被害を追い、一時水産業も低迷した時期もあったが徐々に再建。いまでも災害の傷跡が多く残っているが豊かな水産業を取り戻している。
また8月末からは北海道沖で獲れるサンマが入港し市場を賑わる。5トントラック一台分を水揚げし入札を行ない、水揚げされたばかりのサンマが全国へと出荷、秋の風物詩として日本中で愛されている。