みずみずしさと芳醇さの麗しきコンポジション | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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みずみずしさと芳醇さの麗しきコンポジション

みずみずしさと芳醇さの麗しきコンポジション

[MONTHLY BEST CHOICE | SPECIAL SEPTEMBER MENU]みずみずしさと芳醇さの麗しきコンポジション

9月のひと皿の主役は、豊穣の秋の象徴とも言われる"ぶどう"と"ワイン"。山梨県甲州市で訪ねた作り手たちの情熱にインスパイアされ、「ブルーノート東京」パティシエール&ソムリエールがデセールとワインの芳醇なるペアリングを紡ぎ出す。

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力強くも繊細な"ぶどうの余韻"に酔いしれる


 デラウェア、シャインマスカットにはじまり、県産固有品種"甲州"など、夏から秋にかけて13品種ものぶどうが順次収穫される山梨県甲州市。日本一と言われるそのぶどうの産地から8月上旬、「ブルーノート東京」の厨房に旬を迎えたばかりの巨峰と甲斐路が届けられた。パティシエたちを驚かせたのは、ぶどうそのものの豊潤さと力強い風味。パティシエール・山口有佳里は「この自然の甘みと力強さを最大値表現したい」と、豊穣の秋の味覚・ぶどうに捧ぐひと皿を編み出した。

 核となるのは、2種のぶどうのコンポート。ひとつ目は〈生姜とトウガラシ〉。もうひとつは〈赤ワインとシナモン〉。喉の奥にぴりっと残る辛味と、鼻を抜けるシナモン香がワインを誘う。「ピュアな風味もぜひ味わってみてほしい」と、皿の上には生のぶどうも潜ませる。下にはシナモンのムース。脇にはフランジパンヌを包んで焼き上げたサクサクのパートフィロ。手前には生姜のソルベとココアクランブルを添え、食感のリズムと風味がひとくちごとに展開する「ぶどうのコンポジション」が完成した。

 このひと皿に合わせてソムリエール・今野明日香が提案するのは、"甲州"のピュアな甘みを表現した「アルガブランカ ドース」とのペアリング。ワインが繋ぐ芳醇な余韻。さらなる"秋"が体感できる。

 ぶどうのコンポジション

アルガブランカ ドース(勝沼醸造株式会社)

日本固有のぶどう「甲州」の甘味・酸味をピュアに表現するため冷凍凝縮し、醸造。蜂蜜のような自然な甘さとキレのあるエレガントな酸が印象的。

photogaphy = Jun Hasegawa
text = Akari Matsuura

 

CHEF

 シェフ

山口有佳里(やまぐち・ゆかり)
ブルーノート東京パティシエ。武蔵野調理師専門学校で学んだのち、都内のホテルやパティスリーで経験を積み、2013年6月にブルーノート・ジャパンに入社。

《FOOD REPORT》 ぶどうとワインの郷で
作り手のロマンを巡る国内最高レベルの日照時間と、南アルプスの水脈から注ぐ清らかな水。
甲府盆地の西部にあたる山梨県甲州市勝沼エリア、県内有数のぶどう栽培地を
「ブルーノート東京」のシェフ、パティシエ、ソムリエ等、総勢9名で訪ねた。

 国内有数のぶどう産地・山梨県では、7月末頃に始まる露地もののデラウェアを筆頭に、8月上旬の巨峰、中旬のピオーネ、下旬のシャインマスカット、最盛期のお盆を挟んで約2ヶ月半にわたり、主要な品種だけでも計13品種ものぶどうが収穫される。今回訪ねた甲州市勝沼だけでもハウス栽培農家が約80人。露地栽培農家が500人。山梨県を"フルーツ王国"と言わしめる由縁はこんな数字からも読み取れる。

 勝沼で最初に訪ねた選果場では、農家が個々に持ち寄るぶどうを階級別に選別するプロセスを見学。ぶどうの品質が「玉張り」「形状」「房のまとまり」の総合スコアで格付けされていることを学んだ。
その足で訪ねたぶどう農家・雨宮芳文さんのハウスでは、室温約35度のハウス内で約8ヶ月間、丁寧に手をかけ栽培されたピオーネが収穫間近の状態で房をならしていた。約50年にわたりピオーネを栽培する雨宮さんの、ぶどうづくりにかける情熱に耳を傾ける。「農薬と誤解されがちですが、ぶどうの実の表面を覆う白く薄い粉は"ブルーム"。果実を雨や病気から守るロウ物質で、鮮度の証です」。ブルームが美しい状態のものほど、フレッシュな甘み・風味が味わえるのだ。

 もうひとつの目的地・勝沼ぶどう郷にも足を伸ばし、点在する3軒のワイナリーを巡った。中でも印象的だったのは、明治18年に創業した老舗ワイナリー「ルミエール」の畑。緩やかな斜面に沿って垣根栽培されるヨーロッパ式のぶどう畑である。五代目当主・木田茂樹さんの「日本固有品種"甲州"と日本ワインの可能性」をめぐる話にはワインメーカーの底知れぬロマンが詰まっていた。

 幾つもの出会いを経て編み出されたぶどうのデセールは、9月29日までの期間限定で登場する

instrument
①シャインマスカットのハウス栽培の様子。シャインマスカットは近年もっとも人気のある品種で、昨年は山梨から2000トンもの量が出荷された。糖度を見計らい、今年は7月中旬から収穫。 ②生産者 雨宮芳文さんにお話をうかがうブルーノート東京のスタッフ。ハウスの中は暖かくスタッフの額にも汗が流れる。 ③メインに栽培するピオーネ。粒が立派に張っていてまもなく収穫される。 ④JAフルーツ山梨 勝沼共選所では雨宮さんたちが作ったぶどうを箱詰めして階級をつけ、市場に送る作業を行う。 ⑤案内をしていただいたJAフルーツ山梨の里吉克広さん、山梨県農政部の平林正光さん、石川寛人さんと記念撮影。
instrument
⑥~⑦ルミエールの畑。山梨固有の品種「甲州」のほか、スペインの品種「テンプラニーリョ」なども見学。化学肥料は使わずにてんとう虫や雑草を工夫して生かしながら栽培する。 ⑧ルミエール 代表取締役社長 木田茂樹さん。さらにおいしい「甲州」を目指し、日本独自のワインをもっと世界に広めていきたいと話す。

photography =  Koji Yamano
text = Akari Matsuura

《MORE DELICIOUS GRAPES》 主役は旬のぶどう!
3店のパティシエたちの技とアイデアの競演

 今だけ味わえるぶどうのデセールをブルーノート各店のパティシエたちがご提案。

 巨峰のデクリネゾン~ティラミス仕立て~

巨峰のデクリネゾン ~ティラミス仕立て~
9/1~10月中旬 ¥1,425(税サ込)


巨峰のコンフィチュールをサンドしたマスカルポーネムースの下には、巨峰のシロップを染み込ませたスポンジ。トップはアールグレイティーで煮詰めた巨峰のコンポート。周りにはフレッシュのロザリオビアンコ、クランブルを散りばめ、その下には赤ぶどうのジュレを敷きつめた。紅茶や黒コショウなどの隠し味が、ぶどうの奥深い甘みにアクセントを添える。爽やかなだけじゃない、ぶどうの力強さが体感できる。

モーション・ブルー・ヨコハマ http://www.motionblue.co.jp/

 山梨県産ぶどうのパナシェ

山梨県産ぶどうのパナシェ
9/1〜9/30 ¥918(税込)


そのままの美味しさを味わって!と言いたいほど印象的なシャインマスカットとピオーネは、フレッシュの状態で白ワインのサバイヨンムースとサングリアのジュレの上に。奥にはサクサクのビスケットとコクのあるソフトクリーム。手前にはぶどうと赤ワインのソルベを添えて。ぶどうとワインの爽やかな甘みと酸味の共演をメインに、ビスケットの香ばしさとミルキーなコク、ソルベの奥深い酸味などを合わせて幾通りにも愉しめる欲張りなひと皿。

ブルックリンパーラー http://www.brooklynparlor.co.jp/shinjuku/

 巨峰とシャルドネの葛/キンモクセイのアイス

巨峰とシャルドネの葛/キンモクセイのアイス
9/1〜10月上旬 ¥850(税込)


プレートの上で惑星のように浮かぶ球形のメレンゲを割ると、中から登場するのは、2015年 ルバイヤート シャルドネ「旧屋敷収穫」(丸藤葡萄酒工業)で炊いた葛(くず)と、天然の甘みをたたえた粒選りの巨峰2粒。ぶどうとワインの付かず離れずな共演をそっと盛り上げるのは、脇に添えたキンモクセイのソルヴェと巨峰の皮のソース。「cafe 104.5」のパティシエ3名がアイデアを持ち寄りご提案する、味覚や香りの融合を愉しみながら味わいたいひと皿。

カフェイチマルヨンゴー http://www.cafe1045.com/

photography = Jun Hasegawa
text = Akari Matsuura

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