初秋の限定メニュー、松茸のパイとうずらのポワレ
[MONTHLY BEST CHOICE | SPECIAL SEPTEMBER MENU ]秋の訪れを知らせる、松茸とうずらの一品
乾いた風をふと感じる頃、秋がやってきます。ブルーノート東京に、初秋の限定メニューが登場。香ばしく焼いた松茸とお肉のパイに、うずら、梨の組み合わせ。シェフ長澤がフレンチの技術を遺憾なく発揮した、濃密なうまみの一皿が生まれました。
photography = Jun Hasegawa
text = Tomoko Kawai
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松茸とポルチーニ茸、ふたつのきのこが織り成す香りと熟成感
フランスでは伝統的に、うずらとうずらの卵には滋養強壮の効果があるとされます。夏の終わりから秋の始まりにかけて、疲れた胃腸をやさしく癒やしながら、旬の走りを存分に味わえる限定メニューが登場します。シェフの長澤宜久は、秋の味覚として「松茸」と「梨」を思い浮かべ、そこから発想を広げていきました。
器の中心に置かれたのは、バトン状の折り込みパイ。中には肉とフォアグラのファルスが薄く敷き詰められ、その上に松茸を並べ、香ばしくオーブンで焼き上げました。うずらは贅沢に半身をそのまま用いてポワレ。皮はこんがりパリッと、繊細な身の部分はしっとりと火入れされ、トップにはエスペレット唐辛子をぱらり。やわらかな肉質とジューシーな肉汁を楽しめます。
ソースは3種。パイの手前には甘くほろ苦くキャラメリゼした玉ねぎのコンフィのペースト、そして奥にはやさしい刺激のレフォール(西洋わさび)のソースと、濃厚な香りとうまみを放つポルチーニ茸のソース。生の和梨と交互に口に運ぶことで、軽快さと力強さを感じることができます。
ソースにはバターを用いず、軽やかな後味なので、ワインはブルゴーニュの重めの白か軽めの赤を。心まで満たされる、美食の一皿です。