茶葉が育まれた風土を、 ひと皿に閉じ込めたサラダ | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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茶葉が育まれた風土を、 ひと皿に閉じ込めたサラダ

茶葉が育まれた風土を、 ひと皿に閉じ込めたサラダ

[MONTHLY BEST CHOICE | SPECIAL JUNE MENU]THIS MONTH'S SPECIAL MENU茶葉が育まれた風土を、ひと皿に閉じ込めたサラダ

複雑で優雅な香りと独特の旨みをもち、世界中のグルメがラブコールを贈る「日本茶」。
ブルーノート東京では、料理の素材として「緑茶」を取り入れた一品を初夏限定でオンメニュー。
「ティーファーム井ノ倉」のお茶と茶葉を余すことなく使った"山のサラダ"が完成しました。

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最高級茶葉の芳醇な香りと心地よい渋みが、3種のヴィネグレットソースと調和

 

 世界中で日本茶ブームがヒートアップする中、ブルーノート東京では緑茶を「飲む」だけではなく「食べる」ことに着目した限定メニューが誕生しました。「サラダ・ド・テヴェール」(緑茶のサラダ)と名付けられたひと皿には、「ティーファーム井ノ倉」の最高級茶葉「玉響」を贅沢に使用。シェフ長澤が、お茶が生まれる場所を訪れて感じた全てが表現されています。主役は、瑞々しくつるりとした水出し緑茶のジュレと独特の爽やかな風味が魅力の緑茶の葉。雑穀、フルーツ、ナッツ、野菜などの具材それぞれを丁寧に料理し、作り上げた逸品。合わせるソースは梅としそ、くるみ、ハニーマスタードの3種で「よく混ぜてから食べるのが、おいしさの秘訣」とシェフは語ります。

 ひと口目に広がるのは、水出し緑茶の甘みと旨み。茶葉とジュレの味が、和食のだしのように食材をやさしく包み込む、まさに未体験のおいしさ。続いて、乾燥ごぼう入りのクランブル、大麦とレンズ豆、揚げたキヌア、カシューナッツの燻製などのリズミカルな食感が折り重なります。

 このサラダのテーマは"山"。月ヶ瀬の水・土・空と、緑茶作りに携わるたくさんの人々へのオマージュをひと皿に盛り込んでいます。添えられた水出し緑茶とのペアリングも、お楽しみ下さい。

photography = Jun Hasegawa
text = Tomoko Kawai

 

CHEF

 シェフ

長澤宜久(ながさわ・たかひさ)
ブルーノート東京グループシニアシェフ。'91年に渡仏し三ツ星「ラ・コートドール」他、各店で経験を積む。帰国後、'01年南青山「アディング・ブルー」、丸の内「レゾナンス」シェフ、2013年全店舗のシニアシェフに就任した。

《REPORT》奈良・月ヶ瀬の地から世界へ緑茶を発信

日本茶の魅力に惹かれ、独学で学び続けてきたシェフの長澤。知識をさらに深めたいと、奈良市・月ヶ瀬の「ティーファーム井ノ倉」を訪れました。当主の井ノ倉光博さんは、茶葉の生産にとどまらず、新しい飲み方と楽しみ方を提案しています。

日本有数のお茶の生産地として知られる、奈良。「ティーファーム井ノ倉」は、奈良県の北東に位置する奈良市月ヶ瀬で260年続くお茶農園です。畑は標高300mの高地にあり、立ちこめる朝霧が葉に潤いをもたらし、水はけのよい真砂土が健全な木を育む、お茶の栽培に適した地となっています。

 11代目の当主・井ノ倉光博さんは、子どもの頃から好きだった日本茶の香りと、おいしいお茶を囲んで生まれるコミュニケーションの素晴らしさを伝えようと、国内外の料理人と積極的に交流。その味は高級ホテル、レストランに認められ、今や海外の緑茶ブームを牽引する存在です。

 山間の美しい高原で、7ヘクタールある広大な茶畑を眺め、日照や土壌の話を聞く長澤シェフ。丁寧な手作業の積み重ねに「ワイン造りとお茶造りは、通じる部分が多いですね」とうなずきます。

 収穫を目前に控えた茶の木には遮光シートが被せられています。「かぶせ煎茶の"玉響"などはこの製法を取り入れています。日光を遮り、光合成をさせないことでやわらかな芽が育ち、甘みが強く色鮮やかな茶葉が生まれるんです」と井ノ倉さん。摘み取ったばかりの新芽の味見をしたシェフは、青々とした香りと口中に広がる爽やかな渋みに感激。「茶葉をアクセントにしたサラダを作ろう」と即座にひらめきます。

 お茶の旨みと甘みを最大限に引き出すため、いれ方の研究にも熱心な井ノ倉さん。新茶「玉響」のテイスティングでは、1煎目、2煎目...といれ方により華麗な変化を遂げるお茶を披露。ゆったりと味わいながら話を伺い、香り、音、視覚など、五感がゆさぶられる体験が待っていました。

 お茶をめぐる旅の最後は、緑茶の工場へ。丹念なもみ込み作業を経て、緑茶が完成するまでを見つめた長澤シェフの頭の中には、お茶料理のアイデアが満ちあふれていたようです。

instrument
1. 澄んだ空気と湧き水、高原の朝露に恵まれて健やかに育つ茶の木。2. 摘み立てのやわらかな茶葉をテイスティングする長澤シェフ。 3. 2018年4月に竣工したばかりの碾茶工場。抹茶となる「碾茶」は、原料となる茶葉は同じだが収穫時期と加工方法が異なる 4. 緑茶工場で蒸し、乾燥、もみ込み、選別を経て出来上がった「玉響」の新茶。 5〜6. 茶工場そばの直営ショップ「粋翠」にて、井ノ倉さんが淹れた「玉響」を味わうひととき。 7. 1煎目は50℃以下で1分半。2煎目からは5℃ずつ温度を上げて短時間で抽出すると味わいの変化を楽しめる。煎じたあとの茶がらは、やわらかく味もよいので、料理に使うと美味。

photography = Shuji eto Kuraya

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