ヴィクター・ウッテンのフォデラ・モナーク | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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ヴィクター・ウッテンのフォデラ・モナーク

ヴィクター・ウッテンのフォデラ・モナーク

ヴィクター・ウッテンのフォデラ・モナーク

 超絶技巧を駆使しながら、岩のように安定したグルーヴを送り出し
今どきのベーシストの欲張りな夢を高度な形で実現してみせる
個性派ベーシストのユニークなスタイルを支えるユニークなベース

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 ヴィクター・ラモンテ・ウッテンは1964年生まれで、マーカス・ミラーやヴィクター・ベイリーなど、70年代のフュージョンの影響をもろに受けたベーシストたちと同じ世代だ。しかし、4人の兄と組んだウッテン・ブラザーズで5歳の時にプロ活動を始めた彼は、スタンリー・クラークやアンソニー・ジャクソンなど、一世代上の名手と並ぶキャリアを持つ。彼の演奏スタイルの最大の特徴である4フィンガー・スラッピングは、幼い頃に長兄のレジーに伝授されたものだ。

 彼の音楽活動を1983年から支えてきた楽器が、ニューヨークはブルックリンに工房を構えるフォデラ製のモナークである。「テクニック的にも音楽的にも、僕がやっていることのほとんどはこの楽器のおかげさ。とても弾きやすくて、僕はこの楽器の隅々まで理解しているんだ」

 数多くのモナークを愛用してきた彼の現在のトレードマークになっているのは"イン・ヤン・デラックス"で、今回マイク・スターンの公演で使用した楽器は、7年以上愛用しているという。中国の陰陽思想のシンボルを取り入れたデザインが特徴だ。「トップのデザイン以外、基本的にはそれ以前のモナークと変わらないけれど、コントロール類は手がぶつからないように、通常よりもボディ端に寄せてもらったんだ」というのは、モナークと一体化した感のある彼ならではの注文だ。

instrument
美しいパウ・アマリロとエボニーのトップ材、バックはウォルナット。プリアンプはマイク・ポープ。
instrument
ZOOM B3マルチエフェクター。自身が作成したファクトリー・プリセットを適宜エディットして使用。

 彼の最近作は、2012年発表の『Sword and Stone』と『Words and Tones』の2枚。「最初はヴォーカル・アルバムを作るつもりだったけれど、曲のメロディーをベースで弾いたサウンドも気に入って、インスト・アルバムも作ることにしたんだ」という、肩肘張らない音楽作りには、いつも自然体の彼らしさがよく出ている。

photography = Takashi Yashima
interview & text = Akira Sakamoto
cooperation = Rittor Music

Victor Wooten(ヴィクター・ウッテン)
1964年、米国ヴァージニア州生まれ。5歳でファミリー・バンドでプロ活動を始める。88年にナッシュヴィルに移住、90年初頭にバンジョー奏者、ベラ・フレックをリーダーとする"フレックトーンズ"の一員に。ジャコ・パストリアスと比較されるほどの超絶技巧を持つ。
坂本 信(さかもと・あきら)
札幌市出身。レコード会社や音楽出版社、楽器メーカーのための翻訳、数百人のアーティストのインタヴュー、通訳を務める。ベーシストとしても活動し、高崎晃やマイク・オーランド、伊藤たけし、仙波清彦などと共演。

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