新鋭たちを未来へとつなぐオールドの音を再現した愛器。スタンリー・クラーク | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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新鋭たちを未来へとつなぐオールドの音を再現した愛器。スタンリー・クラーク

新鋭たちを未来へとつなぐオールドの音を再現した愛器。スタンリー・クラーク

演奏中に操作するエフェクター群。
ウッドベースに接続されている。

 ロナルド・ブルーナーJr.(d)やカマシ・ワシントン(sax)など、
新鋭を積極的に起用し共に新しい音楽を作り上げている
スタンリー・クラークが、10月の来日公演で使用した愛器を語る。

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 来日公演のステージ上にはエレキ・ベース(冒頭写真の本人右)もスタンバイされていたが、ほとんどの曲で弾いていたのがこのウッド・ベースだ。パーツを中国で作り、LAで組み立てたという、オリジナル・モデルである。

 「70〜80年代のほぼすべてのレコーディングで使っていたのは200年前のドイツ製のものなんだけど、デリケートすぎてツアーには持ち出せないんだ。それをコピーして作ったのがこのウッドベースさ。物凄く軽いんだよ。」

 ボディ・バックに合板を使用して軽量化を図ったほか、ネックは取り外しが可能で、持ち運びに特化した仕様となっている。エレキ・ベースでも成功を収めている彼が、今でもウッド・ベースにこだわる理由とは何だろうか?

 「僕はウッドで楽器を覚えたという感覚があるし、13歳から弾き始めて今に至るまで、ずっと自分に寄りそってきた、特別な存在なんだ」
 組み立て前に木材を水に浸けたりと、オールドな音色を再現する工夫も施されているとのこと。

 「昔から弾き馴染んだ音だね。僕は別に古くても新しくても、良い音がすればそれでいいんだけど......音色が良くないと、メンバーが全然ノってこないんだ(笑)。今の若いヤツらは良い音をよく知っているよ。」

 そして、こう言葉を続けた。
「彼らは新しいものと古いもの、両方の良さを踏まえながら、その先をしっかり見据えている。何が本当に素晴らしいのかを知っているからこそ、それを未来へつなげていける世代なんだ。だから一緒に演奏できて嬉しいね。」

instrument
演奏中に操作するエフェクター群。ウッドベースに接続されている。
 

  今回の来日メンバー。
19歳や20歳など驚異的な若さだが、スタンリーをして"凄いヤツらだ"と言わしめる腕利きばかりだ。

 世代を超えて、共に良い音を追求する。言葉にすると簡単だが、それを音楽で体現するのは難しいはずだ。そのための重要なツールのひとつが、伝統的な音色を奏でる愛器たちなのだろう。

photography = Takashi Yashima
interview & text = Kenichiro Kawahara
interpretation = Kazumi Someya
cooperation = Bass magazine

Stanley Clarke(スタンリー・クラーク)
1951年生まれ。ウッドベースとエレキ・ベースの両方における名手で、リターン・トゥ・フォーエバー、ジョージ・デュークなどをはじめ、ソロ、上原ひろみなど、1970年代から現在まで数々の名演を残している。
河原賢一郎(かわはら・けんいちろう)
1982年生まれ。編集者/ライター。ベース・マガジン、ギター・マガジン、サックス&ブラス・マガジン、大型ロック・フェスのパンフ、教則本、Webなどを中心に、編集・執筆を行なっている。

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