[インタビュー|MY INSTRUMENT]神保彰
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40年使い続けた楽器への信頼度
華麗なドラミングとともに、ドラムセット、シンバル、スティック、奏法グッズ等、数多くのアイデアで製品をプロデュースし、シグネイチャー・モデルを世界に送り出してきた神保彰の楽器論。
バスドラムに描かれた薔薇の花が、ステージを華やかに飾っている。
「衣装も含め、友人でイラストレーターのコーチはじめさんによる手描きなんです」
高い位置のシンバル、整然と並ぶタムはトレードマークであり、そのほとんどが神保のアイデアを盛り込んだシグネイチャー・モデル。
「ヤマハを40年使い続けています。これはレコーディング・カスタムという、大学のビッグバンド時代に使っていた、自分にとってまさに原点です。当時のリアル・ウッド仕上げを再現して作りました。バーチ材を使ったまさにヤマハのドラム、名機と呼ぶにふさわしいセットです」
8月のマイク・スターンとの共演で際立ったのが、ライヴステージながらレコーディングのようなサウンド。ダイナミクス表現の豊かさも印象的だ。
「マイク・スターンの楽曲は本当に自由度が高く、とっても小さな音量からフルパワーまで幅が広く、自分にとってもチャレンジでした」
カシオペア3rd、PYRAMID、ワンマンオーケストラなど様々なプロジェクトでも、基本的なセッティングは決まっているという。
「これは僕のアイドル、スティーヴ・ガッドの影響も大きいですね。音楽によって楽器やチューニングを変えるのではなく、ドラミングのスタイルであわせていくというのが自分の考え方なんです」
シンバルも神保のアイデアによるZildjian K Custom Hybrid Series。
「ジルジャンも40年になります。K Customというモデルに音溝処理を半分だけ行い、アタックの明瞭さと余韻の両方を併せ持つものをリクエストしたのが始まりです。1枚のライド・シンバルで、様々な音楽に対応できるものを求めた結果です」
信頼できる楽器を使い、演奏スタイルで音楽に対応する神保。エネルギッシュで暖かみのあるサウンドは、この先もますます深化していくはずだ。
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photography = Takashi Yashima
interview & text = Makito Yamamura
cooperation = Rittor Music
- 神保彰 (じんぼ・あきら)
- 1980年大学在学中にカシオペアでデビュー、40年に渡り日本のフュージョン・ドラム界を牽引。今年はLAとNYの2拠点で録音したソロアルバムを発表、還暦を迎えさらに活動の幅が広がっている。
- 山村牧人 (やまむら・まきと)
- ドラマー/ライター/エデュケーター。学生時代にフュージョンブーム到来、まさに神保彰氏に明け暮れた日々。世界中にあふれる「生活に根ざすリズムや音楽文化」を体現したいと願う50代。