[インタビュー|MY INSTRUMENT]ブランディー・ヤンガー
世界で愛され使われている人気のモデル
ニューヨーク出身のジャズハーピスト、ブランディー・ヤンガーの
楽器は、世界トップブランドの一つ、ライオン&ヒーリー社製の
1991年に製造されたStyle23 Gold
「なんて弾きやすいハープなの!一体誰の楽器かしら?」初日のファーストショウを終えたブランディー・ヤンガーは目を輝かせていた。
使用したハープStyle23 Goldは、高さ188cm、重さ37kgの本体に47本の弦が一列に並んでいる。弦の素材は3種類、低音域にワイヤー、中音域にガット、高音部にナイロン。音階の「ド」に赤、「ファ」に青い弦が目印に張られている。気がつかれないことが多いが、グランドハープと言われる種類のハープの足元には7本のペダルが付いている。音階1つの音につき1本のペダル。それぞれのペダルが半音階ずつ2段階操作ができる。つまり半音操作は全て足元で行なっている。
「今回Style23を指定した理由は、このモデルだったらどこでも借りられるからよ」。ハープは楽器を現地で調達することが多い。ただ、同じモデルのハープでも楽器によって音色が違う。「私のお気に入りは製造されてから30年経った楽器よ。楽器の鳴りが豊かになってくるから」。今回の使用楽器は少し若い感じがしたという。それでも高音部の鳴りの良さにとても満足だったようだ。そして、この楽器が個人所有の楽器ではなく、レンタルと聞いてとても驚いていた。ニューヨークのレンタルハープの状態は良くないようだ。その為、自分の楽器を動かすことも。「ライオン&ヒーリー社の44弦ハープ 85GPをタクシーやウーバーで運ぶこともあるわ」。
クラシックのテクニックから勉強した彼女は、即興に流れるようなアルペジオ、そして細かいトリルのテクニックも入れてくる。今回一緒に来日したラヴィ・コルトレーンからのアドバイスは
「僕のママ(アリス)とドロシー・アシュビー、カルロス・サルツェードの要素を取り入れて自由に弾いてみて」。父、ジョン・コルトレーンはハープ界の巨匠サルツェードの大ファンで、彼のコレクションにはたくさんのサルツェードの曲もあったそうだ。
photography = Takashi Yashima
interview & text = Hiroko Saito
interpretation = Kazumi Someya
cooperation = Rittor Music
- BRANDEE YOUNGER(ブランディー・ヤンガー)
- ニューヨークを拠点に世界で活躍。黒人ハープ奏者のレジェンド、アリス・コルトレーンやドロシー・アシュビーから影響を受ける。2017年ケーシー・ベンジャミンプロデュースによる最新アルバム『Wax & Wane』を携えて初来日。
- 斎藤寛子(さいとう・ひろこ)
- ハーピスト。アメリカから帰国後、日本でも珍しい3台ハープによるアンサンブル『Café de la Harp』を結成。リーダーとして様々なジャンルの曲をアレンジし演奏活動を行なっている。