[インタビュー|MY INSTRUMENT]ジョン・トロペイ
N.Y.のファースト・コールが選んだニュー・ギター
長年にわたってギブソンのフル・アコースティック・ギターを使用しているジョン・トロペイ。
今回もてっきりそれ......と思っていた。が、携えて来たのは
米国ディアンジェリコ製の真新しいギターで驚いた!
長年愛用のギブソン製は、バードランドのボディにL-5のネックが付いた変わった代物で、本人はバード・ファイヴと呼んでいた。私が開口一番に新しいギターに替えた経緯を聞いたのは当然である。
「まだ使い始めて1ヶ月くらいなんだ。バード・ファイヴはボディが厚いんで、右手を大きく回し込む形になる。そのために右肩に負担がかかってきつくなっていたんだ。そんな矢先、米国のディアンジェリコからエンドースの申し出があり、ショウ・ルームに行っていろんなギターを試した結果、このPremier Bob Weir SSを気に入ったというわけなんだ」
そのニュー・ギターは、グレイトフル・デッドのギタリストとして知られるボブ・ウィアのシグネイチャー・モデル。センター・ブロックが入ったセミ・ホロウ構造で、ボディが薄いがゆえに右肩への負担が軽減されたのが大きな理由だったという。そのボディ前面の上部に単体であるツマミはマスター・ヴォリュームで、これも非常に便利とのこと。面白かったのはビグスビー・トレモロ・アームが付いている点で、ジャズ系では非常に珍しいと言える。
「前からアームは使ってみたかったんだ。チューニングの狂いはさしてない。それから艶なしのボディの塗装もいいだろう? 照明によって色の印象が違って見える。ドラムのスティーヴ(・ガッド)が、ギターの色に合うよう、もっとシャツの色にも気を遣えって言うんだ(笑)」
と語ったカラーはMatte Stone Finishなる仕様で、その他のスペックはディアンジェリコのウェブ・サイトで確認できる( HYPERLINK "https://dangelicoguitars.com" )。弦はダダリオ製の011〜048のセットだが、気分によっては0105〜048のセットを使用するときもあるそうだ。なお、ディアンジェリコはトロペイ用に新たなギターを作ることも検討中とのことである。
photography = Takashi Yashima
interview & text = Koji Ishizawa
interpretation = Kazumi Someya
cooperation = Rittor Music
- JOHN TROPEA(ジョン・トロペイ)
- 1946年1月7日、ニューヨーク出身。ファースト・コールのセッション・ギタリストとして数多くのレコーディングに参加。同時に75年に初リーダー作を発表して以来、最新作『Gotcha Rhythm Right Here』(2014年)が通算11枚目を数える。
- 石沢功治(いしざわ・こうじ/Koji Ishizawa)
- 音楽アナリスト&ライター。音楽雑誌での取材&寄稿、アルバムのライナーノーツの執筆を手掛ける。また、著書に『NEW YORKジャズギター・スタイルブック』などがある。