[インタビュー|MY INSTRUMENT]マイケル・リーグ
最先端の音楽を支えるヴィンテージ・ベース
ハイブリッドなクロスオーバーサウンドで話題の音楽集団=スナーキー・パピーのリーダーであり
ベーシストのマイケル・リーグが信頼する相棒がこちら。
NYを拠点に活動する大所帯プロジェクト、スナーキー・パピーを主宰するマイケル・リーグは、現在のジャズ界で最も期待を集める人物といっても良いだろう。満員御礼となった今回の来日公演でも、洗練されたグルーヴでバンドを牽引し、オーディエンスを熱狂させた。
リーグは多くのエレキ・ベースを所有し、そのコレクションはフェンダー、ヘフナーなどの老舗メーカーから、f bassやfoderaなど気鋭の工房系まで多岐にわたると言う。
「僕は曲にパーフェクトにマッチしたベースのトーンにこだわるから、自然とたくさんの楽器を持つようになった。音色が違う楽器を使うと演奏自体も変わって、新しい発見があるんだ」
そんなプロデューサー的な視点を持つリーグが好んで手に取るのはヴィンテージのフェンダー・プレシジョン・ベースで、年代ごとにコレクションしているという。写真で携えているのは1959年製で、一年前に入手したもの。ナチュラルな木目のネック、ボディに取り付けられたアノダイズド・ピックガードがこの時期の個体の特徴だ。
「スナーキー・パピーは中音域にいろんな楽器の音が集中するから、プレシジョンじゃないとダメなんだ。このベースだと他の楽器に干渉せずにリッチな低域を鳴らせるよ」
史上初の量産型エレキベースとして知られるプレシジョン・ベース。リーグはこの楽器の構造も気に入っていると言う。
「シンプルなおかげで、自分の演奏や音色に集中できる。そのぶんごまかしはきかないけどね。僕にとってはこのベースはコンバースのオールスターのようなもの。スーツにもショーツにも合わせられる万能選手なんだ」
photography = Takashi Yashima
interview & text = Daisuke Ito
interpretation = Kazumi Someya
cooperation = Rittor Music
- MICHAEL LEAGUE(マイケル・リーグ)
- 1984年生まれ。ノース・テキサス大学でジャズを学び、音楽集団スナーキー・パピーを結成し、現在はニューヨークを拠点に活動する。最新作『クルチャ・ヴルチャ』を含め、3度のグラミー賞を獲得している。
- 伊藤大輔(いとう・だいすけ)
- コンテンツ・クリエーター。音楽メディアを中心とした編集/執筆のほか、楽器や音にまつわる映像作家としても活躍中。幅広い知識と好奇心を生かし、広告のコピーなども手掛ける。詳しくはrasdaisuke.comへ。