[インタビュー|MY INSTRUMENT]モノネオン | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

News & Features

[インタビュー|MY INSTRUMENT]モノネオン

[インタビュー|MY INSTRUMENT]モノネオン

アイデンティティが滲み出る奇才の相棒

愛器が自身のトレードマークになることはよくあることだが、右利き用の楽器をそのまま左手に持ち替えるモノネオンの楽器もまた、彼の存在の特異性を表わしている。このベースから見える物語とは?

READ MORE

 ハーヴィー・メイソン(d)が新進気鋭のミュージシャンを集めた "カメレオン・バンド"のメンバーとして来日、そのなかで、的確なグルーヴとルックスで強烈なインパクトを与えたベーシストが、このモノネオンである。その実力に目を付けた生前のプリンスと深く関わることで、彼は多くの音楽ファンに認知された。また、プリンスが関わったジュディス・ヒルのデビュー・アルバム『Back In Time』でもベースを演奏している。

「プリンスとは2015年の頭くらいからペイズリー・パーク(プリンスの自宅兼スタジオ)で仕事をし始めたんだ。あそこで仕事をしたことをきっかけに、ジュディス・ヒルとプレイし始めたんだよ。2015年の末にプリンスから彼のバンドに参加してみないかと声をかけてもらい、それから2年が経とうとしているってことさ。」

 また、モノネオンは、右利き用の(というか一般的な)ベースをそのまま左右逆に持つという特異なスタイルであり、その姿に思わず二度見してしまう人もいるだろう。さらに楽器の至る場所に"MONONEON"と書かれたテープを貼り付け、ヘッド部にはソックスを履かせて(?)おり、ブランドやモデル名などの刻印が見えない状態になっている。

「4歳の頃に父がギターをプレゼントしてくれたんだけど、それをひっくり返してプレイして以来、ずっとそのままなんだ。既存の作品を組み合わせて非日常的なデザインのものを作っていく、マルセル・ド・トランプというアーティストがいるんだけど、ソックスや見た目のカスタマイズについては、彼のアイディアにインスパイアされているんだ。」

 見た目やスタイルも目を引くが、モノネオンのプレイの本質は、ファンクに根ざしたグルーヴとアカデミックな音使いが融合した、独創的なセンスにある。新たなベース・ヒーローとして飛躍する、奇才の今後に注目したい。

instrument
ヘッド部にソックスがはめられている。このベースの正体は、レイクランドのスカイライン・シリーズ、55-01である。
instrument
自身の名前を書いたテープを至る場所に貼り、操作系のノブも取り外しているが、スペック上の改造点はない。

photography = Takashi Yashima
interview & text = Takahisa Kondo
interpretation = tommy morly
cooperation = Rittor Music

MONONEON(モノネオン)
1990年生まれ、テネシー州メンフィス出身。2010年から本拠地をロサンゼルスに移し、ジュディス・ヒルの『Back In Time』(2015年)、プリンスの「Ruff Enuff」(2016年)に参加。ソロ作も発表する。

近藤隆久(こんどう・たかひさ)
2005年にベース・マガジン編集部に配属、2014年から編集長。ドキュメンタリー映画『JACO』日本公開にも携わるなど、ベース・シーンを盛り上げるための活動に尽力している。

RECOMMENDATION