[インタビュー|MY INSTRUMENT]ネイト・ワース
錆びたカウベルとスタック・シンバル
スナーキー・パピーのドラマー、パーカッショニスト2人による新時代ジャズバンド、ゴースト・ノート。その究極のグルーヴを彩る打楽器奏者、ネイト・ワースの"脳みそ"とは?
2014年のグラミーにて"ベストR&Bパフォーマンス"を受賞した、あの"スナーキー・パピー"のご機嫌なリズムを発信する2人、ドラムのロバート"スパット"シーライトとパーカッションのネイト・ワースの2人が中心となるバンド、ゴースト・ノートが、新作『スワッギズム』を携えて初の単独来日公演を行った。コンガやボンゴ(MEINL)の皮モノから、メタル・クラッシャー、エレクトロニック・パッド(YAMAHA DTX-MULTI12)、スネア・ドラム(TAMA STARPHONIC Aluminum 14"×6")まで、多種多様な打楽器の"音色"を操り、ドラムのロバートと絶妙なコンビネーションを聴かせてくれるのが、ここでの主役、ネイト・ワースだ。「僕はカウベルとシンバルは常に持ち歩いていて、個人的にメタリックな音が大好きなんだ。カウベルは、MEINLの特注ロウ・フィニッシュだから、錆びてるだろ? でもそれによって音のクオリティが自分好みになるんだ。もう手放せないよ! 」
さらに彼の個性を彩るのは、MEINLのスタック(重ね)シンバルの音色。現代のマシン・ビートやヒップホップの音にインスパイアされたという。「この中で一番気に入っているのは、12"Classics CustomのTrash Splashと12"Classics CustomのTrash Chinaの組み合わせで、思いっきり締めるとティンバレスのカスカラみたいな音になって、緩めると"ピーシャ! "って感じのいい音が出る。これはもう僕の脳みその一部だね! 」「とにかく耳がすべて。僕は民族打楽器の演奏法もいっぱい勉強してきたけど、逆にそのスキルが邪魔になるときがある。だから今は、それを一旦忘れて、流れに任せて叩くことを大事にしているんだ。そうやって自分のスタイルを創り上げている。"常に全部の楽器を演奏するスタイル"をね! 」と熱く語ってくれたネイト。ゴースト・ノートで聴ける、"反応型音楽的アプローチ"の秘密はそこにあった!
photography = Takashi Yashima
interview & text = Katsuaki Komiya
Interpretation = Kazumi Someya
cooperation = Rittor Music
- NATE WERTH (ネイト・ワース)
-
1983年2月11日生まれ。アメリカ合衆国インディアナ州モンスター出身。ガーナ、キューバ、インドの民族打楽器を学びつつ、ドラムラインでも活躍。さらにヒップホップなどの影響も昇華、融合をも果たす打楽器奏者。
- 小宮勝昭(こみや・かつあき)
- ドラマー/パーカッショニストとしての活動をメインに執筆/編集もこなす。バンドとしては現在、かんぱち、モロモログロッキーに所属。自身のドラムDVDやドラム本も絶賛発売中。