デイヴ・コーズ、感情を音にして表現する良き相棒 日本製のシルバー・サックス | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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デイヴ・コーズ、感情を音にして表現する良き相棒 日本製のシルバー・サックス

デイヴ・コーズ、感情を音にして表現する良き相棒 日本製のシルバー・サックス

感情を音にして表現する良き相棒
日本製のシルバー・サックス

爽やかで熱いサウンドと華やかなステージングで観客を魅了する
スムース・ジャズ界きってのエンターテイナー、デイヴ・コーズ。
彼がトレード・マークのシルバー・サックスについて語ってくれた。

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 名実ともにスムース・ジャズ界のトップの座に君臨するデイヴ・コーズ。彼の愛器は、ヤマハ YAS-62Sという、シルバー・メッキのアルト・サックスだ。

「数十年前に手に入れてからずっと吹き続けてるよ。明るくて突き抜けるような音が気に入ってるんだ」

 YAS-62は1978年に登場し、現在も製造されている超ロングセラー・モデル。正確なピッチ感や、軽やかな吹き心地で世界的な人気を誇る、国産サックスの名器である。コーズの楽器は初期のもので、U字菅(写真の右手で掴んでいる部分)から、ベルの下部にかけて装着された"Jの字型"のキィ・ガード、通称"Jガード"が特徴だ。

instrument
マウスピースはビーチラーのメタル(8番)。より明るいサウンドを得るため、バッフル(内部形状)を改良している。
instrument
リードはリコのプラスティカバー。振動部が黒くコーティングされており、耐久性に優れる。

「僕は、音数よりも1つ1つの音色のクオリティにこだわりたい。そういう意味で、この楽器には裏切られたことがないよ。常にそばにいてくれる親友みたいな存在だね」

 ハビエル・コロン(vo)との来日公演では、コーズの奏でる"歌心"とハビエルの"歌声"が融合し、いつにも増して熱いステージが繰り広げられた。

「サックスは表現の幅が広い楽器だけど、歌というのはまた違う独自の表現だ。1つのステージに両方あるのが嬉しいし、歌とのバランスが醍醐味だね」

 気鋭のシンガーと同等の表現力を可能にする、エモーショナルな音色の秘密はどこにあるのか? その答えは、少年時代にまでさかのぼる。

「子供のころは、自分が誰なのか、何をやるべきなのか全くわからなくて悩んでいた。ドラムやピアノもやってみたけど、全然モノにならなかったんだ」

 現在からは想像がつかない意外な姿である。転機は13歳、初めてサックスを手にした時に訪れた。

「吹いた瞬間に"これだ!"と思ったよ。それ以来、自分の感情を人に伝えるのに、ずっとコイツの助けを借りてきた。だから、今みんなに聴いてもらっているのは、僕とこの楽器の関係そのものなんだよ。それが僕のサウンドなのさ」

photography = Takashi Yashima
interview & text = Kenichiro Kawahara
interpretation = Kazumi Someya
cooperation = Rittor Music

Dave Koz(デイヴ・コーズ)
1963年生まれ。カリフォルニア出身。1990年にソロ・デビューを果たし、その4年後にはアルバム『Lucky Man』が70万枚という驚異的なセールスを記録。これまでに8度のグラミー賞ノミネートなど、スムース・ジャズ界を代表するサックス・プレイヤーのひとり。
河原賢一郎(かわはら・けんいちろう)
1982年生まれ。編集者/ライター。サックス&ブラス・マガジン、ベース・マガジン、ギター・マガジン、大型ロック・フェスのパンフ、教則本、Webなどを中心に、編集・執筆を行なっている。

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