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[インタビュー|MY INSTRUMENT]リチャード・ボナ

[インタビュー|MY INSTRUMENT]リチャード・ボナ

リチャード・ボナのフォデラ・ベース

地中海のオリーブ、アメリカのメイプル、日本のエレクトロニクス・・・ 世界中のパーツを集めて作られたリチャード・ボナの愛用ベースは世界中の音楽と世界中の人々の心をひとつにする彼の音楽にふさわしい

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その名のとおりアフリカに起源を持つアフロ・キューバン・ミュージックに、改めてアフリカの血をたっぷりと注ぎ込んだエネルギッシュな新作『Heritage』を引っ提げての来日公演も大盛況のリチャード・ボナ。彼がブルックリンにあるフォデラ工房のインペリアル5弦ベースを愛用しているのは、ベースに興味のあるファンならすでにご存知だろう。

「僕の楽器は僕自身の延長で、自分の気持ちを伝えるには絶対に必要なんだ」というほどボナが愛しているこのインペリアルは、元の所有者だったアル・ターナーが手放したものだという。「ブランフォード・マルサリスがプロデュースしたフランク・マッコムのアルバム(『Love Stories』、2000年)を録音している時、それまで使っていたフェンダーの最低音のEよりも低い音が必要になってね。でも、4弦のチューニングを下げるのは避けたかったから、スタジオの近くにある48丁目(1960年代から楽器店街として有名)まで5弦ベースを調達しに行ったんだ。入ったお店でいちばん良い5弦ベースはどれかと聞いたら、最初に勧められたのがこのインペリアルだった。僕は音を2つ鳴らしただけで買うことに決めた。これは自分のためにある楽器だと直感したからね。アルが手放してくれて良かったよ(笑)」

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GK-3Bを組み込んだベースのコントロール周り。銀色のドクロ型ノブは、息子がオモチャにしていたもの。
 

今回の公演で使用したアンプはマークベース製で、ヘッド、キャビネット共にボナのシグネチャー・モデル。

ボナがこの楽器を手に入れたのをきっかけに、アッシュのボディにオリーブのトップ、メイプルの指板というこの仕様のインペリアルが、ファン垂涎のシグネチャー・モデルとなった。とはいえ、ボナ自身の楽器は内蔵プリアンプが取り外され、シンセサイザー音源のローランドGR-20を鳴らすために同社のGK-3Bコントローラーが組み込まれるなど、彼の用途に合わせた改造が容赦なく施されている。高級ブランドで知られるフォデラだが、ボナにとってはあくまでも、頼りになる実戦の道具なのである。

photography = Takashi Yashima
Interview & text = Akira Sakamoto
Interpretation = Kazumi Someya
Cooperation = Rittor Music

Richard Bona (リチャード・ボナ)
1967年カメルーン生まれ。16歳でジャコ・パストリアスを聴いてベースを始める。22歳でパリに移住して以降、サリフ・ケイタやジョー・ザヴィヌルなどの大物と共演。新作『Heritage』は8枚目のソロ作となる。

坂本 信(さかもと・あきら)
札幌市出身。レコード会社や音楽出版社、楽器メーカーのための翻訳、数百人のアーティストへのインタビュワーや通訳を務める。また、ベーシストとしても活動し、高崎晃や伊藤たけし、仙波清彦などと共演している。

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