フェンダー・ローズから生まれる、独特の世界。マーク・キャリー | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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フェンダー・ローズから生まれる、独特の世界。マーク・キャリー

フェンダー・ローズから生まれる、独特の世界。マーク・キャリー

フェンダー・ローズから生まれる、独特の世界

 先日自らのトリオを率いて来日したマーク・キャリー。
ジャズやヒップホップシーンとも絶妙な関わり方をしているピアニストだ。
今回、彼の独特な音楽性発現のルーツを知ることが出来た。

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「音楽一家に育ったんだ。最初に興味を持った楽器がローズさ」

 ピアノやオルガンではない、という時点で既に独特だ。
「僕にとってピアノは大地を感じさせる楽器、そしてローズはより深いところにアクセスできる楽器なんだ。元々ローズは、第二次世界大戦に使われた飛行機から作られたんだ。それをクリエイティブなものとして蘇生させた、そういう部分もシンパシーを感じるね」

 ライブではアクセスのシンセサイザーVIRUSも駆使して更なる「深み」と「カオス」を演出する。その楽曲のあり方はジョー・ザヴィヌルやロニー・リストン・スミス的でもあり、南アフリカのピアニストアブドゥーラ・イブラヒムっぽくもある。ソロではなくモチーフに重点を置いた感じもアフリカ的であった。

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シンセサイザーに接続されて、スペーシーな音を出すのに使用されていた小物の数々
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ローズスーツケースはトレモロも駆使しつつ、基本かなりリズミックなプレイを披露していた

「ネイティブアメリカン、レゲエ、アフリカや南米、様々な音楽に興味を持っている。ここ10年はインド音楽にはまってるね。インド音楽は7つの音で出来ている。制約のある中での表現が好きなんだ。7つと言っても間にしゃくったような音があるだろ? 軸になる音を7つに絞って、そういう「音の間」をどう表現するか? と考えるのが好きなんだ。」

 最後に、ピアニストの悩みである「自分の楽器を持ち運ぶことの大変さ」に関して聞いてみた。

「持ち運べるなら持ち運びたいけど、コンディション的にはリスキーだからね。でもポジティブに捉えている。あるものを使うことで、コンディション次第ではいつもと違うアプローチをせざるを得ない。お陰で、同じことを繰り返そうとする自分の性を引きはがしてくれるんだ。新しい表現をみつけるきっかけになるかもしれない、て捉えてるよ」

 そしてこう加えた、
「女性との出会いと一緒だよ。笑」

photography = Takashi Yashima
interview & text = SWING-O
cooperation = Rittor Music

Marc Cary(マーク・キャリー)
1967年、ニューヨーク生まれ。ディジー・ガレスピーに認められてデビュー、ロバート・グラスパーもリスペクトするピアニスト。90年代にはベティ・カーターやアート・テイラーらのバンドメンバーとして注目を浴び、伝統と革新を共存させた音作りが特徴。
SWING-O(スウィンゴ)
ソウルピアニスト/ソウルプロデューサー。ソロ活動に加え様々なアーティストへのプロデュースを通し黒い音楽普及にアグレッシブに挑んでいる。

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